編集部記事

血液検査の項目にある“CK(CPK)”で分かること、追加検査の内容

血液検査の項目にある“CK(CPK)”で分かること、追加検査の内容
藤田 勉 先生

医療法人 札幌ハートセンター 理事長 兼 CMO

藤田 勉 先生

目次
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健康診断や病院で行う血液検査のうち“CK(CPK)”に異常値があった場合、どのようなことを考えたらよいのでしょうか。

ここでは“CK(CPK)”が何を表しているのか、どのようなときに上昇するのか、異常値の場合はどのような検査が追加されるのかについてご説明します。

“CK(CPK)”とは筋肉細胞にもっとも多く含まれている酵素の一種です。“CK(CPK)”はさらに分子構造などが異なる“CK-BB”、“CK-MB”、“CK-MM”とよばれる3つのタイプに分類されます。それぞれ含まれている臓器が異なり、CK-BBは脳や平滑筋、CK-MBは心臓、CK-MMは骨格筋に多く存在しています。

“CK(CPK)”は組織がダメージを受けると血液中に漏れ出る性質があります。このため、“CK(CPK)”が上昇している場合には、どのタイプのCKが上昇しているかを調べることで、どの臓器にダメージが生じているかを推測することができるのです。

血液中に含まれる“CK(CPK)”のほとんどはCK-MM(骨格筋に含まれる酵素)です。このため、“CK(CPK)”が大きく上昇している場合にもっとも考えられるのは、過度な運動などによる筋肉のダメージや筋肉に損傷が加わるような病気です。

しかし、前にも述べたように“CK(CPK)”は骨格筋以外にも存在するため、どのタイプのものが多く増加しているかを調べることによってダメージを受けている部位を特定することができ、病気を推測するのに役立ちます。タイプ別に考えられる病気は以下の通りです。

外傷脳梗塞急性脳症などの脳の病気が考えられます。

心筋梗塞心筋炎といった心臓の病気で上昇する傾向があります。CK-MBは心筋梗塞を疑う際の指標となります。

横紋筋融解症多発性筋炎進行性筋ジストロフィー症や筋委縮症、けいれん直後などに増加することが多いとされています。

特に近年では、薬によって生じる横紋筋融解症による“CK(CPK)”の上昇が報告されています。ほかに、甲状腺機能低下症も筋細胞に影響を与えるため、CK-MMが上昇する傾向にあります。

逆に“CK(CPK)”が低下する病気には、甲状腺機能亢進症などが考えられます。また、長い間横になっている状態(長期臥床(がしょう))が続くと筋肉量が減り、“CK(CPK)”が低下することがあります。

血液中に含まれる“CK(CPK)”のほとんどはCK-MMです。CK-MMは骨格筋に含まれているため、過度な運動、寒さによる震え、緊張によるこわばりなど、日常生活の中で起こりうる現象によって骨格筋にダメージが加わると上昇することがあります。

そのため、“CK(CPK)”が高値であるからといって、必ずしも背景に病気が隠れているわけではありません。

しかし、数値が高いうえにほかの症状があるときや、ほかの検査値にも問題があるときなどは何らかの病気である可能性が懸念される場合もあります。医師から再検査や追加検査の指示がある場合は必ず従うようにしましょう。

“CK(CPK)”が高くなっていたとしても特にこれといった症状などがない場合には、まずどのタイプが上昇しているのかを調べます。そして、それぞれの臓器に適した検査が行われます。

脳の病気を考えて頭部CTやMRIを行います。場合によっては、脳や脊髄の中を循環している脳脊髄液を採取するため、腰の辺りの脊椎に針を刺す検査を行うこともあります。

現実的には、CKが異常値であった場合、まずはCK-MBの測定が行われます。その値が総CKの10%を超えるときは急性心筋梗塞心筋炎などの病気が疑われ、より詳しい検査が必要になることもあります。心臓の病気の可能性を考えて、まずは体への負担が少ない心電図や心臓超音波検査を行われます。

狭心症や心筋梗塞など、心臓に栄養を供給する血管である冠動脈の病気が考えられる場合は、心電図や心臓エコー検査を行い、必要であれば追加で心臓CT検査や心臓カテーテル検査を行います。心筋炎などが疑われるときは、心臓MRIやSPECT検査など心筋の機能や血流を評価するための検査が追加して行われます。

まず、横紋筋融解症の可能性を考え、この病気を引き起こすような薬の使用や脱水、打撲、けがなどがないか確認します。

特殊な状況として筋肉の病気が疑われるときは、筋電図検査や筋肉の組織を一部採取する筋生検と呼ばれる検査などが行われます。筋ジストロフィーなど遺伝子の異常が関与していると考えられる場合は、必要に応じて遺伝子検査が行われることもあります。

また、ほかの身体的症状などから甲状腺機能低下症が疑われる場合は、甲状腺ホルモン値などを調べる血液検査や甲状腺の状態を確認するための超音波検査などを行います。

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