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心室頻拍

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

心室頻拍とは、頻拍性不整脈という脈が速くなる不整脈の一種で、何かしらの原因により心室が通常よりも早いペース(1分間に120回以上)で規則的な興奮をする状態を指します。急性心筋梗塞などの心臓病により発症するタイプのもの(器質性心室頻拍)と、心臓病がないのに発症するもの(特発性心室頻拍)とに分類することができます。

心室頻拍が続くと脳をはじめとした全身の臓器に十分な血液が運ばれなくなってしまい、意識消失や命にかかわることもある重篤(非常に重い)な不整脈のひとつです。そのため、状況を正確に判断したうえで治療方針を決定することが求められます。

原因

心臓は、大きく分けて「心房」と「心室」という役割が異なる2つの部屋に分けられます。このなかでも心室は全身や肺への血液を送る役割を担っています。十分な量の血液が心室から送り出されるためには、心房から心室への規則的な電気活動が重要です。

しかし、心室頻拍が生じる状態では、何かしらの原因により心房からの規則正しい電気活動とは無関係に、心室自身の規則的なペースで活動をするようになります。つまり、心室頻拍は、正常な電気活動とは別の電気活動のルートが形成されることで発症します。

心室の電気活動に異常が生じた結果、全身に必要な血液を十分送ることができなくなります。特に持続時間が長い場合(30秒以上)や、心電図において電気活動の形が異なるタイプの(多形性心室頻拍)は、命にかかわる可能性が高いため危険です。

心室頻拍は、心筋梗塞心筋症弁膜症先天性心疾患心サルコイドーシスなどの心疾患により発症する「器質性心室頻拍」と、明らかな心臓病がみつからない「特発性心室頻拍」とに分けることができます。

このなかでも器質性心室頻拍は重症度がより高く、心室細動(心室が小刻みに震えている状態)へと移行して血圧低下から意識消失に至る危険性が高いです。同様の危険性は特発性心室頻拍でもありますが、器質性心室頻拍と比較すると危険性は低いといえます。

症状

心拍数や持続時間、また心電図上の形状などに応じて、症状や危険性が異なってきます。心拍数がそれほど多くない心室頻拍では、自覚症状はほとんどありませんが、心室頻拍が長時間続くようになると動悸や息切れを自覚するようになります。さらに長く続くとめまいやふらつき、失神を起こすことがあります。また心臓が通常よりも速く脈打つ結果として、心不全を引き起こすこともあります。

心室頻拍が長時間持続するタイプや多形性心室頻拍では、突然死の危険性も出てきます。心臓は全身の各種臓器への血液供給を行う臓器であり、このはたらきがうまくいかなくなるために生命の危機が生じます。

検査・診断

12誘導心電図をはじめとした心臓の電気活動を確認する検査が行われます。12誘導心電図は、検査を受けているその瞬間の心臓の電気活動を確認する検査ですが、心室頻拍は必ずしもその検査を受けている瞬間に生じるとは限りません。

そのため、より長時間の電気活動を確認するために「ホルター心電図」と呼ばれる検査を行うこともあります。この検査では、通常24時間に渡って心臓の脈を確認することになります。

また、心室頻拍では、心臓電気生理学的検査と呼ばれる、体への負担がより大きい検査を行うこともあります。この検査では心臓内にカテーテルを挿入して電気活動を記録します。

治療

治療の必要性がある場合には、薬物治療(β遮断薬など) 、非薬物治療(カテーテルアブレーション、植込み型除細動器など)がとられることになります。

カテーテルアブレーションでは、心臓に入れた細い管(カテーテル)の先から心臓の筋肉の一部に高周波電流を流し、心室頻拍の原因となっている電気の通り道を焼き切ります。

植え込み型除細動器とは、自動的に蘇生できる機器です。失神や死に至る危険性を伴う心室頻拍はいつ生じるか予測できません。また近年では、致死的な不整脈に対して効果があるAEDと呼ばれる機械が設置されている場所も増えてきていますが、必ずしもタイムリーに使用できるとは限りません。こうした状況を考慮して、危険性の高い心室頻拍を発症するリスクのある方に対して植込み型除細動器を適応し、未然に突然死を予防する対策をします。

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