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インタビュー

公開日 : 2016 年 02 月 21 日
更新日 : 2017 年 05 月 08 日

心房細動に対する最新治療、「WOLF-OHTSUKA法」とは

心房細動の最新外科治療「WOLF-OHTSUKA法(以下、WO法)」は、不整脈を治すアブレーションと脳梗塞を予防する左心耳切除の2つの要素から成り立っています。WO法を考案された東京都立多摩総合医療センター心臓血管外科部長の大塚俊哉先生にお話をうかがいました。

WOLF-OHTSUKA法とは

WO法はIとIIに分かれています。W-O Iはアブレーションと左心耳切除の両方を行い、W-O IIは左心耳切除のみを行います。患者さんによってふたつの方法を使い分けています。これまで合計500例以上のWO法を行ってきましたが、アブレーションを含めたW-O Iのほうが多く、割合でいえば現在のところIとIIが4:1程度です。手術時間はW-O Iでアブレーションを入れても1時間から1時間半ほどですし、W-O IIの左心耳切除だけであれば約20分で終わってしまいます。

アブレーション手技(画像提供:大塚俊哉先生)

 

WOLF-OHTSUKA I のアブレーションとは

アブレーションの目的はリズムコントロールによる不整脈の治療です。W-O Iで私が行っているアブレーションは心臓の外から行うものですが、これにはカテーテル法によるアブレーションとは決定的に違う部分と、共通している部分の2つがあります。

まず共通する部分についてお話ししましょう。

心房細動の引き金となる不整脈のほとんどが肺静脈から発しているので、そこに熱を加えて電気的に隔離し、異常な電気信号が心臓に伝わらないようにします。これを肺静脈隔離といいます。つまり、ターゲットとなる部分と、そこを焼く(熱を加える)ことに関してはカテーテルによるアブレーションと同じです。

次に、異なる部分についてご説明します。

循環器内科ではカテーテルを血管の中に通して、X線透視も使い、心臓の内側から内膜を通して焼いていきます。熟練者でも3時間程度はかかるようですし、1回では終わらないことも多いようです。アブレーションの過剰な熱エネルギーが心臓の外に達する可能性もあり、心臓壁の穿孔による出血や周辺臓器を傷めることもあり得るといわれます。

一方、W-O Iは内視鏡による画像を見ながら、心臓の外側から焼きます。したがって治療によるX線被ばくはありません。また、非常に作業効率のよいクランプという道具を使用します。これを用いることで、上下の肺静脈をまとめて取り囲むように焼く作業が、10秒ほどで確実に完了できます。

短時間の1回の手術で治療を終えることができる理由は、この専用の手術器具にあります。アブレーションの熱エネルギー伝達方法も異なり、術式の安全性につながっています。熱エネルギーはクランプで挟まれた心臓の壁にのみ伝わり、その伝達量は挟まれた組織の抵抗値で自動的に調節されます。よって、アブレーションの際、心臓の穿孔や食道や横隔神経などの隣接臓器に対する熱損傷がありません。

もちろんWO法 が良いことづくめというわけではありません。WO法は全身麻酔を要しますから、全身麻酔に耐えられない重症の呼吸器疾患の方は適応外になりますし、何らかの原因(炎症や胸部の術後など)による心臓周囲や胸腔内の癒着(本来分離しているはずの組織同士がくっついてしまっていること)のためアブレーションができないこともあります。

一方、カテーテル治療は局所麻酔で行われますから、呼吸機能に関わらず治療は可能ですし、心臓外の癒着も治療には関係ないでしょう。

最近、一方の短所を他方が補う治療法も考案しました。つまり、WO法でもカテーテルでも、単独では完遂が困難な難しい手術例に治療をシェアしながら段階的に行うハイブリッド法の考案です。

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