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アブレーション治療により不整脈の根治を目指す

アブレーション治療により不整脈の根治を目指す
眞壁 英仁 先生

戸塚共立第2病院 循環器内科

眞壁 英仁 先生

目次
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不整脈の治療は年々進化しています。中でも、カテーテルアブレーションは、低侵襲(ていしんしゅう)(患者さんの体への負担が少ない)治療でありながら心房細動の根治を目指すことが可能な治療です。

不整脈のサインを感じて病院を受診した後、どのような検査や治療が行われるか不安な方もいらっしゃるでしょう。今回は、戸塚共立第2病院 循環器内科の眞壁 英仁(まかべ ひでひと)先生に、検査の流れや治療の選択肢などについてお話を伺いしました。

不整脈の疑いがある患者さんが病院を受診した場合、まずは心電図検査を行います。心電図検査には、健康診断の際に行う一般的なものに加え、以下のような種類があります。

ホルター心電図検査

普段の生活をしながら、24時間にわたり心電図を取る検査です。

ループ式植込み型心電計:ICM

長期間にわたり心電図を取る検査です。胸の皮膚の下に、小型な機器を入れますが、局所麻酔を用いるため、痛みはほとんどありません。機器を植込む際にできる傷はごく小さなもので、外来にて処置することが可能です。

不整脈と診断が出たら、治療方針を決めたり合併症を調べたりするため、以下の検査を行います。

心臓超音波検査

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画像提供:PIXTA

心臓超音波検査とは、いわゆる心エコー検査です。心臓の動きや大きさ、心臓内の壁の厚さ、弁の逆流、血液の流速など、心臓の状態をより詳しくチェックするために行います。

血液検査

甲状腺のはたらきが活発になっていると不整脈を起こしやすいため、血液検査によって甲状腺疾患の有無を検査します。甲状腺とは首にある臓器で、体において新陳代謝を促すホルモンを作っています。

2023年4月現在、不整脈の種類の中でもっとも患者数が多い心房細動を例に、治療の選択肢について説明します。

抗不整脈薬という内服薬による薬物療法は、不整脈の原因を治すのではなく、症状を和らげるための治療です。アブレーション治療を希望されない方やアブレーション治療の予後がよくない方の発作予防として行われます。

ただし、長期にわたって抗不整脈薬を服用すると、不整脈を悪化させたり、別の不整脈を起こしたりするなどの副作用の懸念があるため注意が必要です。

現在、心房細動に対する治療として、カテーテルアブレーションが広く行われています(2023年4月時点)。病気の根治が期待できる治療で、日本では1994年の保険適用を経て、多く行われるようになりました。

保険適用以前に心房細動と診断された患者さんたちは、治療を受けないまま数十年がたち、今に至っている方もいます。そのため、心房細動が悪化し心不全になってしまい、長期間にわたって入退院を繰り返している方も少なくありません。

心臓の外科手術は皮膚や胸骨の切開を伴うため、全身麻酔で手術を行います。また、長期間の入院を要するため患者さんの負担が大きい治療といえます。

一方、カテーテルアブレーションは、局所麻酔・静脈麻酔のもと、カテーテルという非常に細い管を血管に入れ、心臓内で異常な電気興奮を出している部位をカテーテルで焼灼(しょうしゃく)する治療です。カテーテルアブレーションでは、首の静脈と両鼠径部(りょうそけいぶ)(両足の付け根)の静脈、合計3か所からカテーテルを挿入して治療を行いますので、広範囲の切開は必要ありません。そのため、患者さんの負担の少ない低侵襲な治療といえるでしょう。入院期間は一般的に3泊4日程度です。

カテーテルアブレーションは、手術時間・術後の回復に要する時間がともに短いため、高齢であるために体力的に外科的な手術が難しい患者さんも治療を受けることが可能とされています。術後は、カテーテル挿入部の傷が治れば日常生活や運動に制限は設けていません。

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ただし、全ての症例でカテーテルアブレーションが実施できるというわけではありません。たとえば、心房細動を患っている期間が長く、心臓の部屋の1つである左房径が50mm以上に拡大している場合などでは、カテーテルアブレーションの適応基準外となります。

テクノロジーの進歩によって、心房細動に対するカテーテルアブレーションの有効性・安全性は向上していますが、カテーテルアブレーションを受ける場合は、非常に少ないながらも合併症のリスクを伴います。したがって、治療を受ける前にリスクとなる合併症について正しく理解しておく必要があるでしょう。

以下では、主な合併症についてご説明します。

心タンポナーデ

患部を焼灼する際、カテーテルが心臓の壁に当たり、そこから血液が心臓にたまることによって起こります。ショック状態を急速に招く、危険な合併症です。

横隔神経麻痺

患部を焼灼する際、心臓近くを走っている横隔神経を焼くことにより起こる合併症です。片側の横隔神経麻痺は無症状の方が多く、合併症として起こった際は自然回復する場合もあります。

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