だいどうみゃくりゅう

大動脈瘤

血管

目次

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概要

大動脈瘤とは、先天的組織異常や動脈硬化などによって「大動脈」に(こぶ)状のふくらみができた病気です。大動脈は、心臓から全身に血液を送るはたらきを持つ血管です。大動脈瘤は自覚症状がないまま経過することが多く、破裂した場合には突然の大出血を起こし、救命の時間を得ることができずに死亡に至る危険性をはらんでいます。そのため自覚症状の有無に関わらず、破裂のリスクが伴う大動脈瘤が発見された場合には、未然に動脈瘤の破裂を予防するための手術が必要になります。

原因

大動脈瘤が形成される原因として、多くは動脈硬化によって血管が老化していることが深く関係しているといわれています。また、特別に先天的組織異常が関与している場合もあります。

大動脈とは、心臓から送り出された血液を全身に分布させるために一番はじめに通る血管を指します。大動脈は心臓からの血圧を直接的に受ける部分であり、非常に強い圧力に対して柔軟に対応してます。しかし、動脈硬化や炎症、組織異常などで血管がもろくなると、高い圧力に対応することができなくなり、徐々に血管が広がり、大動脈瘤が形成されます。

動脈硬化を引き起こす因子として、

  • 糖尿病
  • 高血圧
  • 高脂血症
  • 喫煙

が挙げられ、これらの因子を有する方は大動脈瘤の危険性が高まります。

そのほかの原因

そのほか、マルファン症候群においても大動脈瘤を合併することがあります。また、まれではありますが黄色ブドウ球菌などの細菌が原因となって感染症からの大動脈瘤を併発することもあります。最近では、二親等以内の親族に動脈瘤の方がいると、いない場合と比べて10倍以上発症しやすいという疫学的なデータが報告されています。それを裏付ける遺伝子上の解析はまだありませんが、将来的には遺伝的な要因の関与も示されるかもしれません。

症状

大動脈瘤があることで、嗄声(させい)などの自覚症状が出現することもありますが、患者さんの多くは無症状です。そのため、発見されずに無治療のまま経過し、大動脈瘤の破裂に伴う突然死によって、病気が明らかになることもあります。

大動脈瘤が発生した部位に応じた症状

まれではありますが、大動脈瘤が発生した部位に応じた症状が現れることもあります。たとえば、大動脈のヘアピンカーブにあたる弓部大動脈の周囲には、食べ物を飲み込んだり声を出したりする際に重要な機能を発揮する臓器が存在しています。同部位に瘤が形成されると、各種臓器が圧迫され、ものの飲み込みにくさやしゃがれ声などが現れることがあります。大きな腹部大動脈瘤の場合は、患者さん本人がお腹から触れることもあります。また、破裂の危険性が切迫している場合、お腹の痛みを覚えることもあります。

検査・診断

偶然に発見されることが多い

大動脈瘤は自覚症状が現れにくいため、定期検診や別の理由で撮影した画像検査などで偶然に指摘されることがあります。たとえば胸部レントゲン写真で大動脈の拡大を指摘されたり、心臓からすぐに出た部位の大動脈瘤や腹部大動脈瘤の場合は、超音波エコーで確認されたりすることもあります。

確定診断ではCTやMRIなどの画像検査を行う

正確な診断を行うためには、CTやMRIなどの画像検査が必要になります。これらの画像検査を行うことで、大動脈瘤が形成されている位置、大きさ、血管の蛇行状況などを正確に評価し、破裂の危険性が高いものであるのかどうかをある程度判定することが可能になります。また、画像検査に際して行われる機械の種類によっては、正確な三次元構造を構築できるものもあります。

治療

開胸・開腹手術とステント治療の2種類がある

大動脈瘤の治療には、以下2つの方法があります。

  • 開胸(胸を切開して行う手術)あるいは開腹(おなかを切開して行う手術)手術
  • ステントと呼ばれる金属のバネを取り付けた人工血管を挿入する手術

患者さんの身体機能の状態に問題がなければ、どちらの治療法も実施可能です。ただし、ステント治療には解剖学的な制約があり、大動脈瘤の形がステントに合わない場合など治療ができないことがあります。そのため、ステント治療を希望される場合には、CTで詳しく大動脈瘤の形をみた上で実施の可否を判断します。

大動脈瘤が指摘されても、破裂の危険性が高くないと判断される場合には経過観察の措置がとられます。動脈硬化が大動脈瘤の原因の一端を担うことが多いため、高血圧や糖尿病、高脂血症、喫煙などに対してのアプローチが勧められることもあります。

開胸・開腹手術のデメリット

胸の動脈瘤の手術では、場所によっては心臓を止めたり、頭部の血流を止めたりする場合もあるため、脳梗塞や心不全、心筋梗塞といったダメージを受ける可能性があります。また、循環を停止して行うことがあるため、下半身の対麻痺(術後に下肢が動かなくなる)や腹部臓器の障害など重篤な状態を起こす可能性が3~5パーセントほどあります。

ステント治療のデメリット

一方、ステント治療の場合は心臓を止めるわけではないので心不全は起こりにくいですが、脳梗塞や腹部、下肢の血流障害などの合併症が起こりえます。特に怖いのは腸への動脈に血栓が詰まることで、この場合は命にかかわります。また、ステントのずれ、血液の漏れや血管損傷などの遠隔期の問題もあり、それらも考慮した上での選択が重要です。

大動脈瘤が指摘されても、破裂の危険性が高くないと判断される場合には経過観察の措置がとられます。動脈硬化が大動脈瘤の原因の一端を担うことが多いため、高血圧や糖尿病、高脂血症、喫煙などに対してのアプローチが勧められることもあります。