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狭心症の原因・症状とは? 胸の痛みなどが現れる虚血性心疾患のひとつ
狭心症は「虚血性心疾患」のひとつであり、胸が痛む、苦しいなどの症状があらわれる疾患です。ひとことに狭心症といっても、そのなかには労作性、冠攣縮性などいくつかの種類があり、おなじ「胸が痛む」という...
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狭心症の原因・症状とは? 胸の痛みなどが現れる虚血性心疾患のひとつ

公開日 2017 年 07 月 24 日 | 更新日 2017 年 11 月 24 日

狭心症の原因・症状とは? 胸の痛みなどが現れる虚血性心疾患のひとつ
渡邉 哲 先生

山形大学医学部附属病院 第一内科 循環器内科

渡邉 哲 先生

狭心症は「虚血性心疾患」のひとつであり、胸が痛む、苦しいなどの症状があらわれる疾患です。ひとことに狭心症といっても、そのなかには労作性、冠攣縮性などいくつかの種類があり、おなじ「胸が痛む」という症状であっても、それぞれの病態によって症状があらわれるメカニズムや、治療方法は違ってきます。

本記事では狭心症とはどのような疾患であるか、そしてどのように治療していくのかについて、山形大学医学部附属病院第一内科 講師 渡邉哲先生にお話を伺いました。

狭心症を含む「虚血性心疾患」とは?

心臓の虚血

虚血性心疾患とは心臓に血液を運ぶ「冠動脈」が動脈硬化などによって細くなり、血液の流れが悪くなることで、心臓の筋肉へ血液を十分に供給できなくなる病態の総称です。心臓の筋肉へ血液が不足している(虚血に陥っている)病態であることから虚血性心疾患とよばれます。

心臓に血液を送る血管は「冠動脈」とよばれます。冠動脈は心臓から送り出された血液が最初に通る「大動脈」の根元から出ていて、心臓の外側を走っています。3本の大きな分枝血管があり、その形が心臓に王冠をかぶせたように見えることから冠動脈という名がつけられています。

この冠動脈が細くなり(狭窄)、血液の流れが悪くなると、血液が不足するため心臓の働きが悪くなります。そうした状態で運動を行うと、心臓に負荷がかかり胸の痛み(胸痛)や息切れなどを引き起こすようになるのです。

また冠動脈が狭窄するのではなく、完全にせき止められてしまう(閉塞する)場合もあります。このような状態では冠動脈の末梢に血液が全く届かなくなるため、心臓の筋肉が壊死してしまいます。急激に閉塞する場合は、突然死に至ることもあります。

このように冠動脈が狭窄したり、閉塞したりすることで心臓の筋肉が虚血状態に陥る病態を虚血性心疾患とよびます。

狭心症とは? 虚血性心疾患の種類と原因

虚血性心疾患は、虚血がおきるメカニズムによっていくつかの種類があります。狭心症はそのなかのひとつです。ここでは主な虚血性心疾患である3つの病態をご紹介します。

①労作性狭心症(ろうさせい きょうしんしょう)

労作性狭心症

虚血性心疾患のなかでも最も一般的であるのが労作性狭心症です。

労作性狭心症の原因は血管の老化といわれる動脈硬化です。動脈硬化では血管が硬くなることで血管が広がりにくくなり、さらにプラーク(粥腫)という血管のコブなどが形成されます。このような病変により冠動脈が狭まっていることから、運動などを行うと、心臓により多くの血液が必要になるにもかかわらず、心臓の筋肉に血液が十分に供給されないため、胸痛や息苦しさを感じるようになります。

②冠攣縮性狭心症(かんれんしゅくせい きょうしんしょう)     

冠攣縮性狭心症また日本人に多くみられる虚血性心疾患として、冠動脈のけいれんによって発生する冠攣縮性狭心症という病態があります。冠動脈がけいれんして細くなることで心臓の筋肉に血液が十分に行き届かなくなり、胸痛や息苦しさを感じるようになります。

冠攣縮性狭心症では運動時ではなく安静時に胸痛が発生するという特徴があります。胸痛が発生しやすいのは夜中や朝方、寒さを感じたとき、深酒をしたとき、タバコを吸ったときなど、心身ともにストレスがかかったときです。そのため労作性狭心症と同じ狭心症ですが、その症状が引き起こされる状況は大きく異なります。

③急性冠症候群(きゅうせいかんしょうこうぐん)

急性冠症候群

急性冠症候群とは、急性心筋梗塞と不安定狭心症をあわせた病態のことです。急性心筋梗塞と不安定狭心症はとても近しい病態であるため、この2つの疾患はまとめて急性冠症候群と呼ばれています。

【急性心筋梗塞】

労作性狭心症のように血管内にプラークができていても、壊れる(破綻する)ことなく安定していれば、冠動脈が細くなっているだけなので、症状は運動時の胸痛などでおさまります。しかし、プラークが破綻してしまうとプラーク内の物質が漏出し、そこに血のかたまり(血栓)が形成されるため、血管の流れを塞ぐようになってしまいます。

こうして、急に血管の流れが完全にせき止められると、心臓の筋肉に全く血液が届かなくなり、心臓の筋肉が壊死するため、心臓の一部が正常に機能できなくなります。これが急性心筋梗塞です。

急性心筋梗塞では致死性不整脈や心破裂により、突然死を起こす可能性がある病態です。発症した場合には早期に処置を行う必要があります。

【不安定狭心症】

不安定狭心症は、急性心筋梗塞と同じように血管内のプラークが破綻することで引き起こされます。しかし、急性心筋梗塞と異なるのはプラークが破綻しても血管の流れが完全に止まることはなく、血流が保たれているという点です。不安定狭心症ではプラークが破綻しても血流が保たれているため、即座に心筋の壊死に至ることはありません。しかし、プラークが破綻した部分の状態が悪化すると心筋梗塞の発症へとつながっていきます。

このように虚血性心疾患は主に労作性狭心症、冠攣縮性狭心症、急性冠症候群(急性心筋梗塞・不安定狭心症)の3つがあり、それぞれ発症のメカニズムによって分類されています。

狭心症や心筋梗塞の症状や特徴 ―初期症状は胸の痛み?

胸痛

労作性狭心症の症状

胸痛、胸の圧迫感や締めつけ感があらわれます。症状は運動するとあらわれ、安静時にはあらわれません。労作性狭心症の患者さんの多くは、階段を駆け上がると胸の圧迫感を感じたり、重いものを持つと胸痛があらわれるといったように「ある一定以上の運動をすると症状がでる」ことを自覚されています。そうした状態に違和感をもち、受診されてくる方が多いでしょう。

労作性狭心症の症状は運動をしているあいだだけ続き、安静にすると速やかにおさまるという点が特徴です。

冠攣縮性狭心症の症状

症状は労作性狭心症とおなじように胸痛、胸の圧迫感や締めつけ感があらわれます。

冠攣縮性狭心症の場合、症状は運動時ではなく安静時にあらわれ、特に寒いとき、大きなストレスを感じたとき、深酒をしたとき、たばこを吸ったときなどに引き起こされるという特徴があります。日中より、朝方や夜中の寝ているときなどに症状を感じるケースが多いです。

冠攣縮性狭心症の症状は、おさまるまでに時間がかかる場合が多く、15~30分程度続く方もいらっしゃいます。こうした点も安静にすることで症状が速やかにおさまる労作性狭心症とは大きく異なります。

急性心筋梗塞と不安定狭心症の症状

急性心筋梗塞は激しい胸痛、冷や汗、顔面蒼白といった激しい症状が突然あらわれます。すぐに救急車をよんで医療機関を受診してください。急性心筋梗塞は心筋に血液が送られなくなることで発症するため、早期に治療を行い、心筋が壊死しないようにすることが重要です。心筋の回復は発症後6時間が勝負といわれています。そのまま処置をせずにいると心不全や死亡につながるため、早期の対処が求められます。

一方、不安定狭心症ではほかの狭心症とおなじように胸痛、胸の圧迫感や締めつけ感があらわれます。まだ心筋への血流が保たれているため激しい症状はなく、すぐに命に影響を及ぼすことはありません。しかし、血管内のプラークが破綻して不安定になっているため、心筋梗塞へと進展しないよう注意が必要です。

労作性狭心症の発症を経て、心筋梗塞を起こす場合、ある程度心筋が虚血にさらされているため、心筋梗塞に進展した場合でも梗塞巣が小さくすむ場合があります。一方、突然冠動脈が詰まり心筋梗塞をおこしてしまう場合には、突然死につながるケースが多いといえます。

また、プラークが破綻して血栓が形成されたとしても、管の内腔を大きく狭めない場合には狭心症の症状はあらわれないことがあります。そうした場合には不安定狭心症とも心筋梗塞とも診断されません。そのため急性冠症候群の発症につながるプラーク破綻が気がつかないうちに生じている可能性があるといえるでしょう。

狭心症の検査

心電図のイメージ

労作性狭心症の検査

労作性狭心症の場合は、安静時に症状が出ないため、外来にお越しいただきそのまま心電図をとっても、症状を確認できず診断が行えません。そのため運動による負荷を再現したうえで検査を行い、診断をつけていくことになります。心臓への負荷のかけ方としては、運動をしていただく、薬物負荷を行うなどの方法があります。こうした検査によって、心臓に負荷を与えたうえで虚血があらわれるかどうかを評価します。

負荷によって虚血があらわれているかどうかを診る方法として最も用いられているものは心電図です。さらに難しい症例では心エコー核医学検査(心筋シンチグラフィー)などを用います。

また心臓のCT検査やMRI検査によっても労作性狭心症の診断の手掛かりを得ることができます。CTやMRIでは冠動脈の狭窄を調べることが可能です。もし冠動脈に狭窄があれば労作性狭心症の疑いが強まります。しかし狭窄があっても血流が保たれている場合もあることから、狭窄があるからといって必ず虚血が起きているという証明にはなりません。このように狭窄があっても虚血が生じていなければ「狭心症」とは診断されません。

そのためCTやMRIは「冠動脈の形態的に狭窄が起きている」という病態を確認する方法のひとつとしては有用な検査となりますが、狭窄がみられた場合には、その狭窄によって虚血がおきているかというところまで調べていく必要があります。

外来では上記のような検査方法で労作性狭心症を診断していきますが、こうした検査で診断がつかない場合には入院しながら検査を行う場合があります。

入院で行われる検査としては心臓カテーテル検査が挙げられます。この検査では冠動脈にカテーテルを入れ造影剤を投与し、写真を撮ることで、冠動脈の血液の流れをみることができます。検査を行った結果、虚血がみつかれば労作性狭心症の診断がつきます。この検査の結果によって確定診断がなされます。

冠攣縮性狭心症の検査

冠攣縮性狭心症では、冠動脈の狭窄がみられない方も多く、どのような検査を行っても基本的には異常なしという結果がでてしまいます。そうした場合には24時間のホルター心電図検査などを、繰り返し行うことが必要です。ホルター心電図検査では24時間モニタリングして得られた心電図波形から胸の痛み、脈の乱れ、動悸などの原因を調べることができます。しかし24時間のホルター心電図検査は24時間、つまり1日間のみのデータから症状を判断するため、その日に胸痛が起こらなければ診断ができません。毎日症状があらわれる方であれば確実に診断が可能ですが、症状が1週間に1回なら検査によって診断ができる確率は7分の1、1か月に1回の方では30分の1程度となるため、診断に至らないケースもあります。

24時間のホルター心電図検査で診断ができない場合には心臓のカテーテル検査によって、けいれんを誘発する薬剤であるアセチルコリンを用いて症状をみる検査が行われます。健常人の方ではアセチルコリンの投与によって冠動脈が拡張しますが、冠攣縮性狭心症の患者さんでは、けいれんが誘発されて冠動脈が細くなります。こうした症状の違いによって、冠攣縮性狭心症の診断をすることが可能です。しかし心臓のカテーテル検査では入院が必要になるため、入院が難しい患者さんでは実施できないこともあります。

そこで、循環器内科医は診断的治療といわれる方法で診断を行うことが多くあります。診断的治療とは、症状の原因が明らかではない場合に、特定の疾患を想定して治療を行うことをいいます。冠攣縮性狭心症の症状は、血管拡張作用をもつニトログリセリンという薬剤を服薬することで速やかにおさまります。そのため、冠攣縮性狭心症が疑われる患者さんには診断的治療としてニトログリセリンを処方し、症状があらわれたときにニトログリセリンを服薬していただきます。その結果、通常であれば30分程度続くはずの症状が、服薬によって数分でおさまる場合には、冠攣縮性狭心症であると診断することができるのです。このように入院がなかなかできない患者さんにはニトログリセリンを服薬いただくことで診断を行っていきます。

不安定狭心症の診断

労作性狭心症と同様に、心電図心エコー心臓カテーテル検査などを用います。また労作性狭心症などの疾患と鑑別するために問診(病歴聴取)をしっかりと行うことが必要でしょう。胸痛の性質、部位、持続時間、経時的変化や胸痛に伴うそのほかの症状などに注意しながら、検査を進めることが求められます。

狭心症の治療方法

労作性狭心症の患者さんには血圧や心拍数を低下させ、心臓の仕事量を減らすβ遮断薬や、血管を広げるニトログリセリンなどの薬剤を用いて治療することが多くあります。こうして心臓への負荷を和らげるだけで症状がなくなる患者さんもいらっしゃいます。

また冠動脈の動脈硬化を進展させないように、高血圧の患者さんには降圧薬を、糖尿病の患者さんには糖尿病治療薬を、脂質異常症の患者さんには脂質異常症治療薬を、というようにそれぞれの病態に即した治療が行われます。

こうした治療を用いても症状が改善されない場合には、細くなった冠動脈の迂回路となる血管をつくる心臓バイパス手術や、細くなった冠動脈に血管を広げるステントを留置するなどの冠動脈インターベンション(PCI)を検討します。

一般的に冠動脈の狭窄病変で、複雑でない場合ではPCIが行われます。一方、3つある冠動脈のすべてが狭窄している、左冠動脈の主幹部が狭窄しているなどの複雑な場合にはバイパス手術を選択されます。患者さんの年齢や状態を考慮しながら最も適切な治療方法を検討していきます。

心臓バイパス手術・PCI

冠攣縮性狭心症の治療では、カルシウム拮抗薬による薬物治療が、発作の予防に有効です。症状があらわれたときにはニトログリセリンの舌下で症状を速やかに改善させることができます。

不安定狭心症の場合には心筋梗塞に至る可能性が高い病態であるため、緊急PCIが行われる場合があります。

引き続き記事2では虚血性心疾患のひとつ「急性心筋梗塞」について渡邉哲先生にお話を伺います。

『心筋梗塞の原因や予防方法 ―生活習慣病やタバコは発症リスクとなる?』

 

狭心症 (渡邉哲先生)の連載記事

山形大学医学部附属病院第一内科の循環器内科にて講師/病院教授をつとめ、研究面では動脈硬化、心不全、急性心筋梗塞の疫学、心エコー、突然死などの研究に力を入れている。山形大学医学部附属病院では心臓に関するほぼすべての病気に関して診断、治療を行える設備を備えており、循環器内科の全てのスタッフが冠動脈インターベンション(PCI)を行い、それぞれの専門分野にとらわれない診療を展開している。こうした体制を持つことから、幅広い知識と技術をもつ循環器医の育成にも力を入れている。

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