インタビュー

狭心症の検査と診断-検査の基本は心電図と血液検査

狭心症の検査と診断-検査の基本は心電図と血液検査
山沖 和秀 先生

医療法人財団順和会 山王病院 副院長、国際医療福祉大学臨床医学センター 教授

山沖 和秀 先生

この記事の最終更新は2016年05月28日です。

前の記事「狭心症の症状-狭心症を疑う胸の痛みとは」で、狭心症の症状について説明しました。胸痛や胸の圧迫感など、狭心症を疑う場合には、症状の緊急度や患者さんの状態にあわせて多数ある検査から選択して行います。本記事では、狭心症の検査について山王病院 副院長 山沖和秀先生にお話しいただきました。

いつ頃から、どのような症状が起こっているのかなどを患者さんから聞き取ります。胸痛の起こる時間帯や、きっかけや、痛みの様子、持続時間などを詳しく聞くことで、狭心症を疑うべきかを判断することができます。

心臓の動きをつかさどっているのは電気です。心臓は筋肉でできており、その筋肉に微弱な電気が流れて興奮し、拍動が起こります。こうした心臓の電気的な活動をみるのが心電図です。12誘導心電図やマスター心電図検査は簡便であるため、当日に実施することができますが、トレッドミル検査やホルター心電図は、施設によっては予約が必要で、後日実施する場合があります。

もっとも一般的に用いられる心電図検査です。ベッドに横たわった安静な状態で合計10個の電極をからだに取り付けて測定します。

狭心症では、発作(胸痛や圧迫感)が起きていない時の心電図は正常であることが少なくありません。狭心症が疑われる場合は、発作時の状態を調べるために、運動をしている状態で心電図を測定します。

  1. マスター心電図検査:階段を上り下りし、その前後の心電図を測定する心電図検査です。
  2. トレッドミル負荷心電図検査:腕に血圧計、胸の表面に心電図を付けた状態でベルトコンベアーの上を歩きながら心電図と血圧を測定する検査です。
  3. エルゴメーター負荷心電図検査:自転車型の装置を用います。胸に心電図の電極をつけ、ペダルをこいで運動している最中の心電図を測定する検査です。

12誘導心電図では、心筋梗塞の既往歴がある方、WPW症候群(電気刺激を伝える正常な伝導路以外に、心房と心室の間に余分な伝導路が先天的に存在する病気)の方は、心電図の異常を見逃す危険性があります。また明け方にしか発作があらわれない方なども、病院を受診しているときには異常がないため、見逃す恐れがあります。これらを防ぐため、小型の電極を胸に取り付けて日常生活中の長時間の心電図を調べる検査です。また、足が悪くマスター心電図検査などを行えない方にも実施します。

狭心症は血液検査では異常はみられませんが、心筋梗塞症では心臓の細胞が壊死し、細胞から酵素が血液中に流れるため、血液検査で異常を発見することができます。その酵素の代表的なものが「クレアチンキナーゼ」(CK)(クレアチンフォスフォキナーゼ:CPKとも呼ばれる)やクレアチンキナーゼ心筋型アイソザイム(CK-MB)や、ASTGOT)、LDHなどです。そのほか、トロポニンTやトロポニンI(心筋の構成成分)、ミオグロビン(筋組織に存在するたんぱく質)、H-FABP(心臓型脂肪酸結合蛋白)なども血液検査で調べることがあります。

心臓に超音波をあてて、返ってくるエコーを機械で受け取り、心臓の様子を映し出す検査です。僧帽弁閉鎖不全(血液が逆流してしまう状態)や大動脈弁膜症(弁の動きが不十分になる状態)や、心筋症(心臓の筋肉自体病気)などでも狭心症と同様の症状があらわれることがあります。心エコーではこれらの病気と狭心症を見分けるために有用です。

心臓に集まる薬剤を注射し、その薬剤から放出される放射線を撮影します。心臓への薬剤の集まり度合いから、心臓に血液がきちんと流れているか、血液が滞っている部位がないかをチェックする検査です。心電図に比べ費用が高く、検査には3-4時間程度かかります。

近年行う機会が増えている検査です。冠動脈に造影剤を注射し、X線で体内の画像を撮影します。血管の性状(血管の狭窄)や心臓の状態を調べることができます。

カテーテルと呼ばれる細い管(太さ1.3~2mmぐらいの柔らかい管)を手足の動脈から心臓の血管内へ送り込みます。管を通じて造影剤を血管内に注入し、冠動脈を撮影します。

造影剤にアレルギーがある方、腎機能が悪い方はCT検査が行えない場合がありますので、そのような方に行われます。冠動脈MRA検査は、MRIを用いて冠動脈の情報を集めて表示する検査です。

上記の検査を一人の方が全て行うことはほとんどありません。緊急度や症状、患者さんの状態に合わせて検査を選びます。たとえば、緊急度が高い場合は予約が必要な検査を待たずに、緊急入院することもあります。腎臓が悪くCT検査が行えない方は代わりに負荷心筋シンチグラムや冠動脈MRA検査を行います。また心電図においても、緊急度や患者さんの状態によって心電図の種類を選択して実施します。

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