編集部記事

狭心症の症状~痛みの程度はどのくらい?受診の目安になる症状は?~

狭心症の症状~痛みの程度はどのくらい?受診の目安になる症状は?~
山﨑 正雄 先生

NTT東日本関東病院 循環器内科

山﨑 正雄 先生

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狭心症とは、心臓の表面にある冠動脈(心臓に血液を送るための血管)が狭くなることで胸痛などの症状が生じることを指します。冠動脈が狭くなる原因には、高血圧糖尿病・血中コレステロールの増加・喫煙・加齢などによる動脈硬化や、冠動脈のけいれんが挙げられます。狭心症は放置すると心筋梗塞(しんきんこうそく)に移行し命に関わる場合もあるため、早い段階で適切な治療を行うことが大切です。では、どのような症状がある場合に狭心症を疑うとよいのでしょうか。

主な症状は胸部に生じる痛みや圧迫感で、階段を上がる、早歩きするなどの心拍数が上がるような動きが発症のきっかけとなります。この痛みは数分間続くほか、寝ているときに痛みで目が覚めたり、明け方や起きがけにトイレに立った際などのタイミングで生じたりすることもあります。

通常は15分程度で解消されるのが一般的ですが(20分以上続く場合は心筋梗塞の可能性があります)、進行するとより軽い労作で症状が現れたり頻度が増えたりするといわれています。

痛みの程度には個人差があります。特に気にならない程度の漠然とした痛みであることもあれば、胸が押しつぶされるような感覚が現れることもあります。主に胸部周辺に痛みが生じますが、人によっては左肩や左腕、右腕、背中、上腹部に生じることもあります。ただし、耳より上やへそより下で症状を感じることはないとされています。

狭心症は発症の原因(きっかけになる行動)で2つに分けることができ、それぞれで症状の特徴も異なります。

まず、階段を上がる、早歩きする、重いものを持つなど、心臓に負担がかかったときに症状が現れるものを“労作性狭心症”といい、動脈硬化によって冠動脈が狭くなることが原因です。

一方、寝ているときや安静時に突然症状が現れるものを“安静時狭心症”または“異型狭心症”といい、冠動脈の一次的なけいれんが原因といわれています。なお、けいれんが原因となる場合は“冠攣縮性狭心症(かんれんしゅくせいきょうしんしょう)”とも呼ばれます。

狭心症心筋梗塞は合わせて“虚血性心疾患”と呼ばれます。虚血性心疾患とは冠動脈が狭くなったり、完全につまったりして血液の流れが悪くなる状態を指します。いずれも冠動脈に障害が起きることで発症します。

狭心症は冠動脈が狭くなって発症します。一方心筋梗塞(急性心筋梗塞症)は狭心症が進行して狭くなった冠動脈に血栓が詰まり血流が途絶えた状態です。血流が途絶えたままだとその部分の心筋細胞が壊死(えし)し、重い心不全不整脈が引き起こされ、心臓の機能が悪くなって突然死に至ることもあります。

急性心筋梗塞に陥ると、胸の辺りの不快感のほか、呼吸困難、悪心や発汗などの症状が現れることがあります。狭心症と異なる点としては症状が20分以上続く点が挙げられます。なお、糖尿病患者や高齢者の場合には神経障害の影響で症状を感じられないこともあるため注意が必要です。

軽い運動をしただけで胸の痛みや圧迫感が数分間続く、安静にしても痛みが治まらない、睡眠中や寝起きなどに痛みが現れることがあるといった場合には、狭心症の可能性があります。こういった症状が見られる場合は、早めに循環器科や循環器内科の受診を検討するとよいでしょう。特に喫煙冠攣縮性狭心症のリスクを高めるといわれているため、喫煙習慣がある方は注意が必要です。

狭心症が進行すると、安静時でも症状が現れたり、症状が続く時間が長くなったり、頻繁に起こったりすることがあります。この場合は短期間のうちに心筋梗塞に移行して命にかかわる可能性もあるため、急ぎの受診が必要になります。

さらに、激しい胸の痛みが20分以上続き、狭心症の発作用の薬も効果がない場合は心筋梗塞の可能性が高いため、救急車の要請を検討する必要があります。

狭心症心筋梗塞へと移行しやすく、場合によっては命に関わる可能性のある病気です。また、再発を防ぐためにも早めに適切な治療を行う必要があります。そのため、運動時、安静時にかかわらず、胸に痛みや違和感が出現した場合は(再現性のある場合はさらに)狭心症の可能性も考えられるので、放置せずに早めに受診するようにしましょう。なお、診療科は循環器科や循環器内科の受診が適切です。

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