インタビュー

急性心筋梗塞や不安定狭心症など、「急性冠症候群」の検査方法と治療法

急性心筋梗塞や不安定狭心症など、「急性冠症候群」の検査方法と治療法
日本心臓財団

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この記事の最終更新は2016年03月31日です。

虚血性心疾患について正しく知ろう!」では、急性冠症候群には急性心筋梗塞、不安定狭心症、そして時に心肺停止も含まれるとご紹介しました。これらの原因は、動脈硬化に強い関係をもつ危険因子です。

またこちらも復習になりますが、急性心筋梗塞の代表的な症状は「冷汗がでるような胸痛が持続する」というものでした。他にもみぞおちにこのような症状がでたり、狭心症同様に顎や腕の方に痛みがでることもあります。嘔気や嘔吐が続くこともあります。いずれも自身で病院を受診することはおろか、動くことにさえ危険が伴います。すぐに救急車を呼ぶ必要があります。

労作性/安定狭心症では、労作など心臓に負荷がかかった際に胸痛が出現し、安静にすることで軽快します。一方、胸痛が ①新規発症、 ②安静時に起こる、 ③次第に増悪する、といったときに不安定狭心症を疑います。このような症状がでることの理由には、病態が密接に関わっています。

「狭心症の検査」で紹介した通り、労作性/安定狭心症のときの冠動脈の動脈硬化病変は「安定プラーク」(血管壁の中に脂肪が蓄積してできるプラークが破裂して血栓となる可能性の低い状態)と呼ばれるものです。文字通り安定しているため、急性冠症候群へ進行しにくいことが特徴です。しかし不安定狭心症でみられるプラークは脆弱で、「破綻しかけている」もしくは「破綻してしまっているがまだ冠動脈の完全な閉塞は起こしてはいない」と考えられる状態です。これらはそのうち容易に冠動脈の閉塞へ進行、つまり心筋梗塞に進行する可能性が高いのです。

急性冠症候群は死に至ることも多い危険な疾患です。特に急性心筋梗塞では、発症してからどれだけ早期に冠動脈の閉塞部を開通して再灌流することができるかが、生命予後改善の鍵となります。

心電図や心臓超音波検査で急性心筋梗塞を疑った際には、緊急に冠動脈造影と呼ばれるカテーテル検査を行います。造影剤を冠動脈内に直接注入することにより、冠動脈に閉塞がないかを確認します。そして閉塞があればそのままカテーテル・インターベンション(PCI)へ移行し、血管を拡げる治療を行います。この際に、発症してから少しでも早く再灌流を得られるよう、来院してからの操作を迅速に行う必要があります。再灌流後は抗血小板薬や脂質異常症の薬、硝酸薬の内服や、抗凝固薬や硝酸薬の点滴による治療も並行して行われます。

不安定狭心症は、症状がでていない際には心電図・超音波・血液検査のいずれも異常を示さないケースもあります。したがって、医師は症状とリスクファクターを慎重に評価することを最重視し、不安定狭心症が疑わしいと考えれば、急性心筋梗塞に準じて適切な初期治療を行った上でリスクに合わせて準緊急的に心臓カテーテル検査を行います。初期治療は心筋梗塞同様であり、抗血小板薬や脂質異常症の薬、硝酸薬の内服や、抗凝固薬や硝酸薬の点滴などを行います。

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      実績のある医師

      周辺で心筋梗塞の実績がある医師

      東京都立多摩総合医療センター 副院長(前循環器内科部長)

      たなか ひろゆき

      内科、血液内科、リウマチ科、外科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科、腎臓内科、心臓血管外科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、歯科口腔外科、麻酔科、乳腺外科、呼吸器内科、循環器内科、緩和ケア内科、感染症内科、消化器内科、内分泌内科、代謝内科、膠原病内科、脳神経内科、血管外科、頭頸部外科、精神神経科、総合診療科、病理診断科

      東京都府中市武蔵台2丁目8-29

      JR武蔵野線「西国分寺」南口 JR中央線も乗り入れ  バス(約5分):総合医療センター(府中メディカルプラザ)行き、西府駅行き 総合医療センター(府中メディカルプラザ)下車 徒歩14分

      順天堂大学 心臓血管外科 主任教授、虎の門病院 循環器センター外科 特任部長

      たばた みのる
      田端先生の医療記事

      4

      内科、血液内科、リウマチ膠原病科、外科、精神科、神経内科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、放射線科、歯科、麻酔科、乳腺外科、呼吸器内科、循環器内科、消化器内科

      東京都港区虎ノ門2丁目2-2

      東京メトロ銀座線「虎ノ門」出口3 徒歩5分、東京メトロ日比谷線「霞ケ関」丸ノ内線、千代田線も利用可 徒歩8分

      NTT東日本関東病院 循環器内科 部長

      あんどう じろう

      内科、消化器内科、循環器内科、腫瘍内科、血液内科、糖尿病・内分泌内科、高血圧・腎臓内科、感染症内科、精神科、呼吸器内科、緩和ケア内科、脳神経内科、脳血管内科、小児科、外科、乳腺外科、形成外科、脳神経外科、心臓血管外科、整形外科、呼吸器外科、歯科口腔外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、頭頸部外科、リウマチ膠原病科、放射線科、リハビリテーション科、救急科、麻酔科(ペインクリニック内科)、病理診断科

      東京都品川区東五反田5丁目9-22

      都営浅草線「五反田」 徒歩5分、JR山手線「五反田」東口より病院シャトルバスも運行あり 徒歩7分

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