
末梢動脈疾患や透析シャント狭窄・閉塞などで、血管が狭くなったり閉塞したりして血液が流れにくくなった場合、血管を内側から広げる「血管内治療」を行います。以前は、PTA(経皮的血管形成術)と呼ばれていましたが、現在(2018年)では末梢動脈疾患の血管内治療は「EVT」、透析シャント狭窄・閉塞の血管内治療は「VAIVT」と呼ばれることが多くなってきています。
今回は、それぞれの治療法について解説します。
末梢動脈疾患とは、動脈硬化によって足の動脈が狭くなったり閉塞したりする病気です。末梢動脈疾患を発症すると、足に十分な血液が流れなくなり、歩行時に痛みが生じたり、皮膚に潰瘍*ができたりしてしまいます。もっとも重症な場合には、足が壊疽**して足の切断に至るケースもあります。
このような状態から足を守るために、末梢動脈疾患の患者さんに対して行われる治療法が「EVT:Endovascular Treatment」です。
EVTとは、カテーテルを血管内に挿入して、病変部をバルーン(風船)で内側から広げる治療法です。バルーンで拡張したあとは、再狭窄・閉塞を防ぐためにステント(金属でできた網)を留置することもあります。
*潰瘍…皮膚がえぐれたようになった状態
**壊疽…皮膚や組織が腐ってしまった状態
EVTは末梢動脈疾患の症状がある患者さんに対して行われる治療法です。ただし、強い動脈硬化によって血管がぼろぼろに脆くなっていたり、病変部分が非常に長かったりする場合にはEVTができないことがあります。その場合には、患者さん自身の血管や人工血管を使用して血液の通り道を作る外科手術である「バイパス手術」を行います。
EVTの方法は、末梢動脈疾患が起きている場所によって異なります。本章ではそれぞれの方法について解説します。
お腹から大腿骨頭*付近までを「大動脈腸骨動脈領域」といいます。この領域のどこかに病変がある場合には、冒頭でお話ししたようにバルーンで血管を拡張したあと、ステントを留置する方法が一般的です。
*大腿骨頭…骨盤と大腿骨をつなぐ股関節にある骨
大腿骨頭から膝までを「浅大腿動脈領域」といいます。浅大腿動脈領域のEVTは、2018年現在、治療法の転換期にあります。さまざまなデバイスが開発されている段階で、病院によって治療法も異なります。
以前は、大動脈腸骨動脈領域と同様、バルーンで拡張したあと、ステントを留置する方法が一般的でした。しかし、浅大腿動脈領域は病変部が非常に長いうえに、足を動かすたびにねじれたり伸展したりするため、ステントに負担がかかり再発率が高くなるという問題点がありました。また、バルーンで拡張するだけでは、再狭窄が起きてしまう確率も上がります。
そこで、当院では再狭窄を防ぐための薬剤をバルーンに塗布した「薬剤溶出性バルーン」を使用した治療を行っています。
膝から下の領域を「膝下動脈領域」と呼びます。膝下動脈領域に対するEVTは、重症下肢虚血(CLI)*で潰瘍が生じている患者さんに対して、足を切断から守る「救肢」目的で行います。
潰瘍を治すために血流を改善させることが目的であり、長期的な再発予防が目的ではないため、ステントの留置は行いません。再狭窄率は3か月後で約70%1)といわれており、再狭窄が起きてからでは潰瘍は治らないため、その間に形成外科や皮膚科と協力をしながら潰瘍を治す治療を行います。また、新たに潰瘍ができることを防ぐ必要もあります。
末梢動脈疾患の患者さんの場合、靴擦れや胼胝などの小さな傷から潰瘍になってしまう恐れがあります。ですから、自分の足のサイズに合った靴を着用したり、足を清潔な状態で保ったりすることが、足を守るために非常に重要です。
*重症下肢虚血(CLI)…末梢動脈疾患が重症化して、下肢の血流が著しく低下した状態
透析シャント狭窄・閉塞とは、血液透析のために作製した「内シャント」が何らかの原因で狭くなったり閉塞したりすることを指します。透析シャント狭窄・閉塞が起こると、血液透析が困難となります。そこで、狭窄・閉塞したシャントを内側から広げる治療法を「VAIVT:Vascular Access Intervention Therapy」といいます。
VAIVTは、透析シャント狭窄・閉塞によって血液透析ができなくなったり、血液透析中に何らかのトラブルが起こったりする患者さんに対して行います。具体的には、十分な脱血ができない、返血圧が高く返血ができない、透析中に痛みを伴うなどのトラブルがみられる患者さんに対して行います。
ただし、狭窄や閉塞が起きてから長い時間が経過して、閉塞した先が見えなくなってしまっているような場合などには、VAIVTによる血管内治療ができません。このようなケースに対しては、シャントを別の場所に新しく作り直す手術を行うことがあります。
VAIVTでは血管内にカテーテルを挿入し、病変部をバルーン(風船)で拡張します。日帰りで行うことができることが多く、拡張したシャントは翌日から血液透析に使用できるなど、患者さんにかかる負担が少ないメリットがあります。
一方、治療ではカテーテル刺入部には局所麻酔を行いますが、病変をバルーンで拡張する際に強い痛みを伴うという課題もあります。
周辺で動脈硬化の実績がある医師
東京逓信病院 内分泌・代謝内科 部長
内科、血液内科、外科、精神科、神経内科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科、腎臓内科、小児科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、歯科口腔外科、麻酔科、呼吸器内科、循環器内科、緩和ケア内科、感染症内科、消化器内科、内分泌内科、代謝内科、総合診療科、病理診断科
東京都千代田区富士見2丁目14-23
JR中央・総武線「飯田橋」西口 徒歩5分、東京メトロ有楽町線「飯田橋」B2a出口(東京メトロ南北線も同様) 徒歩6分、都営大江戸線「飯田橋」A4出口(東京メトロ東西線も同様) 徒歩9分
東京都立多摩総合医療センター 副院長(前循環器内科部長)
内科、血液内科、リウマチ科、外科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科、腎臓内科、心臓血管外科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、歯科口腔外科、麻酔科、乳腺外科、呼吸器内科、循環器内科、緩和ケア内科、感染症内科、消化器内科、内分泌内科、代謝内科、膠原病内科、脳神経内科、血管外科、頭頸部外科、精神神経科、総合診療科、病理診断科
東京都府中市武蔵台2丁目8-29
JR武蔵野線「西国分寺」南口 JR中央線も乗り入れ バス(約5分):総合医療センター(府中メディカルプラザ)行き、西府駅行き 総合医療センター(府中メディカルプラザ)下車 徒歩14分
順天堂大学 大学院医学研究科循環器内科学・教授
内科、血液内科、膠原病・リウマチ内科、外科、精神科、神経内科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、小児外科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、肛門科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、歯科口腔外科、麻酔科、乳腺外科、呼吸器内科、循環器内科、消化器内科
東京都文京区本郷3丁目1-3
JR中央線(快速)「御茶ノ水」御茶ノ水橋口 JR中央・総武線も乗り入れ、東京メトロ丸ノ内線も利用可 徒歩5分、東京メトロ千代田線「新御茶ノ水」 徒歩7分
日本赤十字医療センター 糖尿病内分泌内科 部長
内科、アレルギー科、血液内科、外科、精神科、神経内科、脳神経外科、呼吸器外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、小児外科、整形外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、歯科口腔外科、麻酔科、乳腺外科、呼吸器内科、循環器内科、緩和ケア内科、腫瘍内科、感染症内科、消化器内科、糖尿病内科、内分泌内科、膠原病内科、肝胆膵外科、肛門外科、脊椎脊髄外科
東京都渋谷区広尾4丁目1-22
東京メトロ日比谷線「広尾」港区コミュニティバス(ちぃばす):青山ルート 日赤医療センター下車 徒歩15分、JR山手線「恵比寿」西口 都営バス 学06系統 日赤医療センター行き終点下車 バス10分、東京メトロ日比谷線「恵比寿」西口 都営バス 学06系統 日赤医療センター行き終点下車 バス10分、JR山手線「渋谷」東口 都営バス 学03系統 日赤医療センター行き終点下車 バス15分
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