おうもんきんゆうかいしょう

横紋筋融解症

最終更新日:
2024年07月17日
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2024/07/17
更新しました
2021/01/28
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概要

横紋筋融解症とは、薬やけが、熱中症などが原因となり筋肉が壊れる病気で、発症すると筋肉の痛みやこわばりを感じます。また筋肉が破壊されると、ミオグロビンなど筋肉中のタンパク質が血液中に大量に放出されるため、重症の場合は腎臓の機能が低下して命に関わる可能性もあります。

横紋筋融解症の原因となる薬には、コレステロール値が高いときに飲む薬をはじめ、さまざまな種類があるといわれます。薬を服用している際に気になる症状を感じた場合には、早めに医療機関を受診することが重要です。

原因

横紋筋融解症とは、筋肉(特に骨格筋という、自分の意志で動かすことができる筋肉)が壊死(えし)することで発症します。筋肉が壊れる代表的な原因として、けがや熱中症、薬、過度の運動などが挙げられます。

けがや長時間のてんかん発作などは筋肉に強い負荷をかけ、筋肉の細胞が物理的に破壊されます。たとえば、けがをすると、筋肉の一部の圧力が高くなるコンパートメント症候群になる可能性があり、重症化すると筋肉の細胞が死滅して横紋筋融解症を引き起こすことがあります。

また、熱中症になると体の中心部の温度が40℃を超えて筋肉の細胞が壊れるため、横紋筋融解症を発症することがあります。とくに、一人暮らしの高齢者は発熱や脱水、熱中症、転倒などで動けなくなり、横紋筋融解症を発症するケースもあるため注意が必要です。

薬では、悪玉コレステロールや中性脂肪が高いときに処方される、HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)やフィブラート系薬剤に横紋筋融解症を引き起こす可能性があることが知られています。そのほか、抗菌薬(ニューキノロン系)、抗精神病薬・抗パーキンソン病薬(ハロペリドールなど)、抗てんかん薬(バルプロ酸ナトリウムなど)、麻酔薬(スキサメトニウム塩化物水和物などの筋弛緩薬や揮発性の吸入薬)など数多くの薬が横紋筋融解症の原因となります。

それ以外の原因としては、感染症(EBウイルスやインフルエンザウイルス、肺炎球菌や黄色ブドウ球菌、COVID-19)、遺伝などが原因として挙げられます。

症状

横紋筋融解症は手足に生じることが多く、筋肉が破壊されることから筋肉に関連した症状が生じます。具体的な症状としては、手足の筋肉痛やしびれ、こわばり、筋力の低下などです。

また、筋肉内の物質が体外に放出されることに関連した症状も現れます。たとえば、赤い色素を持つミオグロビンが血液中に大量に放出されると、尿にミオグロビンが排泄され、コーラ色と表現されるような赤く褐色の尿になります。腎臓に傷害が加わって負担がかかるため、最終的には腎不全へと症状が進行し、血液が酸性に傾く代謝性アシドーシス*高カリウム血症、命に関わる不整脈が現れることが懸念されます。なお、横紋筋融解症患者の約10~65%に急性腎障害(急性腎不全)がみられたという報告もあります。

*血液中の酸が過剰に増えている状態(pH7.35以下。正常値は7.35~7.45)で、吐き気やだるさ、嘔吐、疲労、意識障害などの症状が現れる。

検査・診断

横紋筋融解症が疑われる場合は、血液検査を行って筋肉内の物質が血液に放出されていることを確認します。

筋肉が破壊されていることの指標として、CPKやAST、LDH、アルドラーゼ、ミオグロビンなどの物質を測定します。また横紋筋融解症ではカリウム、リン、カルシウム、尿酸、乳酸といった物質の血液中での上昇もみられるため、これらの値も確認します。なお、ミオグロビンは血液検査だけでなく尿検査も併用して確認します。

そのほか、内臓に障害が出ていないかも調べます。特に重要なのは腎臓と心臓の評価で、腎臓は血液検査のクレアチニンの値や尿検査、心臓は心電図の結果を用いて確認します。また、腎不全が進行すると代謝性アシドーシスを引き起こすこともあるため、血液ガス分析*で血液のpHを測定します。

*血液ガス分析:採取した血液の酸素や二酸化炭素、水素イオン濃度(pH)などの量を測定する検査。

治療

横紋筋融解症の治療では、まず原因を取り除くことが大切です。特に薬の服用中に筋肉痛や筋肉のだるさなどの症状がみられた場合は、早期に医療機関を受診しましょう。横紋筋融解症の原因となっている薬があれば、医師の判断のもと服用を中止します。自己判断での中止は避けてください。

また、併せて症状を抑える治療も行います。まずは腎臓の機能を保護するために、必要に応じて点滴を活用しながら水分を摂取します。

横紋筋融解症が進行すると、腎不全を引き起こすこともあります。腎不全になるとカリウムなどの電解質(ミネラル)が異常に高くなるほか、代謝性アシドーシスが生じたり、肺に水がたまったりするため適切に対処しなければ命に関わる可能性があります。そのため重症の場合は血液透析が選択されることもあります。

さらに電解質異常に伴い、不整脈が生じることがあります。特に高カリウム血症は危険性が高いため、カルシウムの注射や利尿薬、ブドウ糖とインスリンの注射、カリウムを吸着するイオン交換樹脂などの治療薬を使用します。

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