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鉄欠乏性貧血

最終更新日
2021年04月21日
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2021/04/21
更新しました
2017/04/25
掲載しました。

概要

鉄欠乏性貧血とは、体内の鉄不足によって生じる貧血のことです。血液中には赤血球、白血球、血小板、血漿といった成分が含まれています。このうち、赤血球は全身の組織に酸素を運ぶ役割を果たしており、赤血球に含まれるヘモグロビンが酸素とくっつくことで、酸素が血液に乗って全身へと運ばれます。

このヘモグロビンを作るためには鉄が不可欠で、鉄が不足するとヘモグロビンがうまく作られなくなります。そうすると全身に十分な酸素が行きわたらず、動悸や息切れ、めまい、立ちくらみ、疲れやすいなどの症状が現れるようになるのです。

貧血にはさまざまな種類がありますが、もっとも多いのが鉄欠乏性貧血です。特に月経のある女性に多く、日本では20~40歳代の女性の約2割が鉄欠乏性貧血を発症しているといわれています。

原因

鉄欠乏性貧血の原因は、出血による鉄の喪失、鉄の摂取不足、鉄の吸収障害の3つに大別されます。

出血による鉄の喪失

鉄欠乏性貧血の原因としてもっとも一般的なのが出血です。出血の原因には胃や十二指腸の潰瘍(かいよう)や炎症、がんが挙げられ、このような消化器からの出血は主に男性や閉経後の女性に見られます。また、閉経前の女性では月経や婦人科疾患に伴う出血が原因となることが多いといわれています。

鉄の摂取不足

偏った食事やダイエットで極端な節食が続くと、食事から十分な鉄分を摂取することができなくなります。特に成長の著しい思春期、妊娠中、授乳期には鉄分の必要量が増えるため、鉄欠乏性貧血を起こしやすくなります。

鉄の吸収障害

食事から摂取した鉄は胃酸によって吸収されやすい形になります。そのため、胃炎や胃切除後、胃酸抑制薬などの薬を服用している場合には、胃酸の分泌が低下して鉄が吸収されにくくなり、鉄欠乏性貧血を起こすことがあります。

症状

全身に十分な酸素が運ばれなくなると体内の各所が酸欠状態になり、動悸や息切れ、めまい、立ちくらみ、耳鳴り、疲れやすい、頭が重い、顔色が青白い、集中力の低下などの症状が現れます。

また、鉄が不足することで、爪が割れやすい、髪が抜けやすい、肌のかさつき、口の周りや舌が荒れる、無性に氷を食べたくなる、といった症状が見られるようになります。

一般的にこのような症状は貧血が急速に進むと強く現れ、ゆっくり進むと弱く現れるか症状が出ないこともあります。また、高齢の方は若い方と比べて症状が強く現れる傾向があります。

検査・診断

鉄欠乏性貧血の診断は血液検査によって行います。貧血の有無は血液中のヘモグロビン濃度(Hb)を調べることで分かりますが、貧血にはさまざまな種類があるため、赤血球数(RBC)、赤血球の大きさ(MCV)、網状赤血球(ret)、血清鉄(Fe)、総鉄結合能(TIBC)、血清フェリチンなどの項目も調べます。

一般的に、Fe低値とTIBC高値であれば鉄欠乏性貧血と診断します。また、血清フェリチンは貯蔵鉄の量を反映して増減し、低値を示す病態は鉄欠乏性貧血しかないため、血清フェリチンが低値を示すと鉄欠乏性貧血が確定となります。

血液検査で鉄欠乏性貧血であることが分かったら、その原因を調べます。胃や十二指腸からの出血、女性では婦人科疾患に伴う出血によって鉄欠乏性貧血が起きている場合があるため、必要に応じて検便や内視鏡検査、超音波検査などを行います。

治療

鉄欠乏性貧血では、欠乏した鉄を薬で補充することが治療の基本です。鉄の補充には内服薬によるものと注射によるものの2通りがありますが、通常はまず鉄剤の内服を選択します。

治療方法としては鉄剤を毎日1~2回服用し、これを6か月続けます。ただし、月経過多が原因の場合には、閉経まで薬を飲み続ける必要があることがあります。

鉄剤の内服が難しい場合や、内服による効果が期待できない重症例などでは、静脈注射で鉄剤を補充します。注射による補充は病院で行うため、頻回な通院が必要となります。

出血を伴う病気が原因となっている場合には、その病気に対する治療も行います。

予防

鉄欠乏性貧血の予防には、バランスのよい食事を十分に取ることが大切です。

食品中の鉄には“ヘム鉄”と“非ヘム鉄”の2種類があり、ヘム鉄は肉や魚などの動物性食品に含まれ、非ヘム鉄は野菜や穀類などの植物性食品に含まれています。

非ヘム鉄はヘム鉄よりも体内で吸収されにくいですが、動物性食品と植物性食品を同時に摂取することで非ヘム鉄の吸収がよくなります。また、鉄を多く含む食品ばかり食べているとほかの栄養素が不足してしまうため、バランスよく食べるよう心がけましょう。

なお、食事療法は鉄欠乏性貧血の予防に有用ですが、食事療法のみで治療するのは困難です。したがって、すでに発症している場合には内服または注射による治療をしっかりと続けることが大切です。

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