インタビュー

高齢化で増える動脈硬化性疾患とは?脳梗塞・心筋梗塞・閉塞性動脈硬化性などの治療法

高齢化で増える動脈硬化性疾患とは?脳梗塞・心筋梗塞・閉塞性動脈硬化性などの治療法
福本 義弘 先生

久留米大学病院 副院長、久留米大学医学部 内科学講座 心臓・血管内科部門 主任教授

福本 義弘 先生

この記事の最終更新は2017年01月10日です。

動脈硬化が原因となり起こる「動脈硬化性疾患」は、高齢化の著しい昨今において急速に患者数が増えています。動脈硬化性疾患には脳梗塞心筋梗塞狭心症、閉塞性動脈硬化症などが挙げられます。これらの病気の治療にはいったいどのような方法があるのでしょうか。動脈硬化性疾患の治療法について久留米大学医学部内科学講座 心臓・血管内科部門主任教授の福本義弘先生におうかがいしました。

動脈硬化とは、血管の内側にコレステロールなどが付着して血管が狭く、硬くなり、血液の流れが悪くなった状態をいいます。動脈硬化には3つの種類がありますが、ほとんどの患者さんはアテローム(粥状)硬化という動脈硬化です。これは大動脈や冠動脈といった太い動脈の内膜にコレステロールなどの脂肪からなるおかゆのようなどろどろとした粥状物質(アテローム)がたまって盛り上がりができ、次第に血管が狭くなります。

他にも大動脈や下肢の動脈、頚部の動脈に起きやすい「中膜硬化」、長期的な高血圧症が主な原因で、脳や腎臓の中の細い動脈が硬くなって血液の流れが悪くなる「細動脈硬化」があります。

動脈硬化が原因で起こる病気を総称して「動脈硬化性疾患」といいます。動脈硬化が起こりやすい場所は、脳や頸部(首)、心臓、下肢(足)、腎臓です。どこに動脈硬化が起こるかによって、症状や病名(疾患名)も変わります。脳に起きれば脳梗塞、心臓であれば狭心症心筋梗塞、下肢だと閉塞性動脈硬化性、腎臓では腎機能低下や腎不全といったふうです。

動脈硬化は大動脈にも起きやすく、その結果として解離性大動脈瘤などが起こります。大動脈に起きる動脈硬化は血管が狭くなり血液の流れが不十分になるものと違い、こぶ(動脈瘤)ができたり動脈が裂けて乖離してしまうため、人工血管置換術で血管を人工血管に変えたり、ステントグラフト内挿術で血管を内側から補強する治療を行います。

動脈硬化性疾患においては、以下の治療があります。

  • 薬物療法
  • カテーテル治療
  • バイパス術
  • ステント留置術 
  • 血管再生治療
  • 内膜剥離術 など

しかしながらカテーテル手術、バイパス手術などの手術では、血管が細すぎて手術ができないなどといった重度の動脈硬化性疾患の方には適応不可という課題がありました。そこで、そのような手術のできない患者さんでも動脈硬化性疾患を治療できる方法として生まれたものが「低出力体外衝撃波治療」です。

低出力体外衝撃波治療は尿路結石の治療で使われる衝撃波を低出力で利用し、動脈硬化を起こした部位の筋肉にあてることで微小血管の新生を促して血液の流れを改善します。

低出力体外衝撃波治療装置の写真などを以下の東北大学病院循環器内科のHPでご覧いただけます。

体外衝撃波治療—東北大学病院 循環器内科

記事2『重度の狭心症や心筋梗塞などの動脈硬化性疾患の治療「低出力体外衝撃波治療」と「超音波治療」』では、この低出力体外衝撃波治療と、低出力体外衝撃波治療の進化形の治療である「超音波治療」について解説します。

 

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