びしょうけっかんきょうしんしょう

微小血管狭心症

同義語
微小血管性狭心症
最終更新日:
2022年08月01日
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2022/08/01
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概要

微小血管狭心症とは、心筋(心臓の筋肉)の中を走行する直径が500μm以下の非常に細い血管が詰まったり、過度に収縮したりすることによって血流が低下し、心筋にダメージを与える病気です。一般的な狭心症は、心臓に血流を送る“冠動脈”と呼ばれる3本の血管のどこかに狭窄(きょうさく)や収縮が生じることによって引き起こされます。一方、微小血管狭心症は、検査をしても冠動脈に大きな異常はありません。そのため、診断が遅れることも多々あります。

しかし、微小血管狭心症も一般的な狭心症のように数分~十数分の胸痛や息切れなどを引き起こす“胸痛発作”が現れます。適切な治療を行わないと心臓の機能が低下していくため注意が必要です。

原因

現在のところ、微小血管狭心症の明確な発症メカニズムは解明されていません(2022年8月)。更年期の女性に多く発症しやすいことから、女性ホルモンの分泌の急激な減少が微小血管の収縮を引き起こしているとの説があります。しかし、微小血管狭心症は男性でも発症する病気であるため、微小血管の機能が低下して十分な拡張が起こらなくなること、精神的なストレスなども発症の要因として挙げられています。

症状

微小血管狭心症を発症すると、運動時や明け方などに胸の痛みや息苦しさなどが数分~十数分続く“胸痛発作”がみられるようになります。しかし、一般的な狭心症とは異なり、微小血管狭心症では強い胸痛は現れにくく、みぞおち周囲の鈍い痛みが起こりやすいとされています。また、痛みは左肩、首、顎、歯、背中などに放散するのも特徴であり、そのほかにも動悸や吐き気、めまいなどの症状を伴うこともあります。

なお、これらの症状は心臓に必要な血流が増加する運動時や血管収縮が起こりやすい明け方などの安静時だけでなく、喫煙、精神的なストレス、寒さなどがきっかけとなって生じることがあります。

検査・診断

微小血管狭心症は、一般的な狭心症と異なり検査をしてもはっきりした異常がみられないこともあります。そのため、診断を下すにはさまざまな検査を行って胸痛発作などの症状を引き起こすほかの病気を除外していく必要があります。

具体的には次のような検査が行われます。

心電図検査

心筋の電気的な動きを体表面に装着した電極で感知して記録する検査です。症状がないときは心電図の異常はみられませんが、胸痛発作などが生じたときは心筋に血流が足りない際にみられる心電図の乱れが生じます。

また、一日をとおして発作の有無を調べるために24時間心電図を付けて波形を記録する“ホルター心電図検査”を行うこともあります。

冠動脈造影検査

足の付け根や手首などの太い血管からカテーテル(医療用の細い管)を挿入し、冠動脈まで至らせて造影剤を注入し、冠動脈の状態を描出する検査です。微小血管狭心症では冠動脈に病変はみられません。

また、同時に血管の収縮を促すアセチルコリンを注射すると、冠動脈に変化はないものの明らかに心臓への血流が不足した状態となることを心電図検査などで確認するのが一般的です。

また、カテーテル中に冠血流を測定したり、特殊なカテーテルを使用したりすれば、冠動脈の血管抵抗の上昇なども調べることが可能になってきています。微小血管の血管抵抗が高ければ、診断がつくこともあります。

心臓超音波検査

心臓にめがけて超音波を照射し、心臓の大きさ、動き、ポンプ機能などを評価することができる検査です。微小血管狭心症は心臓の機能が徐々に低下していくことがあるため、心臓の状態を把握するのに適した検査となります。

血液検査

血液検査のみで微小血管狭心症の診断を下すことはできませんが、心臓の機能や心筋のダメージの有無・程度を評価するために血液検査が行われます。

治療

微小血管狭心症にはさまざまな原因があり、明確な治療方法は確立していません。

一般的な狭心症のように血管を拡げる作用のある硝酸薬は効果が乏しいとされており、β遮断薬やカルシウム拮抗薬で発作を抑えることができるとされています。

また、これらの薬物療法に十分な効果がみられない場合は、微小血管の内側の状態を改善するためにスタチン系製剤やACE阻害薬などが用いられることがあります。

予防

微小血管狭心症は発症原因が明確に分かっていない部分も多いため、予防方法も確立していないのが現状です。

しかし、喫煙やストレスなど胸痛発作の誘因をできるだけ少なくするよう生活改善を行うことで症状を抑えることが可能です。そのためには、禁煙治療や生活リズムを整えるなどの対策が必要です。

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