概要
老化とは、人が成長・発達を続けて成熟期を迎えた後に衰退し、死を迎えるまでの自然な変化のことです。老化のスピードは個人差が大きく、また同じ人でも体の中の組織や細胞によってスピードが異なりますが、一般的には中年期(40~64歳頃)の早期から多くの身体機能の低下が見られるようになります。また、極めてまれに特定の遺伝子の異常で普通よりも早いスピードで老化が見られることがあり、早老症と呼ばれています。
老化のメカニズムは非常に複雑で、老化を遅らせるような医学的処置などは不可能と考えられてきましたが、近年の医学の発達により急速に老化のメカニズムが明らかになりつつあります。このような背景から近年は、老化のメカニズムに対して医学的なアプローチを行い、健康寿命を延ばそうとするアンチエイジング医学に注目が集まっています。
原因
老化による身体機能の低下は、体を構成する細胞が老化した老化細胞が増えることによって現れます。若い頃は老化細胞を取り除き、新しい細胞に変わることで老化を防ぐメカニズムがはたらいていますが、歳を重ねるにつれて細胞の入れ替わりが見られなくなり、古い細胞の割合が増えることによって徐々に身体機能が低下していきます。
このように細胞が老化する原因の1つと考えられているのが活性酸素と呼ばれる物質です。活性酸素は呼吸で吸い込んだ酸素の一部が変化することによっても発生しますが、車の排気ガス、たばこ、紫外線、激しい運動や心理的ストレスといった日常生活の要因も活性酸素を増やし、老化を進める原因になると考えられています。
症状
老化による身体機能の低下は、全身のあらゆる臓器に現れます。代表的な症状は、以下のとおりです。
脳神経系
脳の萎縮や脳細胞の減少、脳の信号を伝える神経伝達物質のはたらきが低下することにより、認知機能が低下します。このような変化に伴い、認知症を発症しやすくなります。
心血管系
左心室の肥大や冠動脈の硬化といった心臓の変化が見られ、心筋梗塞、心肥大、心不全、高血圧といった病気を引き起こしやすくなります。
呼吸器系
酸素と二酸化炭素を交換するはたらきを担う肺胞の数が減少したり、肺の弾性力が損なわれたりすることで、呼吸機能の全般的な低下が見られます。
消化器系
ものを噛んだり、飲み込んだりする力が低下することで、誤嚥性肺炎を引き起こしやすくなります。消化管運動が低下することで便秘や便通異常、逆流性食道炎といった症状がみられることもあります。
腎泌尿器系
血液をろ過する糸球体が失われたり、腎血流量が低下したりすることで、夜間の尿量が増えて尿失禁を引き起こすことがあります。
骨格系
骨量や骨密度が低下し、骨粗しょう症、骨折を引き起こします。また、関節にありクッションのような役割を果たす関節液や滑膜の機能が損なわれることで関節炎がみられることもあります。
その他
上記のほか、視力の低下、聴力の低下、容貌の変化(白髪、顔のしみやしわなど)などが現れます。
検査・診断
老化を評価する検査として、老化によって頻度が上がる病気の予防と早期治療を目的とした検査(一般的な人間ドックなど)と、老化によって体に生じるさまざまな変化を調べ、より早期の予防を目的とした抗加齢ドック(アンチエイジングドック)と呼ばれるものがあります。
一般的な人間ドックでは、血液検査や画像検査などによって全身の状態を調べ、生活習慣病などの予防や早期治療を目指します。一方、抗加齢ドックは予防医学によりフォーカスした検査で、検査の結果に基づいて加齢に伴い現れる疾病や身体機能の低下を予防したり、軽減したりすることを目的としています。
抗加齢ドックの項目は医療機関よっても異なりますが、血管年齢、脳(神経)年齢、骨年齢・骨密度、ホルモン年齢、筋年齢といった老化の指標となる以下の項目を検査し、評価年齢を算出して実年齢と比較します。この結果、実年齢と比べて評価年齢が高いものはより老化が進んでいる項目として、予防医学的なアプローチが必要と考えます。
セルフケア
老化の予防は、食事や運動習慣といった生活習慣の改善が中心となります。老化を予防する効果があるとされているものに、良質な睡眠、栄養バランスの取れた規則正しい食生活、禁煙、適量の飲酒、運動などが挙げられます。
また、老化の原因の1つとされる活性酸素を取り除くことも、老化の予防につながると考えられており、食事から活性酸素を除去する酵素のはたらきを補う栄養(肉、魚、卵、大豆製品などのたんぱく質や亜鉛、マグネシウムなどのミネラル)を取ったり、活性酸素から体を守る抗酸化作用が含まれる食品(野菜や果物)を取ったりすることも有効とされています。
また、医師の指導のもと、有効性が確認されたサプリメントの服用や、ホルモン療法などの薬物療法、美容・形成外科・皮膚科医療などの特殊療法が行われることもあります。
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