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不整脈は放っておくとどうなる? ――受診に一歩踏み込むことの重要性

不整脈は放っておくとどうなる? ――受診に一歩踏み込むことの重要性
吉田 聡 先生

市立東大阪医療センター 循環器内科 副部長/不整脈センター長

吉田 聡 先生

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不整脈とは、本来一定のリズムで動いている心臓が何らかの原因によって、不規則な動きをしている状態です。不整脈には多くの種類があり、中には意識消失や突然死につながりかねない危険な不整脈もあります。一方で、必ずしも自覚症状が出るわけではなかったり、病気の認知度の割にリスクはあまり知られていなかったりする一面があるため、患者さん自身が見過ごしてしまうことも多く、早期発見・早期治療が難しいといわれています。今回は、不整脈の早期発見の重要性とその方法について、市立東大阪医療センター 循環器内科 副部長である吉田 聡(よしだ あきら)先生にお話を伺いました。

不整脈には、大きく分けて頻脈性不整脈・徐脈性不整脈・期外収縮の3つの種類があります。症状は不整脈の種類によってさまざまですが、自覚症状がない場合もあり、個人差が大きいのが特徴です。

頻脈性不整脈とは脈が速くなる不整脈であり、心房細動心房粗動発作性上室性頻拍心室頻拍心室細動などがあてはまります。自覚症状として動悸や胸痛、めまいなどがみられることがあり、ときに失神やけいれんといった症状が出ることもあります。

徐脈性不整脈とは脈が遅くなる不整脈であり、洞不全症候群房室ブロックなどがあてはまります。自覚症状としては、めまいや息切れ、急に目の前が暗くなる眼前暗黒感(がんぜんあんこくかん)、失神などが挙げられます。

期外収縮とは脈が飛ぶ不整脈であり、心房期外収縮・心室期外収縮があてはまります。自覚症状がないことも多々ありますが、動悸や胸部不快感などがみられる場合もあります。期外収縮は誰にでも起こり得る脈のズレであり、経過観察となることも多い不整脈です。

遺伝性の不整脈や心臓病が原因で生じる不整脈もありますが、加齢や高血圧糖尿病などによっても起こりやすくなります。また、睡眠不足やストレスなども原因となり得ます。

不整脈の種類ごとの原因については明確でない部分もあり、はっきりと言及しにくいものの、不整脈が起こりやすくなる原因の1つとしては“心筋リモデリング”が挙げられます。心筋リモデリングとは、加齢や病気によって機能が低下した心臓をなんとか動かそうとして心臓が形を変える現象です。心臓が無理して機能を補おうとする際に不整脈が生じやすくなることが分かっています。

すぐに命にかかわらない不整脈もありますが、放っておくと致死性不整脈へ移行したり、脳梗塞(のうこうそく)心不全の発症につながったりすることもあるため、できるだけ早い段階での発見が大切です。

心房細動に限っていえば、心臓が日々異常な拍動によってサンドバッグのように痛めつけられている状態であり、当然そのような状態を放っておいてよいはずはありません。不整脈を指摘されたら自覚症状の有無を問わず、まずは不整脈が起こっている現在の心臓の状態を把握することが重要です。必要に応じて早い段階で治療ができれば、その分心臓にかかる負担を減らすことができ、重症化リスクもある程度防ぐことができます。

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道具を使わず簡単に脈の自己チェックができる方法として“検脈”があります。検脈とは、親指側の手首に3本指(人差し指・中指・薬指)を当てて、脈を測る方法です。拍動が一定でないと感じる場合は不整脈の可能性があるため、一度受診をしてみましょう。

なお、検脈は体調に違和感がある場合に限らず、日常的に行うことをおすすめします。日本脳卒中協会・日本不整脈心電学会では、毎年3月9日を“脈の日”、3月9日~15日を“心房細動週間”と定め、それぞれの日をきっかけとして検脈による自己チェックの習慣化を促しています。   

心電図付き血圧計や心電図測定機能が搭載されたスマートウォッチを使って脈を確認するのも1つの方法です。スマートウォッチの心電図測定アプリは提供され始めてから日の浅い機能ではありますが、すでに受診を促すための家庭用医療機器として認められています。

血圧計やスマートウォッチで不整脈が検出された場合は、その結果を持って受診すると、よりよいでしょう。

不整脈の検査は多岐にわたりますが、主に心電図検査・心臓超音波検査・血液検査が実施されることが多く、その3つの検査を組み合わせながら不整脈の種類や原因を絞りこんでいきます。心疾患が疑われる場合は、胸部X線検査や心臓CT検査を行うこともあります。

不整脈の治療には、内科的治療と外科的治療があります。治療をするかどうかは、病態や自覚症状の強さをもとに判断され、治療方法に関しては予後の改善だけでなく、QOL(生活の質)の向上も加味したうえで決定されます。

不整脈治療に使われる薬には、血栓(血のかたまり)の形成を防ぐ抗凝固薬や不整脈の発生を抑える抗不整脈薬などがあります。薬によっては副作用が出やすいものもあるため、かかりつけ医や日本循環器学会認定 循環器専門医とよく相談しましょう。

非薬物治療とは、薬以外による治療法をいいます。手術だけでなく、徐脈性不整脈の治療に用いられるペースメーカー治療や心房細動の治療に用いられることが多いカテーテルアブレーションなども非薬物治療にあてはまります。

中河内地域において急性期医療を担う当院の役割は、治療が必要な患者さんの手をいつでも引けるような体制を構築することです。

約80万人いらっしゃる中河内地域の方々の医療ニーズに応えるため、当院は地域医療支援病院として地域の先生方と緊密に連携しながら患者さんの治療にあたっています。

当科としては、心電図1枚と紹介状のみで紹介が可能な旨を地域の先生方へ伝えたり、“心不全地域連携パス”を実施したりするなど、地域全体で患者さんを診られる体制を構築してきました。

今後も地域全体で患者さんを診られるシステムの構築を続け、気付きにくい不整脈を気付ける地域へ、そして早期の治療介入が叶えられる地域にしていきたいと考えています。

不整脈の疑いを指摘されたり、症状を自覚されたりすると、不安になり受診から目を背けてしまう方も多いと思います。あるいは「不整脈くらいなら大丈夫」と放置してしまう方もいらっしゃるかもしれません。不整脈は良性のものも多々あり悲観的になる必要はありませんが、脳梗塞心不全の発症、突然死へとつながりかねないものがあるのも事実です。まずは病状を把握し、起こり得るリスク、治療の必要性や選択肢を理解するためにも、受診というハードルを1つ超えていただきたいと思います。

心臓への負担を最小限にできるよう、「何かおかしい」と感じた方は早めに医師に相談していただくことをおすすめします。

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