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甲状腺機能亢進症(バセドウ病)の症状と合併症

  • #甲状腺機能亢進症
  • インタビュー
  • 公開日:2015/08/13
  • 更新日:2017/01/11
甲状腺機能亢進症(バセドウ病)の症状と合併症

甲状腺機能亢進症(バセドウ病)は女性に頻度の高い、甲状腺ホルモンが出すぎてしまう病気です。バセドウ病ではどのような症状が出るのでしょうか? 気をつけなければいけない合併症はどのようなものでしょうか? 横浜労災病院内分泌代謝科部長の齋藤淳先生にお話を伺いました。

甲状腺機能亢進症(バセドウ病)の代表的な症状

バセドウ病の代表的な症状13点を以下にまとめました。これは、バセドウ病だけではなく甲状腺機能亢進症一般に言えることです。

  • 甲状腺が腫れる
  • 眼球突出(後述するように目が大きくなります)が起こる
  • 疲れやすくなる(よくある症状です)
  • 怒りやすくなる(易刺激性とも言います。問診では喧嘩っぱやくなっていないか? 気が短くなっていないか? ということを聞いたりします)
  • どんなに食べても痩せてしまう
  • 頻脈(ひんみゃく)、脈が速くなる(よくある症状です)
  • 動悸(どうき)、心臓がどきどきする(よくある症状です)
  • よく眠れなくなる
  • 汗をかきやすくなる
  • 下痢をしやすくなる(女性は元々が便秘傾向にあるのでこれは訴えにならないこともあり、むしろ最近快調です、という患者さんもいます)
  • 生理不順(女性の場合、あまり気づかれないことも多い)
  • 手のふるえ(手の振戦を訴えるものの、どこで相談していいか分からないため、いろいろな診療科を回っている方もいる)
  • 筋力低下

※初期症状は?

バセドウ病には、これといった初期症状はありません。あえて言うのであれば、最初に自覚することとしては、「食欲が上がってたくさん食べているわりには体重が増えない」というところでしょうか。

甲状腺機能亢進症(バセドウ病)の合併症

心房細動

不整脈の1つです。症状としては脈のリズムが不規則になり、頻脈(脈が速くなること)になります。

心不全

前述した心房細動などが原因となり、心不全を起こしてしまうことがあります

バセドウ病眼症

前述したように、甲状腺機能亢進症では眼が前に突き出て大きくなる「眼球突出(がんきゅうとっしゅつ)」を起こすことがあります。これを「バセドウ病眼症」といいます。バセドウ病眼症は、タバコが悪化のリスクになります。なお、甲状腺機能亢進症の改善と共に眼球突出は改善されます。

周期性四肢麻痺(しゅうきせいししまひ)

激しい運動や過食のあとしばらくしてから手足に力が入りにくくなることを繰り返すことが特徴です。まれな合併症ではありますが、比較的男性に多くみられます。
具体的なシーンとしては、一人暮らしの若い男性がカップ麺などで炭水化物をたくさん食べているなど栄養の偏りが見られると、周期性四肢麻痺を引き起こしやすいことがわかっています。

周期性四肢麻痺を2~3回程度発症してしまうケースはありますが、何回か起こしてしまうと自覚して注意するようになるので、それ以上は繰り返さなくなります。

甲状腺クリーゼ

バセドウ病などの甲状腺機能亢進症に対して治療が行われていない場合や、甲状腺機能のコントロールがよくない時などに起こります。具体的な症状としては発熱・けいれん・意識障害・心不全などがあり、大変危険な状態です。

  • ※甲状腺クリーゼのリスクは?

甲状腺クリーゼのリスクとして最も危険なのは自分で勝手に治療を中断して、抗甲状腺薬の服用をやめてしまうことです。また、甲状腺機能亢進症に気づかずに未治療・未服薬でいる方が甲状腺クリーゼを引き起こしてしまうケースもあります。

医師の処方通りに薬を内服し、きちんと自己コントロールができていれば、甲状腺クリーゼはほとんど起こりません。ですから、治療中の方は決して、治療を勝手に中断してはいけません。そして、まだ治療をしていなくても前述したような症状が出ている方の場合は、早めに医師に相談することをお勧めします。

また、別記事「甲状腺機能亢進症(バセドウ病)の治療―RI治療、手術、日常生活の注意点」で説明するラジオアイソトープ治療をしたときも、甲状腺が一過性に破壊されます。特に治療後2~6週間あたりに多く甲状腺ホルモンが出てくるので、注意が必要です。

骨粗しょう症

元々女性に多く、かなりの頻度で発生します。女性は閉経後、骨粗しょう症を起こしやすくなりますが、バセドウ病が絡むとさらに輪をかけて骨の状態が悪くなります。特に、若いうちからバセドウ病のコントロールがうまく出来ていない方は骨粗しょう症が進行している方が多いです。

齋藤 淳

齋藤 淳先生

横浜労災病院内分泌代謝内科部長 千葉大学医学部臨床教授

愛媛大学医学部、米国国立衛生研究所(NIH)を経て現在は横浜労災病院内分泌代謝内科部長ならびに千葉大学の臨床教授を務める。内分泌代謝内科一般、特に甲状腺疾患、甲状腺腫瘍を専門としており、日本内分泌学会では評議員を務める。部長を務める横浜労災病院は原発性アルドステロン症や糖尿病の診療施設としても有名であり、横浜市北部の医療を支えている。

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