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インタビュー

頸部頸動脈狭窄症とは-脳梗塞を引き起こす疾患

頸部頸動脈狭窄症とは-脳梗塞を引き起こす疾患
飯原 弘二 先生

国立循環器病研究センター病院 病院長

飯原 弘二 先生

首を通り心臓から脳へ血液を届ける重要な血管、「頸動脈」。この頸動脈に狭窄(きょうさく:血管の内腔が狭くなってしまうこと)が生じると、脳へと送られる血液が不足したり、脳の血管が詰まって脳梗塞を起こしてしまうことがあります。本記事では、現在日本において患者数が増加している「頸部頸動脈狭窄症」の原因について、九州大学大学院医学研究院・脳神経外科教授の飯原弘二先生にお話しいただきました。

心臓と脳を結ぶ「頸動脈」は、首の部分で内頚動脈と外頸動脈に分岐しています。「頸部頸動脈狭窄症(けいぶけいどうみゃくきょうさくしょう)」とは、この分岐している部分が動脈硬化により狭くなってしまう疾患のことです。

代表的な症状として、脳へ送られる血流量が低下するために、立ちくらみやめまいを感じる、といったものが挙げられます。また、狭窄部から血栓が飛ぶことで頭蓋内の血管を詰まらせてしまい、脳梗塞や一過性虚血発作(参考記事:「脳梗塞の警告発作、一過性虚血発作(TIA)とは」)の原因となることもあります。

頸動脈の分岐部に起こる動脈硬化は、「動脈硬化粥状変化(どうみゃくこうかじゅくじょうへんか)」と呼ばれる比較的太い血管に起こるものです。このとき、血管の壁は本来のしなやかさを失って硬くなり、血管の内側の内膜には「プラーク」というコレステロールの塊が蓄積します。

健康な人であっても、血管は年齢を重ねるにつれて硬くなっていくものです。また、加齢だけでなく、高血圧脂質異常症糖尿病喫煙習慣も動脈硬化を進行させてしまう危険因子として知られています。

性別でみると、女性に比べて男性のほうが動脈硬化症になる危険性は高いとされています。

では、なぜ頸部頸動脈狭窄症になると脳梗塞を起こしやすくなるのでしょうか。この理由は、前項で述べた血管内膜に形成される「プラーク」にあります。プラークには、①繊維性の被膜に覆われている安定プラークと、②被膜が薄く(もしくは存在せず)、脂質に富んだ不安定プラークがあります。脆弱な不安定プラークは何らかの圧力がかかると破裂し、その部分に血液を凝固させる作用を持つ血小板が集まって血栓が形成されていきます。

この血栓が頭部の血管へと飛んで細い血管を詰まらせるために、脳の血液・酸素不足により脳細胞が壊死する脳梗塞が起こるのです。

頸部頸動脈狭窄症の治療法は、狭窄の度合いや症状の有無により大きく3つに分けられます。

  • 内科的治療:抗血小板剤の投与
  • 手術:頸動脈血栓内膜剥離術(CEA
  • 手術:ステント留置術(CAS)

症状がない場合や狭窄の程度が軽い場合には、抗血小板剤(薬)の投与など内科的な治療を行い、高度狭窄の場合には外科的な治療を行います。

私たち脳神経外科医は、治療法を選択するときに、手術の「有効性」と「安全性」も鑑みて慎重に考慮します。手術の有効性とは、脳梗塞などの合併症をどれだけ予防できるか、ということです。

しかし、手術は有効性の高さだけをみて施行するものではなく、必ず安全かどうかを考えねばならないものです。

頸部頸動脈狭窄症で症状が出ている方でも、手術による合併症が6%を超えてしまったら「手術をした意味はない」といわれています。前項で述べた狭窄の度合いだけでなく、内科的治療を行ったときにどのくらい症状が出るのか、手術をした場合の安全性はどの程度であるか、これらを見極めて慎重に治療法を選択していく必要があります。

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