原因
拡張型心筋症は、心筋の収縮力が低下し、特に左心室が徐々に拡大していく病気です。心臓の収縮力が弱まると、全身への血液供給を維持しようとする能力(代償機転)がはたらきます。この結果、心臓は拡大して血液量を増やそうとしますが、長期的には心筋が薄くなっていきます。代償機転にも限界があり、負荷が続くと心機能が徐々に低下していきます。
この病気の発症メカニズムは完全には解明されておらず、原因が特定できないケースも多くあります。しかし、遺伝的要因の関与が指摘されており、心臓の収縮を制御するタンパク質の遺伝子異常がみられることがあります。また近年の研究では、さまざまなウイルス感染や自己免疫疾患が拡張型心筋症の発症に関与していることが明らかになってきました。たとえば、コクサッキーウイルス、アデノウイルス、C型肝炎ウイルス、HIVなどの感染や、心筋を攻撃する自己抗体が産生される自己免疫疾患などが挙げられます。
さらに、適切な治療を継続していない糖尿病や甲状腺疾患、妊娠、過度な肥満、過剰な飲酒、慢性的なストレスなども拡張型心筋症のリスク要因となることが分かっています。これらの多様な要因が複雑に絡み合って、拡張型心筋症の発症や進行に影響を与えていると考えられています。
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