インタビュー

アナフィラキシーの原因

アナフィラキシーの原因
今井 孝成 先生

昭和大学病院 小児科 教授

今井 孝成 先生

この記事の最終更新は2016年02月12日です。

アレルゲン(アレルギーを引き起こす物質)に接触・摂取した後、短時間で全身に複数のアレルギー症状が出現するのがアナフィラキシーであり、このうち血圧低下や意識障害等に陥る重篤な状態をアナフィラキシーショックと呼びます。アナフィラキシーショックはどのような状態の時に起きるのでしょうか。ここでは、昭和大学医学部小児科学講座今井孝成先生に、アナフィラキシーショックの発生メカニズムについて解説していただきます。

日本国内において、アナフィラキシーショックで受診される患者さんは、薬物、蜂毒、食物が原因のほとんどを占めており、このうち小児のアナフィラキシーの原因の多くが食物です。他にもラテックス(天然ゴム)が原因で発症する場合もあります。小児に多い食物アレルギーによるアナフィラキシーの原因は、一般的にそばやピーナッツが有名ですが、実際に数が多いのは鶏卵、牛乳、小麦です。最近増加している花粉症に関連した果物アレルギーはアナフィラキシーを起こしにくいと考えられています。しかし、食物アレルギーは患者さんの重症度や体調によっても症状が変わります。そのため、医師の検査を受けて食物アレルギーがあると分かった場合は、原因物質の摂取について留意する必要があります。

また、風邪などで体力を消耗している時やお風呂上がり、運動中~直後など、生理的変化が起きやすい時に強い症状が起こることがあります。

原因となる食物を取った後に、一定の運動を行うことでアナフィラキシーを起こす「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」という病態が知られています。サリチル酸製剤や食品添加物などで誘発リスクがさらに高まると考えられています。原因食物を摂取しなければ運動の制限を行う必要がなく、原因食物を摂取した場合は、食後2~4時間は運動を控えるように指導します。

アナフィラキシーを起こす物質(アレルゲン)として、小児の場合もっとも多いのは食物です。他に、蜂などの昆虫が分泌する毒や薬剤が知られています。発症までに食品が消化吸収される時間を要するのでアナフィラキシーを起こすまでの時間も長くなることが多く、一般的に食後30分程度とされます。ただし、短時間でアナフィラキシーを起こす可能性もあるので注意が必要です。

また、原因食物は「食べる」以外の摂取経路として粉末状のものを吸入する可能性もあり、飛散しやすい食品がアレルゲンとなっている場合、周囲の方が配慮する必要があります。

アナフィラキシーは即時型アレルギーの一種です。アレルゲンとなりうるものが分かっている場合は、原因物質を避けることが重要です。特に食品の場合、調理・加工した食品にアレルゲンとなるものが含まれている場合が考えられます。加工食品の場合は原材料をよく確認した上で、児童や乳幼児に与えることが重要です。

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