きゅうせいかんしょうこうぐん

急性冠症候群

最終更新日:
2021年11月17日
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2021/11/17
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概要

急性冠症候群とは、不安定狭心症急性心筋梗塞(きゅうせいしんきんこうそく)を合わせた病気の総称で、冠動脈が突然塞がることで心臓突然死を起こす可能性のある重症な状態です。

心筋(心臓の筋肉)に酸素や栄養を供給するための血管を冠動脈と呼び、冠動脈が高度に狭くなったり塞がったりすると心筋への血液供給が大幅に減少あるいは遮断され、心筋の一部が虚血(酸素不足)を起こします。

このように心筋が虚血になる病気を虚血性心疾患といいます。虚血性心疾患には大きく安定狭心症と急性冠症候群があり、大まかに分けると軽症のものが安定狭心症、重症のものが急性冠症候群です。急性肝症候群は心筋梗塞に移行する可能性が高く、不整脈を含めて突然死のリスクが高いため、原則として入院が必要になります。

急性冠症候群を発症すると短時間で死に至ることがあるため、発症したら一刻も早く治療を開始する必要があります。

種類

急性冠症候群には、冠動脈の狭窄(きょうさく)閉塞(へいそく)の程度に応じて“不安定狭心症”と“急性心筋梗塞”の2つがあります。

不安定狭心症

狭心症とは、何らかの原因によって冠動脈が狭くなる病気の総称です。狭窄の程度が軽く安定している安定狭心症に対して、不安定狭心症は狭窄の程度が強いこともありますが、多くは不安定な狭窄であり、プラークの破綻を伴いやすく、心筋梗塞に移行しやすい狭心症といわれています。

急性心筋梗塞

冠動脈が完全に塞がって心筋への血液供給が途絶え、心筋の一部が壊死(えし)を起こした状態です。不安定狭心症よりも重症で、心筋が壊死することで重度の心不全、心破裂や不整脈が生じ、突然死することもあります。

原因

冠動脈の狭窄・閉塞の主な原因は、動脈硬化によって生じた冠動脈内の血栓(血の塊)です。

動脈の壁が厚くなったり硬くなったりして血管内が狭くなる状態を動脈硬化といい、動脈硬化にはいくつかの種類がありますが、もっとも多いのがプラーク・アテロームによる粥状動脈硬化(じゅくじょうどうみゃくこうか)(アテローム性動脈硬化)です。

アテロームとは、コレステロールなどの脂肪を含むドロドロとした粥状物質のことで、アテロームが増殖してできた隆起病変をプラークと呼びます。これが冠動脈の壁に作られることで動脈内が狭くなります。

そしてこのプラーク・アテロームが破綻すると、そこに血栓が生じ、血栓によって冠動脈内が高度に狭窄すると不安定狭心症、完全に塞がると急性心筋梗塞となります。

動脈硬化が進行する危険因子として、高血圧脂質異常症糖尿病、肥満、喫煙、ストレス、加齢などが挙げられ、このような危険因子が多いほど急性冠症候群にかかりやすくなります。

症状

心筋が虚血を起こすことで、胸の圧迫感や痛みが起こります。締め付けられるような痛みや、押さえつけられるような痛みと表現されることが多く、今まで経験したことのない激しい痛みに襲われ冷や汗を伴うこともあります。

痛みは胸の中央から左側を中心として肩や首、背中、顎、左腕、お腹まで広がることがあり、通常体の深いところから痛みを感じます。

不安定狭心症では特別な理由がなく突然胸痛が現れ、多くは数分~10分程度で治まりますが、高頻度に繰り返し起こります。

急性心筋梗塞でも突然胸痛が現れますが、不安定狭心症よりも痛みが激しく、20分以上長く続きます。心不全不整脈が伴うと息苦しさや動悸も現れます。

急性心筋梗塞になると発症2時間以内に半数以上が死に至るといわれています。不安定狭心症から短時間で急性心筋梗塞に移行することもあるため、上記のような症状がみられたら一刻も早く病院を受診する、あるいは救急車を呼ぶ必要があります。

ただし、糖尿病がある人は神経障害の影響から痛みを感じにくく、軽い痛みの場合やまったく痛みがない場合もあるため注意が必要です。

検査・診断

急性冠症候群は一刻を争う危険な状態のため、症状などから急性冠症候群が疑われる場合には緊急入院をしてすぐに検査を開始します。採血や心電図検査、心臓超音波検査などが行われ、冠動脈CTで冠動脈の状況を把握して速やかに治療方針を決定して治療に移ります。

治療

まずは血栓の予防や血流をよくするために抗血小板薬、抗凝血薬、血管拡張薬などを点滴し、病態の安定化を図ります。

そのうえで、狭窄・閉塞した冠動脈を開通させるために緊急手術が行われます。手術の方法としてはカテーテル治療やバイパス治療があります。

カテーテル治療では、手首や足の付け根にある動脈からカテーテルという細い管を入れ、狭窄・閉塞した冠動脈を血管の内側から風船やステントと呼ばれる網目状の金属で広げ、心筋への血流を改善させます。

バイパス手術では、狭窄・閉塞したところよりも先の部分に新たな血管(バイパス血管)をつなげ、その血管を経由して心筋に血液が流れるようにします。

そのほかの治療として血栓溶解療法があります。これは薬で血栓を溶かす治療で、手術が施行できない病院を受診した際などに行われることがあります。急性冠症候群は時間との勝負のために、速やかな治療が可能なカテーテル治療が選択されることが多いです。

予防

急性冠症候群は主に動脈硬化によって生じた冠動脈内の血栓が原因となるため、動脈硬化を予防することが急性冠症候群の予防につながります。

バランスのよい食事を心がける、塩分・糖分・脂肪分の取りすぎに注意する、規則正しい生活を送る、適度な運動をする、ストレスを避けてリラックスできる時間を作る、禁煙をするなど、生活習慣の改善に努めましょう。

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