狭心症や心筋梗塞などの心臓の病気は、自分では気付かないうちに発症して進行している可能性があり、突然悪化して命に関わる場合もあります。菊名記念病院 循環器内科では、心臓の病気に対して24時間365日対応できる診療体制を整えるとともに、ほかの科との連携によるスムーズかつ幅広い治療の提供に力を入れています。
今回は、同院における診療の特徴について、同院 循環器センターセンター長 本江 純子先生、循環器内科部長 武藤 光範先生にお話を伺いました。
狭心症でも心筋梗塞でも、心臓の病気はできるだけ早く治療を始めることが大事なので、当院では可能な限り速やかに対応できるよう、心臓専用のホットラインを設けています。たとえば、救急車で運ばれてくる患者さんが心臓に異常をきたしている可能性があれば、一般の救急ではなく、心臓専用のホットラインに救急隊から連絡が入るようになっています。そしてその場合は、可能な限り断らずにお引き受けしています。
心臓の病気は、発見や治療が遅れると命に関わることもあるため、気になる症状があったり、健康診断で異常を指摘されたりしたらできるだけ早く受診することが大切です。そのために、私たち循環器内科は地域医療に貢献するべく常に患者さんが受診できる体制を整えておく必要があると考えています。当院では昼夜を問わずいつでも心臓病の治療が可能な救急外来の体制を確立しており、心臓病の治療を行うことのできる医師が24時間365日待機しています。
日中の外来診療だけでなく、症状が持続する場合や突然体調が悪化した場合などは、休日でも夜間でも必要に応じて救急外来をご利用ください。
当院では狭心症や心筋梗塞に対する治療以外にも、さまざまな治療を全般的に行っています。
当院は、不整脈に対するカテーテルアブレーションを導入しています。不整脈とは、脈が遅すぎる(1分間に50以下)、速すぎる(1分間に100以上)、または不規則に打つ状態のことです。不整脈の1つである心房細動は、心臓の中にある“心房”というところが小刻みに震えて機能が低下する状態であり、この心房細動を根本的に治療できる方法がカテーテルアブレーションです。カテーテルアブレーションは、カテーテルという細い管の先から高周波を流し、不整脈を改善する治療法です。カテーテルアブレーションが必要な場合には、不整脈を専門とする医師と連携して治療を進めます。
外科治療を担当する心臓血管外科も同様に、幅広く治療を行っています。例として、静脈の一部が拡張する静脈瘤という病気に対しては、ストリッピング手術、ラジオ波カテーテル手術、静脈瘤切除術などの方法があり、患者さん一人ひとりに合った治療を実施しています。動脈の一部が拡張する動脈瘤の治療としては、人工血管置換術や、体への負担が少ない方法であるステントグラフト治療(ばね状の金属と人工血管を組み合わせた器具で血管を内側から治療する方法)などを行っています。
循環器内科と心臓血管外科は“循環器センター”として協力して診療を行っており、診療科同士の垣根が低く、各科が得意とする治療を行ったりサポートしたりすることも多々あります。
たとえば狭心症や心筋梗塞においては、冠動脈の詰まりが複数箇所に及んでいたり、根元に近い部分が詰まっていたりすると、カテーテル治療よりもバイパス手術(狭くなった血管よりも先に血管をつないで血流を再建する外科手術)のほうが適していることがあります。そのようなときは、バイパス手術を得意とする心臓血管外科の医師に相談し、より適切な治療ができるよう連携しています。このように、外科治療が必要な場合でも、24時間体制で心臓血管外科のバックアップが受けられるよう、体制が確立されています。
反対に、心臓血管外科の患者さんに対するカテーテル治療などを、私たち循環器内科が担当することもあります。
このように各科の垣根が低いと、医師同士で細やかなコミュニケーションを取ることができ、そのことが同時に患者さんのメリットにもつながります。
当院には糖尿病専門外来があり、循環器内科と連携を取る機会も多くあります。糖尿病の患者さんは血圧が高かったり、コレステロールの数値が高かったりして、心臓にも異常が生じていることが珍しくありません。しかし、糖尿病の患者さんは合併症の神経障害により、心臓の病気が隠れていても症状が出ないことがあります。そのため、糖尿病専門外来で心臓に異常があると疑われた場合は、当科が協力して診療を行っています。
狭心症や心筋梗塞といった心臓の病気は、突然発症したり悪化したりして命に関わることもあります。そのため、胸の痛みや息苦しさといった症状があれば、早めに受診していただきたいと思います。少しでも気になることや心配なことがあれば、どうぞ遠慮なくご相談ください。
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