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狭心症の原因や症状とは? 冠動脈が狭くなることで起きる病気

狭心症の原因や症状とは? 冠動脈が狭くなることで起きる病気
藤田 勉 先生

医療法人 札幌ハートセンター 理事長 兼 CMO

藤田 勉 先生

目次
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この記事の最終更新は2019年02月04日です。

狭心症は、体を動かしたときに息苦しくなったり、胸が痛くなったりすることで気づかれることの多い心臓の病気です。心筋梗塞と合わせて「虚血性心疾患」と呼ばれ、心臓に血液が十分流れなくなることで発症します。狭心症の原因は主に喫煙高血圧脂質異常症などの生活習慣病とされますが、遺伝的要因により発症することもあるといいます。狭心症の原因と症状について、札幌心臓血管クリニック理事長の藤田 勉先生にご解説いただきました。

狭心症とは、冠動脈(心臓に栄養を運ぶための血管)が何らかの原因で狭くなり、心臓に血液が十分に行き届かなくなったために起こる病気の総称(疾患群)です。狭心症は心筋梗塞(冠動脈が閉塞して血流が途絶えた状態)と合わせて「虚血性心疾患」と呼ばれます。

一方で、冠動脈や心臓の検査結果に異常がなくても狭心症を発症する場合があります。このタイプの狭心症は微小血管狭心症と呼ばれます。

冠動脈

狭心症と心筋梗塞は、どちらも冠動脈に異常が起こる病気であり、これらを総称して虚血性心疾患と呼びます(心筋梗塞については記事5『心筋梗塞に前兆はあるのか? 心筋梗塞の原因や症状について解説』を参照)。両者の違いは、心筋の状態にあります。

狭心症の場合は冠動脈が狭窄状態にあるもののまだ閉塞していないため、心筋が壊死を起こしていません。通常は安静にして一定時間経過すれば血流が回復し、元の状態に戻ります。

一方、心筋梗塞は冠動脈が詰まって血液が流れなくなる病気であり、心筋の一部が壊死を起こしています。

心筋梗塞は冠動脈が閉塞することで生じる病気です。しかし近年、心筋梗塞は冠動脈の狭窄度が低くても発症することがわかってきました。心筋梗塞を発症した患者さんの約7割は、冠動脈の狭窄度が半分以下であったという研究結果が発表されています*

狭窄度が低いまま心筋梗塞を発症した方は、狭心症の症状を経験しないまま、突然発作を起こしていることが予測されます。心筋梗塞は狭心症よりも治療が難しく、命にかかわるおそれがあるため、検査などで血管の狭窄がみつかった場合は放置せず病院を受診することが重要です。

*Erling Falk , et al. Circulation. 1995;92:657–671

日本循環器学会は、狭心症を含む虚血性心疾患の要因として年齢、高血圧喫煙、血清総コレステロール値の上昇を挙げています。このほか2011年の合同研究で、近年日本で急増する耐糖機能異常や肥満、脂質異常症、飲酒が危険因子になることが示されています(2018年11月現在)*

*耐糖能異常、肥満、飲酒(予防的)はハワイ日系人および米国人では有意な危険因子とされていますが、我が国では必ずしも共通の因子とはなっていません。

食生活が不規則であったり、脂質や糖質の極端に多い食事を続けたりしている場合にも狭心症のリスクが増大します。

近年、日本人は食生活の欧米化によって脂質摂取量が増加しています。これに伴い、脂質異常症や糖尿病などの生活習慣病にかかる方が増えています。また、これまでの研究で、総コレステロール値が220mg/dLの方は同値160~170mg/dL以下の方に比べて虚血性心疾患になるリスクが2~5倍上昇することが明らかにされています。

つまりコレステロールの過剰摂取で総コレステロール値が高くなると、狭心症や心筋梗塞の発症リスクも高まることになります。

このリスクについては、若い方ほど注意が必要です。たとえば現在30代の方は、必然的に60代の方よりも幼少の頃から脂質の多い食事を摂る機会が多いことになります。虚血性心疾患は60代以降の方に多い病気ですが、幼い頃から脂質や糖質量の多く含まれる食事を続けていた場合、慢性的にコレステロール値が高くなり、通常よりも早い年齢で狭心症を発症する可能性があります。

狭心症のリスクを考慮する場合は、日頃からバランスのよい食事を摂ることが大事です。

遺伝と狭心症の明確な因果関係は明らかにされていませんが、近年の研究で、特定の遺伝子が狭心症を含む虚血性心疾患の発症の要因になることが示されています。

また、狭心症のリスクを上昇させる高コレステロール血症や糖尿病も遺伝的関係が認められており、こうした遺伝子を持っている方も狭心症を起こすリスクが高いといえます。

女性は男性に比べて狭心症や心筋梗塞の発症が少なく、罹患率・死亡率が3分の1~5分の1程度であることが明らかにされています。これは内因性女性ホルモンに動脈硬化の促進を妨げるはたらきがあるためと考えられています。このため、閉経後に女性の虚血性心疾患は増加します。

川崎病や大動脈弁膜症など、ほかの病気が原因になり発症することもあります。

狭心症は病型や発作の起こる条件によって複数の種類に分類されます。

動脈硬化により血管狭窄が生じることで起こるタイプの狭心症です。

人が何らかの運動を行って心臓のはたらきが増えると、心臓に多くの酸素を必要とします。しかし血管狭窄がある場合、血流が停滞して十分な量の酸素が心筋に運ばれません。このように運動量の増加に伴い虚血が起こる狭心症を、労作性狭心症と呼びます。また、虚血が起こる運動の強さが安定している場合は安定狭心症ともいいます。

不安定狭心症では運動時に加えて、安静時にも虚血発作を起こします。

動脈硬化で生じたプラーク(マクロファージやコレステロールからなる粥腫(じゃくしゅ)が隆起して固まったもの)が破綻して血栓を作ると、血管が狭窄状態に陥るため、安静にしていても十分な血液量を心臓に届けることができません。このため、安静時・運動時にかかわらず、頻繁に発作を起こすようになります。

不安定狭心症は心筋梗塞と共に「急性冠症候群」とも呼ばれます。両者はいずれも冠動脈のプラーク破綻に伴い血栓が形成される病気で、血管が完全に閉塞して心筋壊死に至った状態を心筋梗塞、閉塞しかかっている状態を不安定狭心症と呼びます。したがって不安定狭心症を放置すると心筋梗塞に進行する危険性が高く、突然大きな発作を起こす可能性も考えられるため注意が必要です。

冠動脈が一時的にけいれんを起こすことで生じるタイプの狭心症で、動脈硬化が軽度な状態で起こります。血管内腔はそれほど狭くなっていませんが、けいれんした冠動脈が縮まって血流がうまく流れていかないために狭心症の症状が現れます。

なお、冠動脈のけいれんは動脈硬化の進行過程で起こる現象だといわれています。

冠動脈の狭窄・けいれんのいずれも認められないにもかかわらず虚血発作を起こす場合には微小血管狭心症が疑われます。微小血管狭心症の定義は、心臓疾患を持たない方の冠動脈に極めて小さな異常が生じ、一時的に心筋虚血が起こる状態とされます。微小血管狭心症は、直径が100μm以下という極めて小さな狭窄・拡張不全を起こしており、血管造影検査でも発見が困難です。まれなタイプの狭心症で、安静時にも起こります。また、更年期前後の女性に多くみられます。

胸痛(胸の痛み)が特徴的な症状です。狭心症における胸痛は圧迫感が強く、「胸が押しつぶされるような痛み」としばしば表現されます。中には関連痛といって、歯や腹部、左肩、首、みぞおち、下あご、後頭部などに痛みを感じる方や、手のしびれを感じる方もいます。一方で、無症状のケースもあります(無症候性心筋虚血)。

労作性狭心症の場合は、階段を上ったときや急いで走ったとき、夜中にベッドから起きて洗面所に立ったときなど、急な運動をした際に痛みを自覚しやすいです。

心筋梗塞の場合は、狭心症よりも激しい痛みが突然現れます。胸痛の持続時間も長く、15分以上にわたり激痛が続きます。胸痛と合わせてめまいや脱力感、冷や汗、動悸、息切れ、不安感を生じることもあります。緊急治療が必要な状態ですので、すぐに救急車を呼び病院を受診してください。

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