【インタビュー】

クリップする
URLを入力して
記事をクリップしましょう
指定された URL のページが見つかりません
S664x430 62f74981 5b09 465e 9e60 d8baab4f78c0
経口免疫療法についての研究―食物アレルギーの治療
「アナフィラキシーの原因」で、小児がアナフィラキシーショックを起こす多くの原因は食物であることを述べました。現在は研究段階ですが、アレルゲンとなる食品を毎日少しずつ食べることで食物アレルギーを治...
クリップに失敗しました
クリップ とは
記事にコメントをつけて保存することが出来ます。検索機能であとで検索しやすいキーワードをつけたり、読み返し用のメモを入れておくと便利です。
また、記事を読んで疑問に思ったこと、わからないことなどをコメントに書き、「医療チームのコメントを許可する」を選んで頂いた場合は、医師や看護師が解説をメールにてお送りする場合があります。
※ クリップ内容は外部に公開されません

経口免疫療法についての研究―食物アレルギーの治療

公開日 2016 年 02 月 15 日 | 更新日 2017 年 05 月 08 日

経口免疫療法についての研究―食物アレルギーの治療
今井 孝成 先生

昭和大学医学部小児科学講座 講師

今井 孝成 先生

アナフィラキシーの原因」で、小児がアナフィラキシーショックを起こす多くの原因は食物であることを述べました。現在は研究段階ですが、アレルゲンとなる食品を毎日少しずつ食べることで食物アレルギーを治療する経口免疫療法(減感作療法)が注目されています。ここでは、昭和大学医学部小児科学講座今井孝成先生に、経口免疫療法について解説していただきます。

食物アレルギーに対する経口免疫療法についての研究

原因となる食品が分かった場合、以前はそれらの食物を避ける食生活を送るよう指導されていました。しかし、成長過程の児童の栄養摂取制限は必ずしも好ましいとはいえません。そのため、負荷試験などで除去しながらも一定量は食べられると判断できる場合、必要な栄養を可能な限り摂取させる「必要最小限の除去」を行うことが主流になっています。

0歳から1歳頃に診断された食物アレルギーの多くは、成長とともに自然に治ることが珍しくありません。しかし、中には治らない場合もあり、特にアトピー性皮膚炎や気管支喘息を合併している場合その傾向があります。近年、こうした患者さんが専門の医師の管理のもとで原因となる食物を毎日少しずつ摂取したところ、食物アレルギーが改善したという報告が国内外で相次ぐようになりました。この治療法を経口免疫(減感作)療法といいます。

経口免疫療法は現時点では研究段階にあり、標準的な治療法ではありません。そのため、負荷試験で明らかな食物アレルギーの誘発症状を認められた患者さんに対して「経口免疫療法の治療適応がある」と判断し、食物アレルギーの診療に長けた医師が慎重に実施しています。 以下にその概要を示します。

1)増量期

医師から指示された量を自宅で毎日食べます。誘発された症状の有無や程度によって徐々に食べる量を増やしていき、目標量を目指します。食物アレルギーの重症度によって、外来で食べ始める場合と入院して食べ始める場合があります。

2)維持期

目標量を引き続き食べ続け、一定期間症状なく経過したら、耐性化(症状なく食べられること)の有無を確認するための負荷試験(確認試験)を行います。

3)確認試験

2週間完全除去とした後、病院で負荷試験を実施し症状の有無を確認します。確認試験で症状が無ければ、一定期間自宅で自由に摂取を続けます。日常生活で症状が出ないことが確認されたら、学校や外食などの制限を解除していきます。確認試験で症状を認めた場合は維持期を再開しますが、症状が安定していれば食べる間隔を徐々にあけていきます。

症状が現れた時の対応

全ての段階ではアナフィラキシーショックを含めた症状が誘発される可能性があるので、常備薬(内服薬、吸入薬、エピペン®など)を事前に準備します。繰り返しますが経口免疫療法は、現在は標準的な治療とされておらず研究段階です。国内外のあらゆるガイドラインは、経口免疫療法を一般的な治療として行うことに否定的です。負荷試験をたくさん実施して食物アレルギーの診療に慣れている医師が、患者さんにそのリスクを十分に説明して了解を得られた上で、慎重さと覚悟をもって実施するものであることは強調したいと思います。安易に“食べてみる”ことは絶対に避けなければなりません。

 

アナフィラキシー(今井孝成先生)の連載記事

東京慈恵会医科大学医学部を卒業後、昭和大学小児科学講座に入局。独立行政法人国立病院機構相模原病院小児科にて小児科全般の診療ならびに、小児のアレルギー疾患について広く診療に携わる。同病院小児科医長を経て、2012年より現職。診療とともに、後進の指導にあたっている。また、アレルゲンの摂取・接触後、短時間で全身に複数のアレルギー症状が起き、時に重症化して危険な状態になるアナフィラキシーについて、保護者や教育関係者に啓蒙活動を行っている。

関連記事