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WPW症候群

別名:ウォルフ・パーキンソン・ホワイト症候群
心臓

目次

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概要

WPW(ウォルフ・パーキンソン・ホワイト)症候群とは、不整脈のなかでも「上室性頻脈性不整脈」に分類される病気です。「上室性頻脈性不整脈」とは、心臓のなかでも心室の上の心房で起こり、脈が速くなる(頻脈)不整脈のことを指しています。
なお、補足ではありますが、WPWとはWolff-Parkinson-Whiteの略で、症例を報告した3人の医師たちの名前に由来しています。

原因

心臓の脈は、電気の興奮によって心臓の細胞が収縮することで作り出されます。電気の興奮は、右心房にある洞結節(どうけっせつ)と呼ばれる部分で起こります。その電気の興奮は心房に伝わり、心房と心室の間の房室結節と呼ばれる部位を通過して、心室に伝わります。このような心臓のなかでの電気伝達によって、心房と心室は、共同して規則正しく動くことができます。

WPW症候群では、心房と心室の間にケント束と呼ばれる、房室結節以外に電気を伝える異常な伝導路があるため、心房と心室の間を電気の興奮がくるくると回ってしまいます。

具体的には、房室結節を通って心房から心室に伝わった電気の興奮がケント束を通って再び心室から心房に伝わり、それがまた房室結節を通って心房から心室に伝わる、というかたちです。これにより脈が速くなり、1分間に150回以上(通常60~100回)になることもあります。

症状

WPW症候群では、頻脈の発作が突然起こるため、動悸、気分不快やめまい・ふらつきなどが突然現れます。

WPW症候群の頻脈発作が致命的になることはほとんどありません。ただし、心房細動と呼ばれる別の不整脈を合併した場合には、脈拍が非常に速くなり、重症化する可能性があるため注意が必要です。ケント束があっても頻脈が起こらない場合は、無症状のまま経過します。

検査・診断

WPW症候群の診断では、主に以下のような検査が行われます。

標準12誘導心電図

患者さんへの負担が少なく、ほとんどの診療所で簡単に検査が可能なことから他の循環器疾患と同様にWPW症候群において重要な検査です。WPW症候群では特徴的な波形が得られることから、頻脈発作が起きているときだけでなく、発作がないときでも診断することができます。具体的には、「デルタ波」と呼ばれる波形を確認します。

ホルター心電図

胸にいくつかの電極を貼り付け、携帯型の心電図装置に日常生活の心電図を24時間記録する検査です。日常生活のなかで心電図を記録できるため、WPW症候群の頻脈発作を発見しやすくなります。

イベント心電図

小さな記録装置をあらかじめ患者さんに持ってもらい、日常生活のなかで動悸などの自覚症状が起こったときに装置を胸に当てて心電図を記録します。この検査でも頻脈発作を検出することができます。

治療

心電図でケント束がみつかっても無症状の場合は、ほとんどの場合、治療をせずに経過をみます。頻拍発作が起きている場合には、以下の方法で治療を行い、発作の停止を試みます。

迷走神経刺激法(バルサルバ手技)

息をこらえる、冷たい水に顔をつける、冷たい水を飲むなどの行為により迷走神経(リラックスさせる神経)を刺激して、頻拍を止めます。

薬物治療

アデノシン三リン酸(ATP)の急速静注やカルシウム拮抗薬の静脈注射により電気興奮の伝導を遅くして頻拍を停止します。その他の抗不整脈薬や、内服による治療が行われることもあります。

電気ショック

薬剤により停止しない場合は電気的除細動(DC)により電気ショックをかけて停止させる場合もあります。電気ショックの前には即効性の麻酔薬を点滴で投与します。

カテーテル治療(高周波カテーテルアブレーション)

高周波カテーテルアブレーションとは、足の付け根の太い血管から、カテーテルと呼ばれる細い管を心臓まで持っていき、WPW症候群の原因となっているケント束を高周波電流で焼き切る手術のことです。手術時間は1~2時間程度で、局所麻酔で行うことができます。

合併症として、カテーテル挿入部の出血や血腫(血液が固まってできた塊)、感染のリスクの他、まれではありますが、心臓に傷がつき心臓周囲に血液がもれてたまる心タンポナーデという重篤な合併症を引き起こすことがあります。