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心臓CTで分かること〜CTの発展から見る心臓CT特徴を医師が解説〜

心臓CTで分かること〜CTの発展から見る心臓CT特徴を医師が解説〜
児玉 和久 先生

社会福祉法人 大阪暁明館病院 特別顧問、大阪警察病院 名誉院長、NPO法人日本血管映像化研究機...

児玉 和久 先生【監修】

小松 誠 先生

社会福祉法人 大阪暁明館病院 心臓血管病センター長

小松 誠 先生【執筆】

目次
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心臓CTは外来でできる検査のなかでも信頼性の高い心臓の検査です。今までは医師が症状を聞いて心臓病を疑うかどうかは、その医師の経験によるところが大きかったですが、心臓病の症状は多彩であり、症状がない方もいるため、診断に悩むこともありました。しかし、心臓CTの登場により外来であっても実際に心臓の状態を見て判断できるようになったことが大きな発展です。

では、心臓CTではどのようなこと分かるのでしょうか。またどのような特徴があるのでしょうか。本記事では心臓CTの発展の歴史から心臓CTの特徴について解説します。

CTはX線に対する吸収の程度であるCT値というもので白黒の色の差をつけて、体の内部を調べることのできる画像検査です。

CTは特に新しい検査ではないと思う人もいるかもしれませんが、心臓に対するCTは異なります。心臓はほかの臓器と異なり拍動する臓器のため、長らくうまく撮影できませんでした。そこで信号を受け取る検出器の数を増やしたCTが登場したのです。検出器の数を表す8列、16列、64列、320列CTなどが次々開発され、その後はX線を出す管球と検出器を2組にしたものなど、いろいろな種類があります。日本では64列CTが2005年に使われるようになってから、ほぼ技術的には成熟し心臓の撮影ができるようになりました。このように、心臓をより正確に撮影し表現するというのが最近のCTの発展の歴史です。

心臓に栄養を送る血管である冠動脈は、太いところで4~5mmあり、そこに汚れがたまるとときに血液が十分に心臓の筋肉にいきわたらなくなり、時々胸の痛みや圧迫感をきたす狭心症、その部分の汚れが詰まると血流が閉ざされる心筋梗塞となります。心筋梗塞になると心臓の筋肉が壊死(えし)してポンプのはたらきが弱まり、破裂、心臓の止まる不整脈、長期的には体の動きに対応したポンプの力が出せない心不全を起こすため、できるだけ早く診断する必要があります。

心臓の病気の診断では、心臓の電気信号を見る心電図や、心臓の動きや形を見るエコーのほか、薬や運動で負荷を掛けてその反応を見る検査も使われます。なかでも心臓CTは、冠動脈の病変を見つけ出したり、心臓カテーテルや冠動脈バイパス手術までを含めた治療戦略を外来で立てられたりすることが大きな特徴です。

心臓CTは管を直接体内に入れる心臓カテーテル検査には劣るものの、狭窄(きょうさく)の有無を外来で判断する新しい方法として確立しています。心臓CTで“狭窄がない”と診断された場合の正確性は極めて高いです。心拍数が早い場合は画質が落ちて診断できないこともあるため、前もって心拍数を落ち着ける薬を用いることがあります。この場合、検査前に早めに病院へ行く必要があることが多いでしょう。

ただし、血管の中には硬い汚れ、軟らかい汚れがあり、特に硬い汚れが大きく映ると狭窄の有無は判定できなくなります。また、冠動脈狭窄の治療で使われるステントを含め狭窄がないか調べることもあります。ただ、3mmまたはそれ以下のステントの内部は厳密に言って再狭窄の判定が困難です。目的に応じて心臓CT、負荷試験、心臓カテーテル検査などを使いわけることになります。主治医とご相談ください。

ご提供写真
(左)心臓の全体像を示す像(右)心臓を栄養する冠動脈だけを示す像
ご提供写真
冠動脈を評価する右冠動脈像:(左)冠動脈狭窄のない例(右)冠動脈狭窄のある例
矢印の部分が高度に狭窄が起こっています。

心臓CTの欠点は、ヨード造影剤を使うこととX線を使用することです。ヨード造影剤は特に機能が低下した腎臓をさらに傷める危険があります。このため、腎臓が弱っている方には行わない、あるいは造影剤量を減らしたほうがいいですが、これは主治医の判断になるでしょう。X線の量は、いろいろな技術ができて少なくなってきていますが、施設による差が大きいため、どうしても気になる方は主治医に相談してください。

ほかにも、風船治療の必要性を決めるのに試みられている場合もありますが、その方の病状によるところが大きいので、何を評価するためにどう検査をしていくかは、主治医とご相談ください。

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