インタビュー

心筋梗塞を取り巻く現状と治療後のポイント

心筋梗塞を取り巻く現状と治療後のポイント
上野 高史 先生

久留米大学病院 循環器病センター

上野 高史 先生

この記事の最終更新は2016年06月07日です。

心筋梗塞の治療は進歩し病院で適切な治療を受けることで助かる病気となりました。しかし、治療後には生活習慣などの改善が必要になります。久留米大学病院循環器センター教授の上野高史先生に心筋梗塞の現状と治療後のポイントについてお話をうかがいました。

心筋梗塞の治療成績は非常によくなりました。2~3年前に全国の専門施設から2000例ほどの心筋梗塞のデータを集めて報告しましたが、死亡率に関してはおよそ1%というものでした。再灌流療法がなかった時代の死亡率は10%近くでしたので、そこから考えると心筋梗塞は治療をすれば亡くならない病気になりました。ただし、いまお話したのは病院に運ばれてきた患者さんに限ってのことです。当然、病院に運ばれずに亡くなられてしまう方もいるわけです。

心筋梗塞に関していえば、「何かおかしい」と感じたら、すぐに救急車を呼んで病院に行くことです。決して自分で運転などはしないようにしてください。よくテレビや新聞で、車の運転中に意識をなくして事故を起こしたというニュースがありますが、心筋梗塞でも十分にあり得ることです。

多くの患者さんが気にされているのが、「救急車を呼ぶのが恥ずかしい」と思っていることです。患者さんにもお伝えしているのですが、救急車を呼ぶことは決して恥ずかしいことではないので、異変があるときには迷わずに救急車を呼んでください。心筋梗塞でなければラッキーと思えばいいわけで、その辺のことをあまり気にしないようにしてほしいですね。

心筋梗塞は、治療をしたらそれで終わりというわけではありません。ある意味、治療後が本当のスタートといえるのかも知れません。狭心症や心筋梗塞は、動脈硬化が原因で起こります。動脈硬化になるような生活スタイルや食生活を治療後も続けていると、再発する可能性があるわけです。

そこで多くの施設で取り入れられているのが「心臓リハビリテーション」です。最近特に注目されるようになりましたが、久留米大学病院では1958年頃から行っているものです。当時の教授がいち早く心臓リハビリテーションの重要性に着目し、全国に先駆け日本ではじめて心臓リハビリテーションを導入したのです。そのため、私たちにとって心臓リハビリテーションは特別なものではなく、いたって一般的な治療として行っています。

心臓リハビリテーションというと、心臓のリハビリというイメージをもたれる方も多いかと思いますが、決して心臓だけを対象としているわけではありません。例えば骨格筋のリハビリを行うことで、酸素の使い方が上手くなり、その結果として心臓への負担が減少されるのです。心臓のリハビリではありますが、全身の機能を改善することで、二次的に心臓に対しても効果が現れるということなのです。もちろん、心臓リハビリテーションだけではなく、運動や食事を含む生活習慣の改善は絶対に必要です。そのためには患者さん本人の自覚も必要になってくるわけです。

私たちがいま一番危惧していることは、現代の子どもたちのことです。日本の子どもは世界で一番コレステロール値が高いといわれています。日本は心筋梗塞の死亡率が非常に低いといわれていますが、いまの子どもたちが中高年になったとき、同じ状況を維持できているのか、疑問が残るところです。早いうちからの生活習慣や食生活の改善が必要になるでしょう。

 

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    東京都立多摩総合医療センター 副院長(前循環器内科部長)

    たなか ひろゆき

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    順天堂大学 心臓血管外科 主任教授、虎の門病院 循環器センター外科 特任部長

    たばた みのる
    田端先生の医療記事

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    NTT東日本関東病院 循環器内科 部長

    あんどう じろう

    内科、消化器内科、循環器内科、腫瘍内科、血液内科、糖尿病・内分泌内科、高血圧・腎臓内科、感染症内科、精神科、呼吸器内科、緩和ケア内科、脳神経内科、脳血管内科、小児科、外科、乳腺外科、形成外科、脳神経外科、心臓血管外科、整形外科、呼吸器外科、歯科口腔外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、頭頸部外科、リウマチ膠原病科、放射線科、リハビリテーション科、救急科、麻酔科(ペインクリニック内科)、病理診断科

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