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不整脈治療で使われるS-ICDとは? ICDとの違い、適応やメリット・...
S-ICDとは、ICD(植え込み型除細動器)の一種です。心室細動や心室頻拍などの、突然死のリスクがある不整脈の治療に用いられます。S-ICDを植え込むことで、不整脈が起きた場合でも自動的に電気シ...
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不整脈治療で使われるS-ICDとは? ICDとの違い、適応やメリット・デメリット

公開日 2017 年 10 月 11 日 | 更新日 2017 年 10 月 11 日

不整脈治療で使われるS-ICDとは? ICDとの違い、適応やメリット・デメリット
清水 渉 先生

日本医科大学大学院医学研究科 循環器内科学分野 大学院教授

清水 渉 先生

S-ICDとは、ICD(植え込み型除細動器)の一種です。心室細動や心室頻拍などの、突然死のリスクがある不整脈の治療に用いられます。S-ICDを植え込むことで、不整脈が起きた場合でも自動的に電気ショック治療を行い、突然死を防ぐものです。

S-ICDは、ICDとどう違うのか、S-ICDの特徴などについて、日本医科大学大学院医学研究科 循環器内科学分野 大学院教授 清水 渉先生にお話をうかがいました。

S-ICDの機能や役割、特徴とは

皮下植え込み型のICD

S-ICD(皮下植え込み型除細動器)とは、脇の下に本体を、皮膚の下にリード(心臓の電気信号を本体に送り、本体から出された電気ショックを心臓に伝える導線)を留置し、心臓に電気ショックを与えて自動的に救命治療を施す機器です。心停止の原因となる致死性頻脈性不整脈を感知し自動的に電気ショックを送ることで、正常な心拍に戻します。

通常のICDは本体を左鎖骨の下方の胸部に、血管を介して心臓内にリードを留置しますが、S-ICDでは機器が血管内や心臓に触れることがないため、ICDの植え込みによる感染症など、合併症のリスクを大幅に軽減できます。

S-ICDのメリットとデメリット

メリット:リードの断線、感染症のリスクを低減

S-ICDは、ICDのように血管内や心臓にリードを入れません。そのため、リードの断線や感染症のリスクを大幅に下げられます。植え込み時にはX線を使用しないことから、被ばくのリスクも下げることができます。

また、リード断線のリスクが低いため、ICDでは避けられていた運動に対する制限も少なくなりました。

デメリット:本体が大きく植え込み時の傷が大きい、ペーシング治療不可

一方でデメリットもあります。S-ICDはICDと比べて大きさが1.5倍ほど大きくなるため、本体を植え込むための切開創(傷口)が3か所に増えます。また痩せ型の患者さんの場合、本体が大きいことから植え込み後に、外から本体が目立ちやすくなります。

また、S-ICDにはペーシングの機能がついていません。そのため、徐脈性不整脈(通常より脈が遅い)でバックアップペーシングが必要な場合、高頻拍ペーシングで止めることのできる心室頻拍の場合はペーシング機能を有する通常のICDで治療を実施します。

S-ICDの適応

心筋梗塞

電気ショック治療が可能な心室頻拍、心室細動がある方に適応

S-ICDは電気ショックでの治療が可能な心室頻拍、心室細動を起こす疾患を持つ方に有効です。心室頻拍、心室細動を起こす疾患として、以下が挙げられます。

<心室頻拍を起こす疾患>

<心室細動を起こす疾患>

S-ICDとICDの使いわけ

「S-ICDのメリットとデメリット」の章でも述べましたが、S-ICDではペーシング治療ができません。そのため、ペーシング治療が必要な徐脈性不整脈の方、ペーシング治療で心室頻拍を止められる場合(電気ショック治療が不要な場合)は、ICDを使用します。

逆にいえば、上記以外であればICDであってもS-ICDであっても治療が可能です。患者さんの希望や日常生活などを考慮し、S-ICDとICDのどちらを使用するかを決定します。

S-ICDの植え込み手術の方法や費用

-ICDの植え込み方法用

S-ICDの植え込み手術は1時間程度で完了します。おおまかな手順は以下のとおりです。

  1. 全身麻酔(または局所麻酔)を使用し、左の側胸部に1か所切り込みを入れる。
  2. 本体を皮膚の下へ入れるためのポケットをつくる。
  3. 胸骨の左縁にさらに2か所切り込みをいれ、皮膚の下にリードを固定する。
  4. リードを本体に取り付ける。
  5. S-ICDの動作確認などのテストを行い、患者さんの心臓の状態に合わせて設定をする。
  6. 切開部を閉じる。

S-ICDの麻酔はどのような場合に局所麻酔で行われる?

日本医科大学付属病院では、麻酔科の協力のもとほぼ全例を全身麻酔で行っています。ただし、心機能が大きく低下しているなど、全身麻酔によって血圧低下などのリスクが考えられる場合のみ、局所麻酔で治療を実施します。

S-ICD植え込み手術を受ける際の注意点

薬を飲む中年〜高齢者

ICDと同様に、創部(手術の際の傷口)が大きくなるため抗血小板剤や抗凝固薬を服用している場合には注意が必要です。これらの薬を服用していると、血が止まりにくいなどのリスクがあるためです。

そのため、抗血小板剤や抗凝固薬を服用している方は、基本的には一度薬の服用を止めていただきます。薬の服用を一時中止することが難しい場合には、止血方法を工夫します。

S-ICD手術の費用

S-ICD手術は、保険適用(3割負担)で120万円程度です。S-ICD手術も高額療養費制度が利用できますから、本制度を利用すれば自己負担額は大幅に少なくなります。高額療養費制度についての詳細は、各健康保険組合にお問い合わせください。

S-ICDでは、感染症などのリスクを減らして不整脈を治療できる

今までは、ICDといえば心臓にリードを入れることが当たり前でした。そのため、リード断線や感染症のリスクが一定の確率でありました。しかしS-ICDの登場により、今では心臓や血管内に触れずに植え込み型除細動器を使用することができます。また、今までよりもより自由に運動を行えるようになり、S-ICDを植え込みながらスポーツを楽しむ患者さんもいらっしゃいます。

S-ICDによる治療を検討している方は、まずは自身がS-ICDの適応であるかどうか、担当の医師に相談してください。

記事2『S-ICDの術後―日常生活で気をつけるべきポイントは?』では、S−ICD装用後の生活についてお伝えします。

 

不整脈治療 (清水 渉先生)の連載記事

国立循環器病研究センターに24年間在籍し、その間に米国・マソニック医学研究所に留学、2013年から現在の日本医科大学大学院医学研究科 循環器内科学分野の大学院教授を務める。日本の遺伝性不整脈学の第一人者であり、国内・国外多施設共同研究を牽引するとともに、QT延長症候群やブルガダ症候群の国際診断基準作成にも携わっている。研究業績も多数あり、IFは1200を超える。国立循環器病研究センター時代から後進の育成にも熱心で、教え子が全国各地で指導的立場として活躍している。

国立循環器病研究センター 心臓血管内科部門 客員部長 (2013年5月から) 滋賀医科大学 呼吸循環器内科 客員教授 (2013年7月から) 東京医科大学 内科学第2講座 客員教授 (2005年7月から) 埼玉医科大学 国際医療センター心臓内科 客員教授 (2007年4月から)を併任。

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