インタビュー

子どもがかかる病気と治療⑨ やせ/糖尿病/甲状腺機能低下症・亢進症/ケトン性低血糖症・アセトン血性嘔吐症

子どもがかかる病気と治療⑨ やせ/糖尿病/甲状腺機能低下症・亢進症/ケトン性低血糖症・アセトン血性嘔吐症
五十嵐 隆 先生

国立研究開発法人国立成育医療研究センター 理事長

五十嵐 隆 先生

この記事の最終更新は2016年11月27日です。

やせとは、栄養不足などがおもな理由で、肥満度がマイナス20%以下のものを指します。栄養摂取不足によるものがほとんどですが、見逃せない病気が隠れている場合もあります。

医学的には、肥満度がマイナス20%以下[肥満度(%)={実測体重−標準体重}÷標準体重×100]をやせとしていますが、体重が少ないから必ずしも病気であるとは言えません。体重が少なくても、長いあいだその状態が保たれていて、日常生活を行ううえで問題がなければ健康と言えます。短い期間での体重減少は病気の可能性が高いため、原因を明らかにして対応します。やせの原因は、食べる量の減少、いろいろな病気による食欲の低下、そのほか病気による症状である場合があります。心理的なものが原因である場合は、心配や悩みを取り除き、食事に対する恐怖をやわらげて正しい食行動を取れるようにすることが治療のテーマとなります。

(医療法人社団保健会谷津保健病院 小児科 部長 塚田日出樹先生)

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糖尿病は、インスリンというホルモンが少なくなったり、働きが悪くなったりすることで、体のエネルギーとなるブドウ糖を利用できなくなる病気です。治療で合併症を予防します。

糖尿病は、体に取り入れたブドウ糖を、細胞でエネルギーとして利用するために必要となる「インスリン」というホルモンが少なくなったり、働きが悪くなることから、ブドウ糖をエネルギーとして利用できなくなる病気です。血中にブドウ糖が増えるため、のどが渇く、おしっこの回数が多いなどの症状が見られます。長い期間インスリンが不足すると、吐き気、嘔吐、腹痛、多呼吸、意識障害なども出てきます。子どもでは、自己免疫的なしくみから膵臓が破壊されてインスリンが少なくなる1型糖尿病が多いのですが、最近は、肥満からインスリンの働きが悪くなる2型糖尿病も増えています。治療は、食事や運動、薬物、インスリン治療などで行います。

(帝京大学医学部附属病院 小児科 講師 磯島 豪先生)

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甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモン不足によって成長障害、むくみなどが起きます。甲状腺機能亢進症は、甲状腺ホルモン過剰によって動悸、手のふるえ、体重減少などが起きます。

甲状腺ホルモンは、首の前面にある甲状腺から分泌されるホルモンで、全身の細胞に作用して代謝を上げる働きがあります。子どもでは、発達・発育にも不可欠なホルモンです。甲状腺機能低下症には、甲状腺発生の異常による先天的なものと、自己免疫の異常による橋本病があります。症状は、成長障害、むくみ、脈が遅くなる、などで、治療は甲状腺ホルモンの内服です。甲状腺機能亢進症には、自己免疫の異常によるバセドー病と甲状腺に結節ができるプランマー病があります。症状は、動悸、手のふるえなどです。治療は、バセドー病では抗甲状腺薬内服のほか、外科治療、放射線療法もあります。プランマー病では外科的に結節を切除します。

(帝京大学医学部附属病院 小児科 講師 磯島 豪先生)

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風邪やストレスなどが引き金となって低血糖となり、嘔吐をくり返します。病気をもとから治す方法は現時点ではありませんが、10歳前後で症状が出なくなります。

ケトン性低血糖症は、早朝の空腹時や、病気による食欲低下時などに起こりやすいものです。ヒトは、飢餓状態になると肝臓にあるグリコーゲンを分解して血液中の血糖を維持しますが、子どもはこの蓄えが少ないため低血糖になりやすいのです。全身の疲れや嘔吐、けいれんを起こし、悪化すると危険なこともありますので、予防のために早めに糖分をとることが必要です。アセトン血性嘔吐症は、突然発症し、嘔吐をくり返します。肉体的・精神的なストレスが原因で発症しやすいものです。いずれも尿検査でケトン体が多く出ます。軽症の場合、自然回復が望めますが、脱水が心配なときは点滴を行います。年齢とともに発症しなくなります。 

(医療法人社団保健会谷津保健病院 小児科 部長 塚田日出樹先生)

 

※この記事は2012年当時の情報に基づいて記載しております。

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この記事の目次

  1. 橋本病など甲状腺機能低下症の治療—レボチロキシンの内服
  2. 橋本病など甲状腺機能低下症で治療の対象になるのは? TSHがカギを握る
  3. 甲状腺機能低下症は治る病気なの?
  4. 放っておくとどうなる?

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