Img searchbox
心臓

心房細動

心房細動
に関する情報を集めました

心房細動とは

心臓の脈は、電気の興奮によって心臓の細胞が収縮することで作り出されます。電気の興奮の始まりは、右心房にある洞結節(どうけっせつ)と呼ばれる部分で起こり、心房を伝わり、心房と心室の間の房室結節と呼ばれる部位を通過して、心室へ電気信号を伝えます。このような心臓の刺激伝達系のはたらきによって、心房と心室が同調して規則正しく動くことができます。
正常な心臓では、洞結節で1分間に60-100回程度の電気興奮が起こり、心房から心室へ電気信号を伝えます(洞調律(どうちょうりつ)と呼びます)。しかし、心房細動が起きた状態では洞結節ではなく、心房全体でバラバラに電気興奮が起こるため心房は1分間に400-600回拍動します。そのすべての興奮が心室に伝わると、心室から血液をうまく送り出せなくなるため、房室結節が関所のような役割をして、400-600回の興奮のうちの一部を不規則に心室に伝えます。そのため、心房細動では実際の脈拍は50-100回/分程度に抑えられますが、脈拍が不規則になります。


心房細動は脈拍が早くなる頻脈性不整脈に分類され、最も頻度の高い不整脈で有病率は全人口の1-1.5%、80歳以上の方では5-8%であるといわれています。心室細動とは名前は似ていますが(心室細動:https://medicalnote.jp/diseases/%E5%BF%83%E5%AE%A4%E7%B4%B0%E5%8B%95)、致命的になる可能性がある心室細動とは異なり、心房細動が直接致命的になることはほとんどありません。しかし、後述するように、大きな合併症として脳梗塞や心不全があり、放置しておくことは危険です。


心房細動は不整脈の持続時間によって、以下の3種類に分類されます。
1. 発作性心房細動
心房細動が発症して7日以内におさまる状態です。発作が起こって数秒~7日以内に症状が治まるものの、しばらくすると再び心房細動が起こる状態を発作性心房細動といいます。いったん発作性心房細動になると発作回数が徐々に増えていき、後述する永続性心房細動(慢性心房細動)や持続性心房細動に移行してしまう可能性が出てきます。
2. 持続性心房細動
持続性心房細動は、心房細動が7日以上続いて自然に止まらない状態です。しかし、薬や電気ショックによって止めることができる段階です。しかし、再発率が高いため通常の薬物療法を行った場合に、1年後に洞調律(正常な脈)を維持できる確率は約50%といわれています。
3. 永続性心房細動(慢性心房細動)
永続性心房細動は、薬や電気ショックなどの治療を行っても心房細動の状態を抑えることができなくなった段階です。この段階まで進行してしまった場合は、心房細動を無理に止める治療は行わず、薬物治療による適切な脈拍のコントロール(レートコントロール)と、脳梗塞を予防するために血液が固まりにくくする抗凝固療法を行って、心房細動のまま経過をみていく場合もあります。


こちらの記事も参照下さい。
https://medicalnote.jp/contents/151019-000003-QXATWJ

原因

・心疾患
狭心症、心筋症、心臓弁膜症、心筋梗塞など心臓に基礎疾患がある場合、日常的に心臓機能に負担がかかっているため不整脈が起こりやすく、心房細動を発症するリスクが高くなります。


・高血圧
高血圧の状態が続くと心房に負担がかかり、心房細動が起こりやすくなります。


・生活習慣
偏った食事や不規則な生活などを続けていると、高血圧をはじめ高脂血症、糖尿病などの生活習慣病の原因になります。生活習慣病があると心房細動が起こりやすくなります。また、生活習慣病を有していると脳梗塞になる可能性も高くなります。


・加齢
心房細動は、年齢を重ねるごとに発症率も上がっていきます。高齢になると心筋が線維化するため、若い頃に比べ心臓の構造がもろくなり、それが原因となって心房細動を発症しやすくなります。


・自律神経
自律神経のバランスが崩れることで、体調にも影響し、心房細動を引き起こす要因になることがあります。


・その他の要因
甲状腺機能亢進症など内分泌系の基礎疾患がある場合も心房細動を起こしやすい要因になります。健康な人でも、過度な飲酒や不眠、貧血状態であったり、発熱や脱水症状を起こしていたりすると、心房細動を引き起こすことがあります。
また、遺伝との関係は一部確認されている段階で、現在研究が続けられています。


症状

心房細動の自覚症状には以下の様なものが挙げられます。ただし、自覚症状は非常に個人差が大きく、無症状の方もいれば、気になって仕事や生活に集中できなくなってしまう方もいます。


・動悸:脈が速くなる、遅くなる、不規則になる、など。
・胸部不快感
・胸痛
・立ちくらみ、めまい


前述の通り、脈拍が不規則になったり、速くなったりしても心房細動が直接致命的になることはほとんどありませんが、重篤な合併症を引き起こすことがあります。


●心房細動の合併症
・心原性脳梗塞
心房細動が起きている心臓では、心房が不規則に速く収縮するため、心房内の血流が停滞気味になってしまいます。そのため、心房の中に血液の塊(血栓)ができやすくなります(特に左心房にある左心耳と呼ばれるところに起きやすいです)。この血栓が何らかのきっかけで心臓から剥がれて心臓の外に出ていくと、動脈を経由して脳に到達し、脳の太い血管を突然つまらせて、「心原性脳梗塞」を発症します(脳梗塞:https://medicalnote.jp/contents/160219-017-QB)。脳梗塞を発症した場合は、手足の麻痺や、言葉の障害、意識の障害などの重篤な症状が起こります。
・心不全
心房細動により速い脈拍が持続した場合には、心臓に負担がかかり心不全の状態に陥ることがあります。心不全を発症すると、息苦しさ、足や顔のむくみなどが自覚症状として出てきます。


こちらの記事も参照下さい。
https://medicalnote.jp/contents/151019-000005-HWFKRX
https://medicalnote.jp/contents/151019-000007-AXOVTJ


検査

●心電図検査
・ 標準12誘導心電図
最も基本的な検査ですが、非侵襲的で被検者の負担が少なく、ほとんどの診療所で簡便に検査が可能なことから他の循環器疾患と同様に心房細動の診断には必須の検査です。
心房細動が起きているときに検査を行えば、心電図検査で心房細動の診断が可能です。しかし、発作性心房細動の場合は、不整脈発作が起きていないときに検査を行っても異常が検出できないため、この検査で異常がなくても心房細動が否定できるわけではありません。逆に、症状がなくても定期検診の心電図検査で偶然発見される場合もあります。
・ ホルター心電図
胸にいくつかの電極を貼り付け、携帯型の心電図装置に日常生活の心電図を24時間記録する検査です。日常生活の中で心電図を記録できるため、心房細動の発作を発見しやすくなります。
・ イベント心電図
小さな記録装置を患者さんに持ってもらい、日常生活のなかで動悸などの自覚症状が起こったときに装置を胸に当てて心電図を記録するといった仕組みで心房細動を検出することができます。


●心臓超音波検査
超音波により、心臓の収縮力、心拡大/心肥大の有無や心臓の弁の状態を評価することができます。また、心房の中に血栓ができていないかも確認することができます。被検者の負担が小さいので基本的な検査としてよく行われます。
しかし、血栓ができやすい左心房は体表から遠い位置にあるため、通常の超音波検査でははっきりと確認することが難しい場合があります。そのような場合には、「経食道心エコー検査」といって、胃カメラのようなエコー装置を口から飲み込み、心臓を体の内側から観察する装置を用いて検査を行い、血栓の位置や大きさを確実に診断します。


こちらの記事も参照下さい。
https://medicalnote.jp/contents/151019-000006-PBLCCK
https://medicalnote.jp/contents/160113-000037-DQEMYC


治療

心房細動に対する治療は薬物治療とカテーテルによる治療に大きく分かれます。


●薬物治療
心房細動に対する薬物治療は、さらに、血液をサラサラにして脳梗塞を予防するための抗凝固薬と脈拍を整える抗不整脈薬とに分かれます。
・抗凝固薬
心房細動の合併症で最も大きな合併症である脳梗塞を予防するため、血液をサラサラにする抗凝固薬を内服します。以前から用いられているワーファリンや最近になって出てきた新規経口抗凝固薬(Novel Oral AntiCoagulants; NOAC (ノアック)や Direct Oral Anticoagulants; DOAC (ドアック) と呼ばれます。薬品名は、ダビガトラン、リバロキサバンなどです。)がそれに該当します。
脳梗塞の危険因子が多い方が内服の適応となり、副作用としては逆に出血をしやすくなってしまうことが挙げられますので、しっかりと内服管理を行うことが重要です。
ワーファリンに関しては、食品に含まれるビタミンKにより効果が妨げられるので、内服中は納豆やブロッコリー、青汁などのビタミンKが多く含まれる食品を避ける必要があります。
・抗不整脈薬
脈拍を整える抗不整脈薬を内服する目的は、「心房細動を止めて正常な脈に戻すため」と「心房細動のままで速い脈を遅くするため」の2つに分かれます。
前者の正常な脈に戻す目的には、心臓の細胞の興奮を抑制するタイプの薬剤が用いられます。ピルジカイニドやフレカイニド、ベプリジルなどがそれに該当します。
後者の速い脈を遅くする目的では、交感神経(自律神経の一つで興奮時にはたらく神経)のはたらきを抑制するβ遮断薬や、心房と心室の電気伝導を抑制するカルシウム拮抗薬がよく用いられます。
副作用としては細胞の興奮を抑える薬剤であるため、心臓の機能が低下し心不全を起こす可能性や、細胞の興奮が不安定となり重症な不整脈を起こす可能性があるため、主治医の指示通りにしっかり内服管理する必要があります。


●カテーテル治療
心房細動と診断された場合、一般的にはまず薬物治療を行いますが、薬物治療で不整脈が停止しなかった場合は、カテーテル治療(高周波カテーテルアブレーション)を検討します。
高周波カテーテルアブレーションとは足の付け根の太い血管から、カテーテルと呼ばれる細い管を心臓まで持っていき、心房細動を引き起こしている心臓の筋肉の細胞を高周波電流で焼き切る手術のことです。手術時間は3-6時間程度で、局所麻酔で行うことができ、外科手術に比較して体への負担は少なくてすみます。
しかし、すべての心房細動に有効なわけではなく、発作性の場合は8-9割の成功率ですが、持続性や永続性の場合は6-7割に下がってしまいます。また、一度心房細動が止まっても、再発して2度、3度と治療が必要になってくる場合もあります。
合併症としては、カテーテル挿入部の出血や血腫、感染のリスクの他、稀ではありますが、心臓に傷がつき心臓周囲に血液が漏れて溜まる心タンポナーデという重篤な合併症を引き起こすことがあります。


●外科手術
心房細動に対する外科手術はメイズ手術と呼ばれ、開胸手術により心房に高周波電流で電気的な隔離線を引き、心房細動を治療するものです。患者さんに対する負担が大きいため、単独で行われることは少なく、他の心臓手術を行うときに一緒に行われることがほとんどです。最近では低侵襲な外科治療法として「WOLF-OHTSUKA法」が考案されています(WOLF-OHTSUKA法:https://medicalnote.jp/contents/160203-042-LH)。


こちらの記事も参照下さい。
https://medicalnote.jp/contents/160121-002-WZ
https://medicalnote.jp/contents/160807-005-SI

心房細動に関する記事一覧

もっと見る

この病気の記事に協力していただいている先生

病気検索に戻る