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心疾患と深い関わりを持つ、マグネシウムの効果とはたらきとは
生活の中で、マグネシウムという栄養素を意識することはあるでしょうか。マグネシウムは一般的に認知度が低く、あまり重要視されませんが、実は体の機能維持に欠かすことができないミネラルです。また、マグネ...
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心疾患と深い関わりを持つ、マグネシウムの効果とはたらきとは

公開日 2017 年 06 月 10 日 | 更新日 2018 年 09 月 20 日

心疾患と深い関わりを持つ、マグネシウムの効果とはたらきとは
長谷部 直幸 先生

旭川医科大学 循環・呼吸・神経病態内科 教授

長谷部 直幸 先生

生活の中で、マグネシウムという栄養素を意識することはあるでしょうか。マグネシウムは一般的に認知度が低く、あまり重要視されませんが、実は体の機能維持に欠かすことができないミネラルです。また、マグネシウムはあらゆる心疾患、老化の防止に有効ですが、そのことも世間にはそれほど知られていません。マグネシウムは体内でどのような働きをするのかについて、旭川医科大学内科学講座教授の長谷部直幸先生にお話を伺いました。

そもそもマグネシウムとは?

血管や神経などの細胞の機能維持に必要不可欠な栄養素

マグネシウムは、エネルギー代謝や糖利用、タンパク質合成など人の生命維持と、血管や神経を含むあらゆる細胞の機能維持に必要不可欠なミネラルです。乳幼児から高齢者まで、年代性別を問わず適正量を充分に摂取することが理想的ですが、ホルモンバランスを整える働きがあるため、特に生殖年齢(子どもを産む年代)にある女性は不足しないように注意しましょう。

体内の酵素(こうそ)のうち300種類の補酵素として働く

マグネシウムは、体内に存在する酵素のうちおよそ300種類の補酵素としての働きを持ちます。酵素とは身体を活性化させる源であり、酵素が不足すると血液が汚れ、あらゆる疾患を引き起こしやすくなります。補酵素とは、この酵素が生命体内で活動するために必要不可欠な物質で、パートナーのような存在です。たとえばカルシウムの吸収を司る酵素は単体では機能しませんが、補酵素であるマグネシウムによって、この酵素が正常に機能します。このようにマグネシウムは、カルシウムの吸収を司る酵素・細胞膜の機能を維持する酵素・細胞質の環境を保つ酵素など、およそ300種類の酵素を正常に機能させる役目を果たすため、身体には必要不可欠といえるのです。

マグネシウムが欠乏すると身体にさまざまな問題が生じる

マグネシウムは大部分を食事から摂取しますが、食生活の偏りのために不足してしまうことがあります。また、ストレスの多い環境でも不足してしまうことがあります。正常な体内機能維持に重要な役割を果たすマグネシウムが不足し、やがて体内で欠乏すると、身体にさまざまな問題が引き起こされます。

【マグネシウムの欠乏によって生じる身体的な問題の一例】

動脈硬化の進行

・老化の進行

・あらゆる心疾患のリスクが高まる

動脈硬化や老化が進行すると、心臓の筋肉に血液が充分に行き渡らない状態(虚血)となり、心不全不整脈心室細動などの心疾患を引き起こす遠因になることがあります。

*老化の進行については記事3『老化を進める活性酸素と、それを抑制するマグネシウムの関係』でご紹介します。

マグネシウムの効果・はたらき

血圧を下げ、臓器の保護を行う

マグネシウムには血圧を下げる効果があります。そのメカニズムは次の2つから説明できます。

マグネシウムが血圧を下げるメカニズム(1)

自律神経は、体内の機能にアクセルをかける交感神経と、ブレーキをかける副交感神経の2つから成り立っています。交感神経のはたらきが強くなると身体はどんどん活動性を増すのですが、一方でストレスが蓄積されてしまいます。一方、副交感神経はブレーキとして機能し、体に負担がかかり過ぎないようにコントロールしてくれます。交感神経と副交感神経のバランスが成り立つことで、体の機能は保たれているのです。

マグネシウムには、交感神経を抑制する働き、すなわちアクセルを緩める効果があります。たとえば心臓なら、心臓の筋肉(心筋)にある血管は、交感神経の末端から放出されるカテコラミンという物質に反応して収縮します。血管が収縮すると血圧は上がりますが、マグネシウムはこの働きを抑制し、血管を拡張します。血管の拡張により血圧は下がり、同時にさまざまな臓器の血流が改善されるため、臓器の保護につながります。

カルシウム拮抗薬は血管拡張を促す薬剤で、高血圧・心臓病の治療などにおいて頻繁に用いられますが、マグネシウムはこれと同じ効果をもたらすことから「天然のカルシウム拮抗薬」と呼ばれることもあります。

マグネシウムが血圧を下げるメカニズム(2)

交感神経が働くと、副腎からアルドステロンという物質が分泌されます。アルドステロンはナトリウムを体内に溜め込む働きをしますが、これは塩分を摂っていることと同じで、血圧が上昇し、動脈硬化につながります。マグネシウムには、このアルドステロンの分泌を抑制する効果があり、塩分を体内に溜め込むのを防ぐため、血圧の低下につながります。

心筋梗塞の防止に効果を持つ

心臓をとりまく冠動脈の血行が滞り、酸欠と栄養不足によって血管の先端が壊死した状態を心筋梗塞といいますが、マグネシウムは、心筋梗塞の防止に効果があります。我々の基礎研究では、マグネシウムの投与によりウサギの心筋梗塞が約半分に軽減されることを報告しました。

冠動脈の血行が悪化した際、心臓の筋肉(心筋)はアデノシンという物質を放出し、心臓を保護します。マグネシウムは、このアデノシンの分泌を促す酵素の補酵素(酵素を活性化させるための物質)であるため、マグネシウムの摂取は心筋梗塞の防止に効果的だといえます。

マグネシウムの摂取は心筋梗塞の防止に効果的

マグネシウムは食品から摂取し、特定の薬剤に注意する

海藻類や粗塩などを中心に、食事から摂取する

そのため、私たちはマグネシウムを主に食事から摂取しています。そのため、日々の食事の中でマグネシウムを積極的に摂取することが、マグネシウム不足を改善するためには一番の近道であると考えます。しかしマグネシウムは現代的な肉食・白米中心の食生活では不足しやすく、多くの現代人は慢性的なマグネシウムの欠乏状態にあります。ですから、マグネシウムが多く含まれる食品を知っておき、意識して食事の中に取り入れる工夫が重要です。

マグネシウムは、もともと海の中に存在している物質です。たとえば昆布、わかめ、ひじきなどの海藻類はもちろん、海水から精製された塩にも豊富に含まれています。

マグネシウムを多く含む食品の例

・海藻類(昆布、わかめ、ひじきなど)

・海水から精製された塩

・ナッツ類(ひまわりの種・ゴマ・くるみ・アーモンド・カシューナッツなど)

・豆類(きな粉・大豆・木綿豆腐・油揚げ・納豆など)

マグネシウムを含む食品

*マグネシウムを多く含む食品については、関連記事『マグネシウムで糖尿病予防・改善』にてより詳しくご紹介しています。

カルシウム:マグネシウム=2:1の割合で摂取するのが理想

厚生労働省が補充を推奨している微量栄養素は、カルシウムとマグネシウムの2つです。日常的に不足しがちな栄養素であるからこそ、意識的に食事に取り入れることが大切です。カルシウムとマグネシウムは両者がバランスよく体内にあることが重要なので、体内の機能を維持するために最適な比率である2:1の割合で摂取するのが理想的といわれています。

利尿薬、下剤などの使用には注意が必要

腎臓の機能が悪い場合に利尿薬を用いることがありますが、腎臓と心臓の両方が悪い患者さんが利尿薬を使用する場合には注意が必要です。利尿薬や下剤は水分を排出する力を強めますが、同時にマグネシウムの排出を促進する作用を持つものもあるからです。心臓の悪い方にとって、マグネシウムが排出されることは好ましくありません。種類豊富な利尿薬のなかでも、心不全の治療で用いる代表的なループ利尿薬は、マグネシウムとカリウムを体外に排出する作用があり、マグネシウム摂取の観点からすると推奨はできません。もしループ利尿薬を服用するのであれば、同時にアルドステロン拮抗薬を服用するとよいでしょう。アルドステロン拮抗薬は、マグネシウムとカリウムの排出作用を持つアルドステロンという物質の働きを抑制する薬剤であるため、これを服用することにより、血液中のマグネシウム・カリウムの濃度を保つことができます。

また私は、市販の下剤が安易に使われがちな現状を危惧しています。下剤は便を強制的に体外へ排出する作用がありますが、身体にとって重要な栄養素まで排出されてしまい、体内のバランスが崩れる要因になります。便秘を解消したい方には、マグネシウムの摂取をお勧めしています。なぜならマグネシウムには、穏やかに排便を促す効果があるからです。この方法であれば、マグネシウムを摂取しながら健康的に排便を促すことができるため、マグネシウム摂取は一石二鳥の方法といえるでしょう。

マグネシウムの副作用:摂取過多で下痢のリスクがあるが、問題は起こりにくい

排便を促す働きを持つマグネシウムは、摂りすぎると下痢になる可能性があります。しかしながらマグネシウムはある程度摂取基準の上限を超過しても体への影響はほとんど生じないとされており、摂りすぎによる問題はまず起こりえません。

マグネシウム(長谷部 直幸 先生)の連載記事

旭川医科大学大学院卒業後、道内を中心に循環器病学の医師として勤めたのちに、米国ハーバード大学研究員として3年間にわたり研究を行う。帰国後、旭川医科大学第一内科助教授を経て、2007年より現職。生命に直結する循環・呼吸・神経・腎の領域を医師キャリア形成の柱として据え、「元気が出る教室」を目指して、後進の教育に力を注ぐ。趣味は、エレベーターを使わずに毎日を過ごすことである。

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