【インタビュー】

クリップする
URLを入力して
記事をクリップしましょう
指定された URL のページが見つかりません
S664x430 0cebce21 a028 438e 93e3 ed1383db595a
心房細動とはー他の不整脈との違いを専門医が解説
心房細動は、有名人などが罹患し、医療ドラマでもたびたび取り上げられることなどから、一般の方々にも認知されるようになってきています。耳にしたことがあるという方も多いのではないでしょうか。心臓は上下...
Male consulter resolved
クリップに失敗しました

心房細動とはー他の不整脈との違いを専門医が解説

公開日 2015 年 10 月 27 日 | 更新日 2017 年 12 月 12 日

心房細動とはー他の不整脈との違いを専門医が解説
池田 隆徳 先生

東邦大学医学部内科学講座循環器内科学分野 教授

池田 隆徳 先生

心房細動は、有名人などが罹患し、医療ドラマでもたびたび取り上げられることなどから、一般の方々にも認知されるようになってきています。耳にしたことがあるという方も多いのではないでしょうか。心臓は上下でその役割が異なり、上部分を心房、下部分を心室といいます。心房細動は、このうち心房にあらわれる不整脈に分類されています。今回は心房細動の病態と分類について、東邦大学医学部内科学講座循環器内科学分野の池田隆徳先生にお話をお聞きしました。

心臓の構造

心臓は、左手を軽く握った程度の大きさで、私たちが生まれてから死ぬまでずっと動き続けている臓器です。もしも心臓が10秒止まってしまえば意識不明に陥り、30秒停止すれば脳死が始まります。これほど、心臓は私たちが生きていくうえで必要不可欠な臓器なのです。

心臓は大きく上下に分かれ、4つの部屋に仕切られている

それぞれ右心房、左心房、右心室、左心室と名前がついています。下側に位置する左心室と右心室は体全体に血液を送り出す働きを持つため、心筋が10mm程度と分厚いのが特徴です。

上側に位置する右心房と左心房は心室に血液を送る役割を果たしており、心筋の厚さも2~3mm程度と比較的薄目となっています。また、房室結節は右心房の下部にあり、心室を動かすための刺激伝達系の役目を果たします。房室結節が正常に働くことで、たとえ心房が興奮状態に陥ったとしても、その興奮が心室に伝わらないように調整する機能をもっています。

心臓の構造
心臓の構造

 

心房細動とは

心房細動は頻脈性不整脈に分類される、不整脈の一種です。

心房細動はごくありふれた病気(コモン・ディズィーズ)であり、赤ちゃんからお年寄りに至るまで、心房細動の有病率はおよそ1~1.5%、80歳以上の方に限定した場合は5~8%(16~20人に1人)であるといわれます。

心房細動は心房のところで起きる不整脈

一般的に危険性は低く、良性の不整脈として分類されます。ただし、放置しておくと死に至る可能性もあるため、注意しなければなりません。

正常な心臓は通常1分間で60~100回拍動します。しかし、心房細動が起きた状態でその拍動数は1分間で400~600回以上にもおよびます。けいれんするように動いているととらえることもできます。しかし、前述した房室結節が中継地点となります。これが砂時計のように脈拍を間引きするため、実際の脈拍は正常のままである場合があります。

心房細動の分類

心房細動は症状の程度によって以下の3種類に分類されます。

発作性心房細動

発作が起こって数秒~7日以内に症状が治まるものの、しばらくすると再び心房細動が起こる状態を発作性心房細動といいます。いったん発作性心房細動になると発作回数が徐々に増えていき、後述する永続性心房細動(慢性心房細動)や持続性心房細動に移行してしまう可能性が出てきます。これは、心房細動によって心房筋(心房の筋肉)が変化し、心房細動を再発しやすい構造に変化してしまうからです。発作時間には幅がありますが、ほとんどの方は数時間程度だといわれています。

持続性心房細動

持続性心房細動は、症状が7日以上続いて自然に止まることはありません。しかし、薬や電気ショックによって止めることができる段階です。特に、電気ショックによる治療では94%の患者さんが回復するという結果も出ています。

持続性心房細動は再発率が高く、通常の薬物療法を行った場合、1年後に洞調律が維持できている確率は約50%です。また、心房細動が1年以上持続している状態を、長期持続性心房細動と呼びます。

永続性心房細動(慢性心房細動)

永続性心房細動では、薬や電気ショックなどの治療行為を行っても心房細動の状態を抑えることができない段階です。この場合は心房細動を無理に止める治療は行わず(心房細動の受容といいます)、抗凝固療法を行います。(詳細は『心房細動と脳梗塞の関係。心房細動は脳梗塞を引き起こす可能性がある』

他の不整脈との違い

不整脈は頻脈性のものと徐脈性のものがあります。そのうち、心房細動が分類される頻脈性不整脈は、上室性不整脈と心室性不整脈に分けられます。心房細動は上室性不整脈に分類され、このタイプは一般的に危険性の高いものではありません。

心房期外収縮は良性の不整脈

これと似た不整脈に、心房期外収縮という病気があります。心房期外収縮は一発~数発、不規則に不整脈が現れる状態で、ほとんどの方が無症状です。きわめて良性の不整脈であるため、生活に支障が無ければ放置しておいて構いません。

心房粗動ー心電図で見る心房細動との違い

心房粗動の方の心電図を撮ると、細かく揺れるようなのこぎり状の粗い波が映し出されます。心房粗動と心房細動は名前が似ていますが、両者は発生のメカニズムが異なります。

心房粗動は、リエントリーという興奮波が、三尖弁のあたりをぐるぐると回ることによって起こります。一方、心房細動は、そのリエントリーが縦横無尽にあちこちを動き回ることで発生します。双方ともに良性の不整脈ですが、治療対象となります。このように心房粗動と心房細動は発生メカニズムが異なるため、『心房細動と脳梗塞の関係。心房細動は脳梗塞を引き起こす可能性がある』で述べるカテーテルアブレーションでの治療のあり方も異なってきます。

 

心房細動の波形
心房細動。波の形や大きさともに不規則。
心房粗動の波形
心房粗動。のこぎり状の規則的な心房のぶれが確認できる。

 

現在、東邦大学医学部内科学講座循環器内科学分野教授であり、東邦大学医療センター大森病院循環器センター長を兼任している。循環器内科を専門とし、なかでも不整脈の診療を得意としている。国内外の専門領域の学会で理事などの要職を務めるかたわら、医師のみならずコメディカルや学生向けにも、循環器、不整脈、心電図、薬物治療、カテーテル・デバイス治療に関する書籍を数多く執筆しており、難解なテーマに対する平易で的確な解説にも定評がある。

関連記事