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たはつせいきんえん

多発性筋炎

最終更新日
2021年06月18日
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2021/06/18
更新しました
2018/08/24
掲載しました。

概要

多発性筋炎とは、普段体を動かすのに使う骨格筋(こっかくきん)に炎症が起こる膠原病(こうげんびょう)の1つです。

膠原病は、自己の免疫の異常によって全身のあらゆる臓器が障害される病気の総称で、多発性筋炎以外では皮膚筋炎関節リウマチ全身性エリテマトーデス全身性強皮症などが含まれます。多発性筋炎は主に筋肉に炎症が生じる病気と考えられていますが、関節、肺、心臓、消化管などの筋肉以外の臓器が障害されることもあります。

多発性筋炎と並べて挙げられる病気に皮膚筋炎がありますが、これら2つの病気は皮膚の症状によって区別され、特徴的な皮膚症状を伴うものが皮膚筋炎、伴わないものが多発性筋炎です。

多発性筋炎と皮膚筋炎の患者数はあわせて2万人以上と推定され、男女比は1:3と女性に多く、全年齢でみられますが中年以降での発症が多い傾向にあります。

原因

多発性筋炎の原因は、本来体を守るはずの自己の免疫が自らの臓器を攻撃してしまうことによるものです。ただし、なぜ自己の免疫に異常が生じるのかは、まだ明らかになっていません。生まれ持った体質に加えて、微生物感染、喫煙、薬物、栄養補助食品など生活環境に関するさまざまな要因が影響して発症するのではないかと考えられています。

なお、まれですが家族内での発症例も報告されています。多発性筋炎は遺伝する病気ではありませんが、免疫の異常を起こしやすいという体質は遺伝すると考えられています。

症状

多発性筋炎の主な症状は、ものを持ち上げる、起き上がる,階段を昇るなどの日常生活動作が困難になり、筋肉に力が入りにくい症状がみられます。そのほかにも関節症状(関節痛)、呼吸器症状(咳・息切れ)、心臓の症状(動悸・脈の乱れ)、全身症状(全身の倦怠感(けんたいかん)・発熱・体重減少)などを伴うことがあります。どのような症状が現れるかは患者によって異なります。

筋肉の症状

筋肉が障害されることで、疲れやすい、筋力が低下して力が入りにくい、筋肉が痛いなどの症状が現れます。症状の発現は緩やかであることが多く、特に太ももや二の腕、首といった体幹に近い筋肉が障害されやすいといわれています。

初期症状としては、太ももの筋肉が障害された場合には座った状態から立ち上がりにくい、階段が昇りにくい、二の腕の場合は腕が挙げづらい、持ったものがいつもよりも重く感じる、首の場合は頭が枕から持ち上げにくいなどがあります。

人によっては喉の筋肉が障害されることもあり、その場合には食べ物を飲み込みにくくなったり、喋りにくくなったりするようになります。

関節の症状

手足の関節の痛みや腫れが見られることもあります。

呼吸器、心臓の症状

多発性筋炎では間質性肺炎の合併がよく見られます。間質性肺炎は普通の肺炎とは違い、細菌やウイルスによるものではなく、病気自体の免疫反応によって起こります。症状としては、動作時の息切れ、痰が少ない乾いた咳、息が吸いにくいといった呼吸困難が挙げられます。時に、急速に悪化して命に関わることもあるため早急な治療が必要です。また、心臓の筋肉が障害された場合には不整脈心不全の症状として、脈の乱れ、動悸、呼吸困難が現れることがあります。

そのほかの症状

発熱、倦怠感や疲労感、食欲不振、体重減少などの全身症状や、レイノー症状(寒冷時に手足の指先が真っ白や紫色に変色する症状)が見られることもあります。

検査・診断

多発性筋炎では身体診察に加えて、血液検査や筋電図検査、MRI検査、筋生検など、さまざまな検査を組み合わせて総合的に診断します。

血液検査においては、筋肉が障害されることで筋原性酵素であるアルドラーゼ(ALD)やクレアチンキナーゼ(CK)が上昇します。また、抗Jo-1抗体(抗アミノアシルtRNA合成酵素抗体)などの自己抗体を認めることもあります。

筋電図検査は筋力低下の原因が筋肉によるものであることを調べるために、MRI検査は筋肉の炎症部位や程度を見るために行います。筋生検は、筋肉の一部を採取して顕微鏡で見る検査で、この検査によってほかの筋肉の病気を除外したうえで診断が確定します。

また、多発性筋炎では、筋肉だけでなく肺や心臓などの臓器が障害されることもあるため、必要に応じて胸部X線検査、心電図、胸部CT検査、心臓超音波検査など追加の検査を行う場合もあります。

多発性筋炎の患者ではがんを併発していることもあり、年齢や性別に応じてがんのスクリーニング検査を行うことがあります。

治療

多発性筋炎の治療の中心は薬物療法で、主に経口ステロイドを用いて治療を行います。一般的には中〜高用量ステロイド療法を2~4週間ほど行い、病気の改善に合わせて徐々にステロイド量を減らしていきます。

ステロイドの使用量や期間を低減するため、免疫抑制薬(メトトレキサート、アザチオプリンなど)を併用します。

また、筋力低下のさらなる改善を目的に免疫グロブリン大量静注療法を行う場合や、進行する間質性肺炎に対してはステロイド薬や免疫抑制薬(タクロリムス、シクロホスファミドなど)を用いて治療を行う場合もあります。

多発性筋炎は筋力低下をきたす病気であるため、薬物療法とともに早期からのリハビリテーションが重要です。リハビリの開始時期やその運動強度は患者によって異なりますが、リハビリテーションにより筋肉の炎症を抑える効果や筋肉内のエネルギーを産生するミトコンドリアの機能が改善することが分かってきたため、最近では早期より病状に応じたリハビリテーションを導入していくことが重要であると考えられています。

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