目次
胸部X線検査とは、よく「胸のレントゲン」といわれる検査のことで、胸全体にX線をあてて写真をとる検査です。
この検査では、食道や胃、肺、気管・気管支、心臓・大動脈、肋骨など、胸の周りにある臓器や骨の形や大まかな異常を調べることができます。
簡単に胸の周りの臓器の情報を得られるため広く行われている検査ですが、この検査だけでははっきりと病名が分からず、精密検査が必要になることもあります。
胸部X線検査は、咳や痰が出る・息苦しい、痛みがあるなどの症状があり、肺の周りを詳しく調べたい場合に行われる検査です。
また、一般の健康診断でも広く行われています。何らかの病気の診断がすでについていても、その病気の経過観察を目的として行われることもあります。
胸部X線検査だけでは診断がつかないこともあるので、その場合は追加の検査が行われることがあります。
胸部X線検査は食事や生活習慣に影響を受ける検査ではないため、事前に注意することは特にありません。
放射線を使用する検査であるため、基本的には妊娠中の方、妊娠している可能性のある方は検査を受けられないことがあります。
実際にはこの検査のX線被爆量は極めて少量で、胎児への影響はほとんどないとされていますが、検査を受けるメリットとデメリットについて慎重な判断を要するため、この検査を受ける方で妊娠している・妊娠している可能性のある方は必ず事前に申し出るようにし、検査の実施について医師とよく相談しましょう。
画像に移りこんでしまい、画像診断の妨げになるものをできるだけ身に着けない、あるいはすぐに外せるようにしておくのがポイントです。以下に移りこみやすいものの例を挙げるとともに、検査をスムーズに進めるためのアドバイスを記載します。
あらかじめ外しておくとスムーズに検査できます。
撮影前には外すように指示されるため、外しやすいものにしておくとよいでしょう。
医療機関によっては検査用の服を貸してくれるところもあるので、できるだけ着替えやすい服装で行くのもおすすめです。
しかし、施設によっては私服のままで撮影しないといけないこともあるため、上記のような衣類は避けたほうがよいでしょう。
検査当日は、身に着けて行かないようにするとスムーズに検査を行えます。
撮影自体はほんの数秒ですが、準備のための着替えや撮影位置の調整を含めると、5~10分程度はみておくとよいでしょう。体にもともと痛みがあったり、高齢で撮影のための姿勢を保つことが困難だったりする場合などには、もう少し時間がかかることがあります。X線による写真撮影であるため基本的に痛みは伴いません。
撮影された画像は、専門の医師によって正常か異常か判断されます。気管・気管支内に異物がないか、肺に水が溜まっていないか、心臓が異常に大きくなっていないかなどが確認されます。
特に検診などで撮影した場合には画像そのものを目にしないことも多く、文書や医師から口頭で教えてもらったりすることが多くなるでしょう。
胸部X線検査で分かる異常所見は、肺に白い影が見えることや水が溜まっている、心臓が通常と比べて大きくなっているなど多岐にわたります。このような場合、追加でより詳しい検査を行うことを考慮される可能性があります。
なお、胸部X線検査で異常があるとされた場合でも、生まれつきの形態異常など治療を要さないものもあります。より詳しい検査を行うかどうかは、医師の慎重な判断によると考えておくとよいでしょう。
より多くの情報が得られる検査として、胸のCTやMRIの撮影が行われることがあります。ほかに考えられる検査としては、超音波検査や喀痰検査、核医学検査などが挙げられますが、どのような異常だったのか、どの部位の異常だったのかによって行われる可能性のある検査の幅は広いといえるでしょう。
また、これらの検査が複数組み合わせられたり、結果を見ながら段階を追って1つずつ実施されたりすることもあります。
もし胸部X線検査で異常が見つかった場合には、そのままにせず医師の指示に従って精密検査や再受診を忘れず行うようにしましょう。
手軽な検査ですが、この検査が治療を必要とするような病気を発見する糸口になることは珍しくありません。きちんと精密検査を受けることが大切です。
本記事で採用している検査名称はより一般的な表現を採用しておりますが、医療機関や検査機関によって異なる場合があります。また名称が異なる場合、検査内容も一部異なっている場合があります。