心筋梗塞は心臓に酸素と栄養を供給する冠動脈がつまることで心筋が壊死してしまう病気で、持続する強い胸の痛みやしめつけ感を主な症状とします。年間約15万人が発症しており、無治療の場合そのうち3割以上の人が亡くなっているともいわれています。心筋梗塞は危険な病気ですが、早期に治療を行うことで命が助かる病気であり、早期診断のために中心となる検査が心電図検査です。それでは心電図検査はなぜ重要で、どのような検査が行われるのでしょうか。
心筋梗塞とは、冠動脈の閉塞により心筋細胞が壊死する病気のことです。心筋梗塞は突然発症する病気であり、発症後早期に診断・治療を行わなければ高い確率で死に至る危険性があります。
心電図検査は心筋梗塞の検査の中でももっとも重要な検査であり、発症し医療機関に搬送されてからできるだけ速やかに心電図をとり、類似の疾患との鑑別を行う必要があります。また、一部の心筋梗塞は胸の痛みなどの症状が出ない場合もあり、心電図を見て異常に気付くこともあるほか、健康診断や人間ドックでの定期的な心電図検査を受けることにより過去に心筋梗塞を発病したことが分かることもあります。
心電図検査は、体表に電極を付けて心筋に流れる電流を記録する検査です。痛みはなく、準備を含め数分以内に完了する検査で、一般的な健康診断でも受けることができます。
心電図の結果は電気活動をグラフ化した形で記録され、波形を見て心臓の動きに乱れがないかを判断します。心電図で見られる波形の異常にはさまざまな種類があり、波形によって疑われる疾患が異なるため、専門知識を持つ医師が波形を読み取り、どのような疾患が疑われるかを判断します。
心臓は心筋と呼ばれる筋肉に規則的な微弱の電気信号が流れており、興奮を起こすことで拍動を起こしています。心臓は左右の心房・心室と呼ばれる4つの部屋に分かれており、電気信号が心房から心室へ順序よく伝えられることで心臓全体の収縮を起こしています。
心電図では、心臓のどの部分が興奮しているかによってP波、QRS波、T波、U波と呼ばれる4つの波が見られ、正常な波形では、これらの波が一定の周期で、基準内の高さ、間隔で見られます。
心筋梗塞を発症すると、さまざまな異常な波形が見られるようになります。心筋梗塞に見られる代表的な異常波形には、以下のものがあります。
Q波の深さが著しく大きくなる波形です。強い心筋障害が起こっていることを示します。
QRS波とT波の間のSTと呼ばれる部分が高くなる波形です。心筋に血液を流す血管が塞がっていることを示します。
通常は山形をしているT波に興奮が見られず、へこんだように見える状態です。心筋に血液が流れなくなる心筋虚血の状態を示します。
上記のほかに、R波増高不良、高いT波、低電位差、平低Tなどの波形が見られることもあります。
心電図の波形は、心筋梗塞の進行や回復に伴い、徐々に変化していきます。このような波形の特徴を観察することで、心筋梗塞を発症してからどれくらい経ったか推測することができます。
発症後数分以内の早い段階では、Q波やSTの上昇は見られず、T波が高い状態が見られます。その後、発症後数分~数時間程度でST上昇が見られるようになり、その後異常Q波が現れます。さらに発症から数時間~数日程度経過すると、冠性T波が見られるようになります。
発症後、数日程度経過して回復してくると冠性T波は徐々に消失します。しかし、異常Q波はしばらく経っても観察され続けます。
心筋梗塞の検査には、心電図以外にも血液検査、心エコー検査などがあります。心筋梗塞の疑いが強いと判断された場合、冠動脈造影検査が行われます。
心筋梗塞で心筋細胞が破壊された場合、クレアチンホスホキナーゼなどの特徴的な酵素が血液検査で検出されるようになります。
心臓に超音波をあて、動き方を観察する検査です。心筋梗塞では心室の壁の動きが低下することが分かります。体への負担が少ないため、繰り返し行える利点があります。
カテーテルと呼ばれる細い管を心臓の血管に通し、造影剤を注入して冠動脈の様子を撮影する検査です。心筋梗塞では閉塞した血管を確認し、そのまま冠動脈を広げる手術を行うことができます。
心電図検査は心筋梗塞診断のために非常に重要な検査であり、心筋梗塞が疑われる症状がある場合はただちに検査を始める必要があります。また、心筋梗塞のほかにも、心臓のさまざまな異常を見つけることができます。心筋梗塞の症状がなくても、心電図をとることで何らかの異常が見つかり早期治療につなげられる場合があるので、定期的に健診を受けるようにするとよいでしょう。
筑波記念病院 つくばハートセンター センター長
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