不整脈の中でもっとも多い心房細動に対するカテーテルアブレーションが日本で導入されたのは1998年のことでした。心房細動の発生起源が特定され、アブレーションによって治療成績も向上しました。日本初となる心房細動へのカテーテルアブレーションを導入した福岡山王病院ハートリズムセンター長の熊谷浩一郎先生に、治療の進歩についてお話を伺いました。
不整脈には脈が異常に速くなる頻脈、反対に遅くなる徐脈、そして脈が飛んだり抜けたりする期外収縮の3つのタイプがあります。不整脈の中で一番多くみられるものが心房細動というタイプのもので、これは頻脈性に分類されます。
これまで不整脈は、ペースメーカーや薬などによる治療を中心に行われてきました。しかし、不整脈に対する薬物治療はあくまでも対症療法にすぎず、薬を服用している間は不整脈を抑えることができるものの、止めるとまた出てきます。また、薬を使用することで予後(病気や治療の見通し)が悪くなるということも報告されるようになり、薬以外の方法で心臓のリズムを正常に治せないかと取り組まれてきました。
心房細動は、不整脈の発生起源がわからなかったため、焼灼する部位の特定ができませんでした。そんな時、フランス人医師のHaissaguerre先生が、心房細動が左心房の中にある肺静脈という血管から起こっていることをつきとめたのです。肺静脈をアブレーションして心房細動が治ったという論文報告が発表されたのは17年前の1998年のことでした。それで私も早速、臨床で心房細動に対するアブレーション治療を導入したのです。これは日本で最初となる心房細動に対するカテーテルアブレーション治療となりました。
心房細動へのアブレーション治療は、最初は順調だったのですが、再発するケースが出てくるようになりました。肺静脈は4本あるのですが、左右上下の肺静脈からも起こっていたのです。そのため、1本だけ焼いてもダメだということで考え出されたのが、肺静脈隔離術です。どの肺静脈から起こってもいいように、肺静脈の入り口となる開口部の周りをぐるりと4本とも囲むように焼灼する治療法です。これもHaissaguerre先生が考案したものです。
肺静脈隔離術は2000年に報告され、この治療法によってどこから起こっているのか探さなくても、また心房細動が起きていない時にも治療ができるようになりました。
ただ、この治療法も100%ではありません。どんな病気もそうだと思いますが、心房細動においても治療は早く行うほど効果は良好です。心房細動の場合、偶然何かの検査でみつかったという方も決して少なくありません。症状があれば患者さん自ら病院を受診することもありますが、そうでなければ、病院に行くことはありません。そうなると、その間に症状が進行して病院を受診した時には手遅れということもあるのです。
いつから心房細動が起こっていたのかわからないようなケースの場合に、手遅れかどうかを判断する目安となるのが左心房の大きさです。通常、左心房の大きさは4センチ以下です。心房細動は時間の経過とともに発作性から持続性へと進行し、左心房の大きさもそれに伴って4.5センから5センチへ、さらには5.5センチといった感じで大きくなっていきます。
カテーテルアブレーションの成功率は、左心房の大きさと反比例しますので、左心房が大きい場合には、成功率が低下します。成功率が良好なのは左心房の大きさが4.5センチ以下で、5センチを超えると非常に悪くなります。5センチを超えるような場合は、ほぼ持続性になっていると考えてよいでしょう。
福岡山王病院 ハートリズムセンター センター長、国際医療福祉大学 大学院 教授
福岡山王病院 ハートリズムセンター センター長、国際医療福祉大学 大学院 教授
日本内科学会 認定内科医日本循環器学会 循環器専門医日本不整脈心電学会 不整脈専門医
福岡山王病院ハートリズムセンター長。国際医療福祉大学大学院教授。福岡大学医学部臨床教授。日本循環器学会認定循環器専門医・日本内科学会認定総合内科専門医・日本不整脈心電学会認定不整脈専門医。1998年心房細動に対するカテーテルアブレーションを日本で最初に臨床導入した。その後、さらに治療効果を高めることを目指して「熊谷式BOX隔離術」を考案。心房細動治療をライフワークとし、その治療向上に貢献している。2009年開院の福岡山王病院において、2015年8月にはカテーテルアブレーション2000例を突破した。
熊谷 浩一郎 先生の所属医療機関
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心房細動の再発について
2年前から心房細動と診断されています めまいがきっかけで、3年前に2週間程度入院しましたが、病気がつかめず、ループレコーダーを体内に入れました 2年前に病気が見つかり心房細動と診断されました 2年前にカテーテルアブレーションをしましたが、1年前に再発しました 2回目のアブレーションの時に、1回目の治療をしたところの跡がないと言われました 最近になって体調が悪くなった時があって、病院で心電図をしたところ、心房細動が再発していることが分かりました 3回目のアブレーションは現実的なんでしょうか 通院している病院が、提携している大学病院の専門医が出張でアブレーション治療を行ってくれるのですが、その先生の判断待ちの状態です もし、3回目のアブレーション治療が無かったら、担当医からは薬になるかもしれないと言われました 薬になったら、日常の行動に支障は出ますか もしくは、ほかの治療法はあるのでしょうか 宜しくお願いします
手術について
脳動脈瘤が見つかり、開頭クリッピング術での手術を勧められました。心房細動の持病があり、2月にそれによる脳梗塞、4月に心臓のカテーテルアブレーションの治療をしましたが、再発するようならもう一度しないと・・との診断。最近になって寒さのせいか動悸を感じる事があります。脳外の担当医には伝えてあります。 心房細動を患いながらの開頭クリッピング手術ってのは、危険なのでしょうか?
今後の注意する事は?
2日前に、カテーテルアブレーションの手術しました。悪い所をすぐ、解り、1時間ぐらいで終わり、手術前の検査では、心臓が大きくなっていて、70パーセント完治と言われてましたが、80パーセント完治と言われ安心してます。軽度の、心不全にもなってますが、今後の生活では、注意する事ありますか?お酒は、一口も飲んだら、駄目なんですか?カフェインや、塩分はどうですか?又、この手術によって、心不全が良くなりますか?心不全は、生活習慣や、食事(塩分)の制限したり、薬で、完治しますか?今後、ずっと薬を飲み続ける生活ですか?まだ、54歳で、仕事は、パソコン等デスクワークですが、大丈夫ですか?車の運転はどうですか?今後の生活と、完治について教えてほしいです。
心房細動の手術を受けるかどうか?
2013年に鬱血性心不全で入院。薬をそれから服用し経過観察。今年3月6日に体調異変で翌日かかりつけの病院に行ったら心房細動の診断。薬を変更し経緯を観察中だが、医者からはカテーテル手術を勧められている。手術の失敗確率より、このままにしておいて死ぬ確率の方が高いと言われました。ただ最近は血圧や脈拍も安定して、症状は出ていない。 どうしたら良いか?
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