狭心症の治療法は大きく薬物療法、カテーテル治療、バイパス手術の3種類に分けられます。それぞれの治療法によって特徴が異なり、患者さんの容体に応じて治療法を決定します。また、血管の狭窄を治した後も治療は続き、再発を防ぐために糖尿病や高血圧にならないよう体調管理に注意を払わなければなりません。狭心症の治療と治療後の注意点について、札幌心臓血管クリニック理事長の藤田勉先生にお話しいただきます。
薬物療法では抗血小板薬、硝酸薬、カルシウム拮抗薬、交感神経ベータ遮断薬などを用いて硬くなった血管の緊張を緩め、心臓の負担軽減と共に血液凝固を防ぎます。
薬物療法でも容体が改善しない不安定狭心症の場合は、直ちにカテーテル治療であるPCIまたは冠状動脈バイパス術の適応を検討します。
PCI(percutaneous coronary intervention:経皮的冠動脈形成術)とは、カテーテルを通して先端にバルーンを装着した針金を冠動脈狭窄部まで挿入し、バルーンを膨らませることで冠動脈を拡張させる心臓カテーテル治療です。(詳細は記事4『狭心症に対するカテーテル治療「PCI」とは』)
冠状動脈バイパス術は、薬物療法では効果がみられず、なおかつPCIが困難な場合に適応される治療法です。冠状動脈バイパス術を行うかどうかは冠動脈の障害の程度と狭窄部によって判断されます。3つある冠動脈がすべて狭窄・閉塞している場合や非保護左主幹部病変の場合は原則的に冠状動脈バイパス手術が適応とされていますが、冠状動脈バイパス手術のリスクが高い場合やPCIが安全に行える状態と判断される場合はPCIを適応することもあります。
冠状動脈バイパス術では体のほかの部分から静脈または動脈を採取してきて、狭窄部分の前後をつなぐ形でバイパス(通路)を作成します。これにより、血液は狭窄した冠動脈を通過せず心筋に流れることができます。通常、冠状動脈バイパス術に用いる血管は左右内胸動脈、右胃大網動脈、下腹壁動脈、橈骨動脈などです。
私は、一人ひとりの患者さんの希望に応じた治療法を提案することが第一だと考えています。たとえば、血管狭窄が認められ、虚血を起こしている方は基本的にPCI(経皮的冠動脈形成術)の適応になります。しかしステントを留置するので、治療後に抗血小板薬を服用し続けなければなりません。これが患者さんにとって大きな負担となるのであれば、PCI以外の方法で治療できないか検討します。
患者さんの容体によっては当院側で治療法を決定する場合もありますが、それぞれの治療法のメリットとデメリットをご説明したうえで、患者さんの希望を優先して治療方針を定めています。
狭心症は、狭窄した血管を治したから安心というわけではなく、一生を通してご自身の体の管理をしていただく必要があります。特に、糖尿病や高血圧、高脂血症、肥満には注意しなければなりません。
当院の場合は、カテーテル治療後であれば2週間から1か月ほど定期通院をしていただき、問題がなければ通院の間隔を延ばしていきます。その後は、半年から1年ペースでCT検査を受けていただきますが、定期通院は必要ありません。
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