概要
逆流性食道炎とは、胃酸を含む胃の内容物が食道に逆流することで食道に炎症が生じる病気です。
食道と胃の境目には“下部食道括約筋”と呼ばれる筋肉があり、食道を通った飲食物が胃へ流れ込むとき以外はきつく閉じられているため、通常は胃の内容物が食道へ逆流することはありません。しかし、下部食道括約筋が緩むことで胃の内容物の逆流が生じることがあるのです。
食道に炎症が生じると、一般的には胸やけ、呑酸(酸っぱいものが上がってくる)、食後の胸痛などの症状が現れますが、中には無症状で内視鏡検査などで初めて発見されるケースも少なくありません。
治療は胃酸を抑える薬などを用いた薬物療法が主体となりますが、この病気は食べ過ぎ、早食いなどの生活習慣が原因となることも多いため、生活改善も必要となります。
原因
逆流性食道炎は、胃の内容物が食道に逆流することによって食道の粘膜に炎症が生じる病気です。
胃の粘膜からは酸性度が高い“胃酸”という消化酵素が分泌されています。胃の粘膜は胃酸の刺激に耐えうる構造をしていますが、食道は胃酸に耐えられる構造ではないため、胃の内容物が逆流して胃酸に晒されると粘膜に炎症が生じるのです。
通常は食道と胃の境目にある“下部食道括約筋”がきつく閉じられているため、胃の内容物が食道へ逆流することはありません。しかし、加齢による筋力低下、肥満や妊娠・衣類による締め付けなどで胃が圧迫されること、食べ過ぎや早食いなどが原因で下部食道括約筋が緩むと胃の内容物が逆流し、逆流性食道炎を引き起こします。
また、逆流性食道炎は喫煙や過度なアルコール摂取、高脂質な食事、就寝前3時間以内の食事などの生活習慣の乱れも発症に関わっているとされています。
症状
逆流性食道炎の代表的な症状は、胸やけや呑酸(酸っぱいものが上がってくる)、食後の胸痛などとされています。また、就寝中に慢性的な逆流が生じている場合などは咳、声のかすれ、喉の違和感などが生じることがあります。
一方で、自覚症状がまったくなく、健診時の内視鏡検査などで偶然発見されるケースもあります。
検査・診断
逆流性食道炎が疑われるときは次のような検査が行われます。
上部消化管内視鏡検査
先端にカメラが内蔵された内視鏡を口や鼻から食道、胃に挿入して内部の状態を詳しく調べる検査です。食道の粘膜に炎症が生じているか否か確認することが可能であり、下部食道括約筋の緩みの状態を観察することもできます。
また、逆流性食道炎と似た症状を引き起こす病気との鑑別を行うのにも役立ちます。
画像検査
逆流性食道炎の原因となる食道裂孔ヘルニア(下部食道括約筋の緩みによって胃の位置が上がる病気)などの有無を確認するために、胸部X線検査やCT検査などの画像検査を行うことがあります。
治療
逆流性食道炎の基本的な治療は、胃酸の分泌を抑える薬や胃のはたらきを改善させる薬などを用いた薬物療法です。
また、逆流性食道炎は日常生活の習慣が原因となっていることも多いため、症状を改善するには生活習慣を見直すことも必要です。
しかし逆流性食道炎は、原因によっては薬物療法や生活習慣の改善のみでは症状が改善しないことも少なくありません。特に上述した食道裂孔ヘルニアが重度な場合は逆流性食道炎の症状が改善しないケースも多いため、逆流防止の手術を行うこともあります。
予防
逆流性食道炎は、肥満や長時間前かがみの姿勢をとることで腹圧が上昇しがちな人が発症しやすいとされています。逆流性食道炎を予防するには肥満を避け、日常的な姿勢を注意することが大切です。
また、この病気は早食い、食べ過ぎ、高脂肪食、過剰なアルコール摂取、喫煙などの生活習慣の乱れ、締め付けの多い服装、就寝前3時間以内の食事などが発症の引き金となることもあります。思い当たる習慣がある場合は生活習慣を見直すようにしましょう。
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