インタビュー

労作性狭心症の治療法

労作性狭心症の治療法
日本心臓財団

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この記事の最終更新は2016年02月23日です。

労作性狭心症の検査」の記事では、最も一般的な「労作性狭心症」の原因と症状とともに、その検査について詳しくご説明しました。この記事では引き続き、「労作性狭心症」の治療法についてご説明します。

薬物療法においては、高血圧脂質異常症など冠動脈疾患を促進させる疾患の治療を行い、抗血小板薬で血液をサラサラにし、固まりにくくしておきます。そのうえで硝酸薬やカルシウム拮抗薬を用いて冠動脈の緊張をできるだけ緩め、交感神経ベータ遮断薬で心臓の酸素の需要を減らして、症状を抑制します。それぞれの薬の副作用も考慮して、病状に合わせて選択や組み合わせを行います。

「風船療法」と説明されることが多いものです。バルーン(風船)を拡張させて行う冠動脈血行再建法です。冠動脈造影と同様に、カテーテルという細い管を冠動脈の入り口に直接挿入します。このカテーテルを介して細いガイドワイヤーを狭窄部の先まで送り込み、それを伝ってバルーンを狭窄部まで到達させます。そしてバルーンを膨らませて、狭窄を押し広げ、冠動脈を拡張させます。

拡張後にはステント(コイル状の金属)を留置することが一般的になっています。ステントを入れると狭窄部は内側から支えられ、血管を拡げた状態を維持できます。再狭窄を防ぐために、薬剤を塗布した薬剤溶出性ステントが広く使用されています。全体の所要時間は数十分ですが、病変の部位や数、性状(プラークの脂質や石灰化の程度)によって大きく変わります。

ステントの普及と発展に伴って、PCIの主な合併症である急性冠閉塞、すなわちPCIで広げた血管が数時間以内に閉塞してしまう現象は、大きく克服されました。しかし、PCIの術後数ヶ月以内に、ときには術前よりひどい狭窄を起こす「ステント再狭窄」は未だに問題となっています。これは、PCIでは血管の内側にどうしても傷をつけることになるため、血管がその傷を修復しようとして起こるものです。再狭窄を防止するためには、抗血小板薬の内服を指示通り行うこと、そして可能であれば術後の決められた時期に冠動脈造影の再検査を受けることが重要です。また術前と同じような症状がでたら、すぐに主治医に連絡するようにしてください。

PCIが内科で行う治療である一方、冠動脈バイパス術は外科で行う手術にです。狭心症に対する薬物療法が無効で、冠動脈の病変がカテーテルによる治療に適さなかったり困難な場合に行います。冠動脈の狭窄部位には手をつけませんが、狭窄部分の前と後ろをつなぐバイパスという別の通路を作成することで、狭窄部を通らない心筋への血液の流れ路をつくります。バイパスには、胸郭の中で心臓の近くにある左右内胸動脈や前腕の橈骨動脈、大腿の大伏在静脈、胃のそばにある右胃大網動脈などを用います。

心臓バイパス手術
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