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重症の大動脈弁狭窄に対する経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI)とは?
大動脈弁狭窄症とは、心臓弁膜症のひとつで、心臓の出口である大動脈弁が加齢に伴って壊れたり、炎症などによって開きが悪くなったりする病気を指します。日本の高齢者(65歳以上)の2〜3%は大動脈弁狭窄...
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重症の大動脈弁狭窄に対する経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI)とは?

公開日 2018 年 09 月 26 日 | 更新日 2018 年 10 月 02 日

重症の大動脈弁狭窄に対する経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI)とは?
日比 潔 先生

横浜市立大学附属市民総合医療センター 心臓血管センター循環器内科 准教授

日比 潔 先生

目次

大動脈弁狭窄症とは、心臓弁膜症のひとつで、心臓の出口である大動脈弁が加齢に伴って壊れたり、炎症などによって開きが悪くなったりする病気を指します。日本の高齢者(65歳以上)の2〜3%は大動脈弁狭窄症にかかっているといわれており、さまざまな弁膜疾患の中でもっとも多くみられます。

大動脈弁狭窄症に対する治療は日々進歩しており、日本では2013年から、侵襲性が低い(患者さんの身体的負担が少ない)方法として、経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI)が保険適応となりました。大動脈弁狭窄症に対する手術について、横浜市立大学附属市民総合医療センターの日比潔(ひび きよし)先生に、お話を伺いました。

大動脈弁狭窄症とは?

心臓弁膜症のうちのひとつで、大動脈弁の開きが悪くなる病気

心臓には、三尖弁(さんせんべん)、肺動脈弁、僧帽弁(そうぼうべん)、大動脈弁という4つの弁があり、血液の流れを調整するドアの役割を果たしています。

何らかの原因で心臓の弁に異常が生じると、心臓のポンプ機能にさまざまな支障をきたします。この状態を、心臓弁膜症と呼びます。

心臓の構造

心臓弁膜症のひとつである大動脈弁狭窄症は、心臓の出口である大動脈弁が加齢に伴って壊れたり、炎症などによって大動脈弁の開きが悪くなったりする(狭窄注1する)病気を指します。

大動脈弁の開き

大動脈弁狭窄症が重症化した場合、狭心症注2や心不全注3、失神などの症状が現れることがあります。そのような重症のケースに対しては、大動脈弁置換術やカテーテル治療を検討します。

注1 狭窄・・・間がすぼまり狭くなることをいいます。

注2 狭心症・・・心臓の筋肉(心筋)に供給される酸素が不足することによって、胸部に一時的な痛みや圧迫感が起こる病気を指します。

注3 心不全・・・心臓に影響を及ぼすさまざまな病気によって、心臓が十分な量の血液を送り出せなくなった状態を指します。

重症の大動脈弁狭窄症に対する手術の選択

症状のほか、患者さんの年齢や合併疾患などから総合的に判断

重症の大動脈弁狭窄症に対して、まずは標準治療である外科的大動脈弁置換術(SAVR:surgical aortic valve replacement)の実施を検討します。

外科的大動脈弁置換術(SAVR)とは、胸を切開して心臓を露出し、狭くなっている大動脈弁を切り取ってから、新しい人工弁に取り替える外科的な手術のことです。

この手術は、高齢者や手術によるリスクの高い方には、実施が難しい場合があります。そのようなケースでは、経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI:transcatheter aortic valve implantation)の実施を検討します。

経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI)とは?

カテーテルを用いて人工弁を装着する治療法

経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI)とは、細長いカテーテルとよばれる管を用いて、人工弁を患者さんの大動脈弁に装着する治療法です。

カテーテルのアプローチ方法には4種類ある

経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI)では、カテーテルを挿入して大動脈弁まで進めるアプローチ方法として、4つの種類があります。

  • 経大腿動脈アプローチ
  • 経心尖(しんせん)アプローチ
  • 経鎖骨下動脈アプローチ
  • 経大動脈アプローチ

4種類のどのアプローチも、カテーテル用に開発された生体弁(牛や豚の心膜を利用した人工弁)を小さく折りたたんでカテーテルに装填し、大動脈弁まで進めます。生体弁が大動脈に到達したところでバルーンを膨らませて生体弁を拡張し、大動脈弁に装着します。生体弁を装着したあとは、カテーテルを抜き取ります。

第一選択は経大腿動脈アプローチ。侵襲性の低い治療を選択することが基本

4種類のアプローチ方法のうち、もっとも侵襲性が低いとされる経大腿動脈アプローチが第一選択となります。

経大腿動脈アプローチ

大腿部や胸腹部の血管が細かったり曲がっていたりして、経大腿動脈アプローチが適さないと判断した場合には、経心尖アプローチを選択することがあります。

また、大腿動脈が詰まっているケースでは、その動脈に対する治療を先に実施してから、経大腿動脈アプローチによって大動脈弁狭窄症を治療することもあります。いずれにせよ、できるだけ侵襲性の低い治療を選択することが基本です。

経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI)の特徴

患者さんの身体的負担が少ない

経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI)は、胸を切開する必要がないため、侵襲性が低い(身体的な負担が少ない)点が特徴です。

また、日本では2013年から保険適応となりました。重症の大動脈弁狭窄症に対する治療としては比較的新しい方法ですが、有効な治療方法といえます。

外科的治療が難しいケースでも治療の可能性を見出せる

先に述べたとおり、外科的大動脈弁置換術(SAVR)の実施が難しい患者さんであっても、経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI)によって治療を検討することができるようになりました。外科的治療が難しいケースに関して、治療の可能性を見出すことができるようになったことは、大きなメリットといえるでしょう。

日比先生

合併症を起こすリスクはある

経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI)は侵襲性の低い治療法ではありますが、主に高齢者または状態の悪い症例を対象としていることもあり、合併症を起こすリスクも低いとはいえません。

特に高齢の患者さんの場合や、高血圧や糖尿病といった病気を有しているケースでは、合併症を起こしたときに予後(今後の病状の見通し)が悪くなりやすいことがあることも報告されています。

大動脈弁狭窄症に対するカテーテル治療の展望

難しい症例に対するカテーテル治療の進歩が期待される

記事1でも述べたように、カテーテル治療は着実に進歩しており、現在さまざまな病気の治療に用いられるようになりました。今後は大動脈弁以外にもカテーテル治療法が開発され、複数の心臓弁に異常が生じているような治療の難しい大動脈弁狭窄症のケースに対しても、カテーテル治療が可能になることが期待されています。

 

カテーテル治療(日比潔先生)の連載記事

1998年より米国スタンフォード大学で血管内超音波を学び、血管内イメージングを中心にした冠動脈疾患の臨床、研究に注力してきた。最近では、大動脈弁狭窄症のカテーテル治療に将来性を感じ、発展途上の心臓構造疾患のカテーテル治療を安全に患者さんに届けることを目標とし、また自身の使命と捉え、日々の診療にあたる。