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不整脈ではどんな治療をするの?〜4つの治療法の内容と、治療ごとの適応とは〜

不整脈ではどんな治療をするの?〜4つの治療法の内容と、治療ごとの適応とは〜
藤田 勉 先生

医療法人 札幌ハートセンター 理事長 兼 CMO

藤田 勉 先生

目次
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不整脈とは、心臓を動かすための電気刺激に異常が生じることによって、脈が一定でなくなることを指します。一口に不整脈と言っても、徐脈・頻脈・期外収縮の3種類があり、症状の現れ方によっては一部治療が不要なものもあります。

しかし、治療が必要な不整脈である場合は、命に関わる場合もあるため、それを判断するために、必要に応じた検査のもと適切な治療を受けることが大切です。本記事では不整脈の治療方法について詳しく解説します。

不整脈が疑われる場合には、まず心電図検査、胸部X線検査、血液検査、ホルター心電図検査、運動負荷心電図検査、心臓超音波検査などが実施され、これらの結果を踏まえて診断されます。

ホルター心電図検査

小型の心電計をつけて生活し、長期的な心電図の変化を見る検査です。不整脈の回数や状態などを調べることができます。

運動負荷心電図検査

階段の上り下りや徒歩、自転車をこぐなど運動をしたときの心電図の変化を見る検査です。

心臓超音波検査

胸の表面から超音波を当てることによって、心臓の形態や動きを見る画像検査です。心臓に病気があるかどうかを確認できます。

検査・診断の結果、治療が必要な不整脈と判断された場合には、薬物治療、デバイス治療、カテーテル・アブレーション治療、手術治療の中から治療方法が検討されます。検討される治療方法は、不整脈の種類によって異なります。

症状が現れている不整脈に対しては薬物治療が検討されます。

薬物治療は徐脈・頻脈・期外収縮の3つのうち、どの不整脈の治療においても用いられることがあります。薬物治療には、主に抗不整脈薬や安定剤の処方が検討されます。

強い症状のある徐脈や頻脈では、デバイス治療が検討されます。

気を失うような徐脈の場合にはペースメーカーの取り付けが検討されます。ペースメーカーとは、心臓の外から電気刺激を与えることによって正常な拍動を促す装置のことで、最低限の心拍数を確保します。

さらに、心室細動心室頻拍など突然死の恐れがある頻脈では、植込み型除細動器(ICD)の取り付けが検討されます。ICDとは不整脈を感知し、心臓に電気ショックを与えることによって突然死を予防できる装置です。

頻脈で原因となる部位が明らかな場合には、カテーテル・アブレーション治療が検討されます。

カテーテル・アブレーション治療とは、カテーテルと呼ばれる細い管を血管に挿入し、原因となる部位まで進めたところで、その部位を熱で焼いて壊死(えし)させる治療です。

カテーテル治療は太股の付け根や鎖骨付近の血管からカテーテルを挿入することが一般的で、X線で観察しながら挿入されます。不整脈の種類によりますが、通常3〜5日で退院が可能です。

不整脈に対する手術治療は、主に心房細動や心室頻拍などの頻脈で検討されることがあります。

心房細動に対する手術はメイズ手術と呼ばれ、原因となる心筋部分の部位を電流などで壊死させて行われることが一般的です。僧帽弁の手術など胸を開く手術に追加で行われることが多いです。

薬物治療やカテーテル・アブレーションで根治が困難だった心室頻拍に対して外科治療をすることもあります。心筋梗塞(しんきんこうそく)を合併している場合には、主にDor手術といって心筋梗塞のある部分を切り取り、凍結凝固して切り取った部分を閉鎖する手術が行われます。心筋梗塞を合併していない場合には、異常部位の心筋切開、切除、凍結凝固などが検討されます。

医療の進歩によって多くの不整脈が治癒可能な時代になってきています。そのため、QOL(生活の質)を下げない、突然死などを予防するためにも自分の不整脈の種類や程度を把握し、治療を受けることが大切です。納得した治療を受けるためにも、自身の不整脈の状態や治療内容について不安や疑問がある場合には、躊躇せずに担当医に相談して十分に説明を受けるようにしましょう。

また、不整脈は治療と同様に予防も重要です。不整脈の予防には、医師の指示に従って、ストレスをためないよう心がけ、規則正しい生活を送るとよいでしょう。

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