ほっさせいじょうしつせいひんぱく

発作性上室性頻拍

同義語
PSVT,発作性上室頻拍
最終更新日:
2024年11月08日
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2024/11/08
更新しました
2017/04/25
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概要

発作性上室性頻拍は不整脈の1つで、原因が心室以外の心房などにあるものを指します。

心臓は大きく左右の心室と心房に分けられた4つのスペースがあり、全身に血液を循環させる役割を担う臓器です。心臓が血液を拍出させる動き(心拍)は、右心房にある洞房結節と呼ばれる部分から発せられる電気信号により調整されています。安静時の脈拍数は1分間に約60〜100回です。洞房結節から生じる電気信号が心房全体に伝わり、房室結節を通って心室全体に行き渡ることで拍動が生じます。

発作性上室性頻拍では心房などを原因とした電気信号の異常によって心拍のリズムが乱れ、突然脈拍が早くなるほか、息切れや胸部の不快感などを生じることがあります。命に関わることは比較的少ないものの、まれに失神したり心機能の低下(心不全)を起こしたりすることもあるため注意が必要です。

原因

心房から心室につながる電気回路の異常や心房から異常に速い電気信号が発せられることが原因で発生します。これには生まれ持った体質や心臓病などの基礎疾患が関係していることがあります。

なお、発作性上室性頻拍は発せられる電気回路の違いなどによって主に以下の種類に分類されます。

房室結節回帰性頻拍

心房から房室結節への回路が2つ存在するために頻脈性の不整脈が生じる状態です。

通常、心房と心室は1本の回路でつながれています。しかし、房室結節回帰性頻拍では回路が2つ存在するために電気信号が房室結節のあたりで回り続け、脈拍が1分間に150回を超えるほどの速さになります。

WPW症候群

通常の回路とは別にケント束という副伝導路ができてしまう状態です。余分な電気回路が原因で不整脈が生じます。

心房頻拍

心房の組織の異常を原因とし、通常よりも早く電気信号が発せられることなどによって起こります。カテーテルアブレーションや開胸手術を行ったことがある方に、比較的起こりやすいとされています。

症状

発作性上室性頻拍では、突然動悸を生じ、しばらくすると急に治まるといった現象や、胸部の不快感などを自覚することがあります。また、頻拍によって血圧が低下することで、ふらついたり、めまいを生じたりすることがあるほか、まれに失神することもあります。

検査・診断

発作性上室性頻拍の診断では、発作時の心電図所見を確認します。心電図所見から発作性上室性頻拍が疑われる場合、電極のついたカテーテルを血管から挿入し、心臓の電気信号の異常について詳しく調べる心臓の電気生理学的検査を行い、確定診断を行います。

WPW症候群以外は、発作が生じていないときの心電図は正常なため、健康診断などで異常が見つかりにくいという特徴があります。発作時の心電図を記録することが難しい場合には、24時間心電図を記録するホルター心電図検査や、発作時の心電図を記録することができる携帯式の機械(イベントモニター)を用いて検査を行うこともあります。

治療

発作性上室性頻拍の治療では、症状や治療目的に応じてカテーテルアブレーションや薬物療法が行われます。

カテーテルアブレーション

不整脈の原因となる組織を高周波電流で焼灼(しょうしゃく)するカテーテルアブレーションという治療が行われます。異常な回路や組織を焼き切ることで頻拍発作を根治させる効果が期待できることから、優先的に検討されます。

薬物療法

房室結節に生じる異常な電気信号を抑えるため、β遮断薬やカルシウム拮抗薬などが用いられます。発作が起きてから服用する薬もありますが、これらの薬剤によって症状が改善しない場合や緊急を要する場合には、カルディオバージョンと呼ばれる電気ショックを与えることもあります。

予防

発作性上室性頻拍は、無症状で経過するものから重症なものまでさまざまです。必ずしも治療を要する訳ではありませんが、無症状であっても長期間持続して発作が生じることで心不全を引き起こすこともあるため、注意が必要です。気になる症状がある場合には、早めに医療機関を受診しましょう。

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