インタビュー

心筋梗塞の原因と検査・診断-原因には動脈硬化が深く関係している

心筋梗塞の原因と検査・診断-原因には動脈硬化が深く関係している
上野 高史 先生

久留米大学病院 循環器病センター

上野 高史 先生

この記事の最終更新は2016年06月05日です。

動脈硬化を主な原因とする心筋梗塞。生活習慣にも深く関係しているため、病気の進行を防ぐには生活習慣の改善も必要となります。また、発症直後の急性期には迅速な診断と適切な処置が重要です。久留米大学病院循環器病センター教授の上野高史先生に心筋梗塞の原因と診断についてお話をうかがいました。

高齢化や食生活の欧米化などで動脈硬化を起こす方は増加傾向にあります。また、動脈硬化によって生じる疾患も同時に増えています。その代表としてあげられるのが狭心症と心筋梗塞です。心筋梗塞は、心臓を取り巻く冠動脈と呼ばれる血管が動脈硬化によって狭くなり、心臓の筋肉に十分な血液がいかなくなることで発症する病気です。同じく動脈硬化が原因である狭心症のうち、心筋梗塞の一歩手前の状態である不安定狭心症を放置すると、高率に心筋梗塞になります。不安定狭心症の段階で治療を行えば心筋の壊死を防ぐことができますが、心筋梗塞にまで進行してしまうと壊死した心筋を元に戻すことはできません。

心筋梗塞の症状は、脂汗をかくほどの激しい胸の痛みですが、もともと狭心症がある方で、それまで使っていたニトログリセリン(狭心症で発作が起きたときに使用する舌下錠)の効果が悪くなったと感じるようなときには病状が進行しているかも知れません。また狭心症の方に限っていうならば、症状が軽いからニトログリセリンは使わないというのではなく、有効性を確認する意味でも、一度薬剤の効き目を体で確かめておくことも必要でしょう。

心筋梗塞は、冠動脈の血管が狭くなることで起こります。狭心症や心筋梗塞の根本原因である動脈硬化が起こる背景には生活習慣が大きく関与しています。そのため、心筋梗塞は治療後もそれで終わりではなく、病気の進行を防いだり、再発を予防したりするためにも、食事や運動などの生活習慣の改善が必要となります。

動脈硬化を起こすリスク要因には以下のようなものがありますが、これらは同時に心筋梗塞を発症させるリスク要因でもあるのです。

〈心筋梗塞のリスク要因〉   

・タバコを吸っている

・血圧が高い

糖尿病である

・肥満である

・コレステロール値が高い

・ストレスが多い

・運動不足である

・家族歴がある(両親や兄弟姉妹に心筋梗塞や脳梗塞などの既往がある)

急性心筋梗塞を疑った場合、まず心電図やレントゲン検査を行い、心筋の壊死を確認するために血液検査なども行いますが、ほとんどの場合、心電図で診断することができます。そのため心電図検査あるいは心エコー(超音波)検査を行った段階で、すぐに冠動脈造影検査を行います。

冠動脈造影検査では、冠動脈に造影剤を注入して、冠動脈のどの部位が詰まっているのかX線透視撮影を行い狭窄や閉塞の箇所を調べます。閉塞部位が今回の発作によって起こったものなのか、3本ある冠動脈のどの部位が閉塞しているのかなどを調べます。ただし、1本の血管に動脈硬化があると、他の血管にも起きている可能性があるため、そのあたりも十分に確認しなければなりません。

発症急性期で緊急の場合には、詰まった血管の血流を再び流す再灌流療法(さいかんりゅうりょうほう)を行います。急性発症した心筋梗塞の場合は、閉塞している冠動脈の再疎通が予後(病気や治療などの見通し)を大きく左右するため、迅速で的確な診断が必要となるのです。

 

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