インタビュー

災害時に食物アレルギーの子どもを守る知識と対策―災害時における子供へのアレルギー疾患対応 その5

災害時に食物アレルギーの子どもを守る知識と対策―災害時における子供へのアレルギー疾患対応 その5
藤澤 隆夫 先生

国立病院機構三重病院 院長

藤澤 隆夫 先生

日本小児アレルギー学会

日本小児アレルギー学会

この記事の最終更新は2016年02月28日です。

食物アレルギーの患者さんは、体にあらゆる症状を起こす原因食物を食べられません。しかし、災害時の支援食はとても貴重なので、患者さんやご家族は大変気をつかい言い出せないことがあります。また、避難所生活は食物アレルギーの子どもが誤食する(誤って原因食物を食べる)危険が多くなります。そのため、周囲も一緒に食物アレルギーを理解し配慮することが大切です。そこで今回は、災害時における食物アレルギーの子どもを守るための知識と対策を説明していきます。

※本記事は、国立病院機構三重病院院長・日本小児アレルギー学会理事長の藤澤隆夫先生、日本小児アレルギー学会にご監修いただいております。

食物アレルギーは、原因となる食物を食べると「じんましん・かゆみ・咳・ゼーゼー(ぜん鳴)・息苦しさ・嘔吐」など様々な症状を起こすアレルギーの病気です。これらの症状がひどくなると意識を失ったり、まれに命の危険にかかわることがあるので、直ちに医療機関を受診する必要があります。

支援食の包装にある食品表示に注意して、原因食物の有無を確認しましょう。“鶏卵・乳・小麦・ピーナッツ(落花生)・ソバ・エビ・カニ”の7品目は必ず記載されていますが、これら以外で少量だと記載されないことがあるので注意が必要です。また、炊き出しに原因食物が入っていないか調理する方に確認しましょう。

炊き出しの際は常に「食物アレルギーの方はいませんか?」と確認し、患者さんやご家族による“食材の問い合わせ”には正確に答えましょう。また、“鶏卵・牛乳・小麦アレルギー”の患者さんがいる場合、これらを使わない工夫を御一考ください。ただ、食物アレルギーの原因はそれぞれ異なり、大量に調理する炊き出しは対応が難しいので、子どものご家族が調理できる状況であれば個別調理を認め、食材を分けてあげましょう。

アレルギー対応食”や“アレルギー用ミルク”の支援があれば、食物アレルギーの子どもが優先して利用できるよう早めに係りの方に相談してください。周囲も気にかけ配慮しましょう。また、子どもは自分が食べられないものを理解していないことがあるので、子どもにお菓子や食べ物をあげる時は必ず食物アレルギーのご確認を。子供をお世話する方は「食物アレルギーサインプレート」などを子供につけて周囲に伝えましょう。

災害時は、食物アレルギーの子どもの“予測不可能な誤食事故”が起きやすくなります。そのため、日頃から、症状が出た場合の対処の仕方を頭に入れておくことが大事です。症状の強さにあわせ迅速かつ適切な対応をしてください。

・軽い症状(口や目のまわりなど部分的なじんましん・かゆみ・口やのどの違和感・唇やまぶたの腫れ・吐き気・軽い腹痛・鼻水・軽い咳など)の場合、必ず大人がそばにいて、しばらく様子をみてください。症状の進行に注意し、抗ヒスタミン薬があればそれを飲ませましょう。

・やや強い症状(全身のじんましん・強いかゆみ・強い顔のむくみ・複数回の嘔吐・強い咳など)の場合、間をおかず医療機関へ向かってください。

・強い症状(のどや胸がつかえる・声がかすれる・強い腹痛・なんども吐く・ぜんめい(ゼーゼー・ヒューヒュー)・苦しさ・顔色が悪くなる・ぐったり・意識低下・意識消失など)の場合はショック症状か、それに近い状態です。可能ならば救急車で向かい、直ちに医療機関を受診してください。本人用アドレナリン注射薬(一時的に症状の進行を緩和しショックを防ぐための補助治療剤)があれば速やかに注射してください。

※本記事は、日本小児アレルギー学会による『災害時のこどものアレルギー疾患対応パンフレット(pdf)』をもとにしています。

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