かくちょうがたしんきんしょう

拡張型心筋症

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

拡張型心筋症とは、心臓が通常よりも大きくなってしまい、血液を適切に全身に送ることができなくなってしまう病気です。発症すると、少しの運動での疲れ・手足の冷え・むくみなどを自覚するようになり、重症になると日常生活を送ることもままならなくなります。

拡張型心筋症は遺伝子異常に関連したものや、ウイルス疾患に関連したものなどさまざまです。同じ拡張型心筋症であっても原因や病気の進行度は異なり、治療方法もそれに伴って変わります。心臓移植といった大きな治療を要することもあれば、内服薬やペースメーカーの使用などでコントロールすることが可能な場合もあります。

原因

拡張型心筋症の原因は、分かっていない部分が多々あります。現時点では、遺伝子の異常・ウイルス感染・自己免疫性疾患などが関与していると考えられています。特に、小児期に発症する拡張型心筋症は、遺伝子の異常が原因となっているケースが多いと考えられており、一般的に予後は不良といわれています。このような背景もあるため、特に小児の拡張型心筋症の場合は、専門家の指導のもとで早期に対応することが望ましいといわれています。

症状

ごく初期の場合には自覚症状がないこともあります。しかし、病状が進行すると、倦怠感(けんたいかん)動悸(どうき)、少しの歩行や階段の上り下りでの息切れ、むくみや食欲低下などを自覚します。そのほか、夜間就寝中に症状が悪くなる傾向があり、夜間に呼吸困難や咳などがでます。

さらに、全身の臓器障害によって、黄疸(おうだん)(皮膚や白目が黄色くなる)や尿量の減少といった症状が出ることもあります。心臓の中に血栓(血液の塊)が形成されてしまい、それに関連した脳梗塞を起こすこともあります。

検査・診断

血液検査から画像検査、カテーテル検査などさまざまな検査が行われます。

血液検査

BNPと呼ばれる項目を測定し、心不全の状態を評価します。また、臓器障害を評価するために腎機能や肝機能項目のチェックも重要です。さらに、心臓拡張の原因となりうる糖尿病などの代謝疾患や中毒などの評価も検討されます。

レントゲン写真・心エコー・CT・MRIなどの画像検査

レントゲン写真では心臓の大きさや肺のうっ血具合、胸水の評価などを行うことができます。心エコーでは心収縮機能の低下を評価することができるほか、逆流が生じていないか、血栓が心臓の中に形成されていないかなども評価できます。

CTやMRIはさらに詳細に心臓の状態を確認することができ、長期的な予後の予測にも有益な検査です。

心電図検査

不整脈を評価するために心電図による検査も行われます。短期間の記録に留まらず、ホルター心電図や、イベント心電図、植え込み型心電計を用いて長期間(1日から数年)心臓の脈を観察することもあります。

さらに、心臓のカテーテル検査が行われることもあります。この検査では心臓の機能や血行動態(心臓が送り出す血液の量とその流れ方)を細かく評価することができ、冠状動脈(心臓に血液を供給する血管)の評価も同時に行うことができます。また、心筋生検(心筋細胞を採取して、その細胞を調べる検査)を行い、心臓の形態評価を通して予後の予想に役立てることができます。

運動負荷検査を行い、日常生活における重症度を評価することもあります。そのほかにも遺伝性疾患として発症していることもあるため、遺伝子検査を行うこともあります。

治療

内服薬や体内に固定するデバイス、心臓移植などがありますが、症状や病態に応じて治療方法が選択されます。

内服薬としては、β遮断薬やACE阻害薬、アンギオテンシン受容体拮抗薬が中心となり心不全の軽減に効果を発揮します。そのほか、むくみや不整脈などの症状に対応するために、利尿剤や抗不整脈薬が使用されることもあります。

ペースメーカーや除細動器といったデバイスを体内に留置することもあります。CRT(ペースメーカーの一種)も急速に普及しつつあります。これらの治療で改善しない場合に、心臓移植が検討されることになります。心臓移植の際には、移植までの生命維持のため、人工心臓が使用されることもあります。

拡張型心筋症では予後を予測しながら、治療・経過観察を行うことが重要です。適切な治療方法を決定するためにも、拡張型心筋症の患者さんはできる限り専門家の指導のもと、適切な診断と治療を受けることが望ましいです。

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