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狭心症の治療法を詳しく解説〜基本となる生活管理と薬物療法の内容とは〜

狭心症の治療法を詳しく解説〜基本となる生活管理と薬物療法の内容とは〜
我妻 賢司 先生

筑波記念病院 つくばハートセンター センター長

我妻 賢司 先生

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狭心症とは心臓の表面を走る冠動脈が何らかの原因によって狭くなり血液の流れが滞る病気のことを指し、症状が出るタイミングと原因によって“労作性狭心症”と“冠攣縮性狭心症(安静時狭心症、異型狭心症とも呼ばれる)”の2つに分類されます。狭心症の治療では医師が患者の病状や状態などによって適切な治療を選択しますが、納得した治療を受けるためには患者自身も狭心症の治療について十分に理解しておくことが重要です。

本記事では狭心症で行われる治療について詳しく解説します。

狭心症の治療でまず行われるのは生活管理と薬物療法です。これらの治療を行ったうえで、冠動脈造影検査により狭くなった冠動脈が確認されれば、手術が検討されることもあります。

狭心症の生活管理では、狭心症発作の誘因となる喫煙、アルコール、ストレスなどを避けるように指導が行われます。

喫煙や過度のアルコールの摂取は動脈硬化の原因にもなり、動脈硬化は冠動脈を狭め血液の流れを悪くさせるため、狭心症の危険因子となります。さらに、ストレスも冠動脈の過度な収縮の原因となるため、注意が必要です。

特に喫煙は虚血性心疾患(狭心症と心筋梗塞の総称)において大きなリスク因子だと考えられています。事実、喫煙本数に比例して異型狭心症の発現率が高まり、また、1日の喫煙本数が20本以上の場合、心筋梗塞の発症が3倍以上になるというデータもあります。そのため、禁煙は虚血性心疾患の罹患率のみならず、死亡率も低下させるといえるでしょう。

また、受動喫煙も同様に注意する必要があるため、本人だけでなく家族や周囲の人の心がけも重要です。

薬物療法では発作を予防する薬と、発作に伴って前胸部に生じる痛みを抑える薬の2種類があります。

発作を予防する薬は労作性狭心症冠攣縮性狭心症で異なり、労作性狭心症の場合は冠動脈を拡張させる硝酸薬、血管を詰まらせないようにする抗血小板薬、心筋の酸素消費を抑えるβ遮断薬などが組み合わせて処方されます。一方、冠攣縮性狭心症の場合は、冠攣縮(冠動脈の異常な収縮)を抑える薬であるカルシウム拮抗薬などが処方されます。

また、発作が起きたときのために、ニトログリセリンなどの胸部に生じる痛みを和らげる硝酸薬も処方されます。これらの薬は舌下錠やスプレータイプのもので、予防のための薬に比べて即効性があります。そのため、錠剤やスプレーを舌の下に含むと、数分程度で痛みがなくなることが一般的です。

ただし、これらのような薬を使っても狭心症の発作が頻繁に起こる場合は、不安定狭心症が疑われ心筋梗塞を発病する可能性があることから、早めに病院を受診すべきだといえます。

前述の治療を行ったうえで冠動脈造影検査で血管の狭窄が確認された場合、カテーテル治療が検討されることがあります。

カテーテル治療は正式名称を経皮的冠動脈インターベンション(PCI)といいます。これは局所麻酔をして手首や足の付け根の動脈からカテーテル(細いチューブ)を挿入し、冠動脈の狭くなった部分を広げる治療法です。カテーテルの先端にはバルーンと呼ばれる風船が取り付けてあるため、これを膨らませることで冠動脈を広げます。

なお、現在では網目状の金属の筒を血管に挿入して内側から補強する方法(冠動脈内ステント留置術)が一般的であり、バルーンによる拡張の後にステント留置が行われます。小さなドリルを回転させて動脈が硬くなった部分を削り取る方法もカルシウムが沈着してバルーンが広がらないような病変には有効です。

カテーテル治療が難しい場所や、狭くなっている箇所が複数ある場合には、冠動脈バイパス手術が行われることがあります。これは、冠動脈の狭くなった部分よりも先に穴をあけ、患者自身の別の場所の血管を縫い付ける方法で、足の静脈や胸、腕、胃の動脈を用いるのが一般的です。この手術によって血液は新たに縫い付けた血管を通って心筋にながれるようになります。

冒頭で述べたとおり、狭心症の治療法の基本は早期診断とそれに基づく生活管理と薬物療法です。そのため、医師の指示に従って日頃から禁煙や節酒、ストレス解消を心がけるようにしましょう。また、冠動脈造影検査で血管の狭窄が確認された場合は手術が検討されます。手術は主にカテーテル治療とバイパス手術の2種類があり、病状や患者の状態などによって医師の判断の下適切な治療が選択されます。しかし、患者自身も治療の内容や方針を十分に理解しておくことは非常に重要です。納得した治療を受けるためにも、治療に関して疑問や不安がある場合には、躊躇(ちゅうちょ)せずに医師に相談するようにしましょう。

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