心房細動の症状としては、息切れや動悸などが一般的ですが、あまり自覚症状を感じない方や、最初は自覚していたとしても次第に慣れてしまう方も少なくありません。しかし心房細動が進行した際の合併症は、脳塞栓症や心不全など命にかかわる重篤なものです。
今回は記事1『心房細動の原因とは』に引き続き、心房細動の症状や合併症について説明していきます。
心房細動は心房の痙攣により心室が不規則に動き、心拍数が増加します。その結果、発作性心房細動を最初に発症した際は、急に脈が速くなるためどきどきしたり(動悸)、体を動かしたり階段を登ったりしたときなどに、すぐに息が切れるといった症状が現れます。
心房細動によって心臓に負荷がかかっているかどうかはBNP*などの検査をすれば、はっきりと診断することが可能です。しかし患者さんご自身の自覚症状としては、最近なんとなく頑張りがきかないといった判断基準が曖昧なことが多く、年齢のせいかもしれないと見逃してしまう方も少なくありません。
BNP…心臓の機能が低下し負担がかかっている状態の際に多く分泌されるホルモン。心不全の場合も高い数値となる。
患者さんのなかには、脈が速くなることに鈍感で、あまり自覚症状が出ない方もいらっしゃいます。そのため無症状のまま発作性心房細動から慢性心房細動に移行し、検診を受けて初めて心房細動であったことが判明します。自覚症状がない場合は、心房細動の発見が遅れるとともに治療も遅れるため、自覚症状のある患者さんよりも予後が悪いと報告されています。
また最初は息切れといった症状を感じていても、次第に体が慣れてきてしまい気にならなくなってしまうケースもあります。
心房細動の症状は心拍数が上昇するために起こることなので、上記のような症状自体は心不全とほぼ同様です。しかし心房細動ならではの症状も存在します。心房細動の患者さんのなかには、心房細動が止まる際にご自身の脈拍にうまく切り替えられない方もいらっしゃいます。そういった患者さんは、心房細動が自然に止まると失神を起こします。動悸などが発生した後に気を失うといった症状が現れた場合は、心房細動を疑います。
心房細動によって引き起こされる主な合併症には、以下のような疾患があります。
心房細動が進行すると、心房から心室に流れる血液がうっ滞します。そして左心房のなかで血液が固まり血栓(血の塊)が発生します。その血栓が何かの拍子で心房の壁からはがれ、血流にのって頭部の血管に詰まった場合、脳塞栓症となります。そのため脳塞栓症を発症し医療機関に運ばれ、そこで初めて心房細動を患っているとわかる患者さんも少なくありません。また血栓が詰まる場所は頭部の血管だけではなく、足やお腹の血管などの場合もあります。
慢性心房細動を長年放置しておくと徐々に心筋が弱っていき、全身にうまく血液を送れない心不全の状態になる危険性が高まります。
上記でも述べたように、心房細動の症状は自覚が難しかったり、まったく症状を感じない患者さんもいらっしゃいます。しかし心房細動であることに気がつかず慢性化してしまった場合は、脳塞栓症や心不全など命にかかわる疾患を発症するリスクが高くなります。そのため心房細動を早期に発見することが重要となり、自分で脈をとる習慣を身につけることが大切です。あきらめずに脈をとる練習をしてください。最近では血圧計で不規則脈波を感知できたり、脈を測るスマートフォンのアプリなども出てきており、ご自身で脈をはかることが簡単にできるようなっています。
記事3『心房細動の治療法にはどのようなものがあるのか』では、心房細動の治療法や治療に関する注意点について詳しく解説します。
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心房細動の再発について
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手術について
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