心房細動の合併症として最も恐れるべきなのが脳梗塞(心原性脳梗塞)です。心原性脳梗塞は重症化しやすく、生存率も高くありません。しかし、現在は心房細動から脳梗塞に発展することを防ぐため、様々な治療法が確立されてきています。心房細動と脳梗塞の関係性を踏まえ、心房細動のあらゆる治療法について、東邦大学医学部内科学講座循環器内科学分野の池田隆徳先生にお話をお聞きしました。
脳卒中は、脳の血管が破れて出血するタイプと、脳の血管が詰まってしまうタイプの2種類があります。心房細動によって起こる可能性の高い脳卒中は脳塞栓、つまり詰まってしまうタイプです。
心房細動は心房が規則正しく収縮できなくなる病気です。そのため、心房内の血流が潤滑ではなくなります。その結果、主に左心房壁にある左心耳に血栓(血の塊)ができてしまいます。これがなんらかのショックで剥がれることにより、血栓が動脈を経由して脳に到達し、脳の太い血管を突然詰まらせてしまう場合があります。これが心原性脳梗塞です。
心原性脳梗塞は心臓内で大きくなった血栓がはがれて血流に乗っていくため、太い血管に詰まりやすいという特徴があります。そのため大梗塞を起こしやすく、通常の脳梗塞よりも重症化しやすい傾向があり、5年後死亡率は50%ともいわれます。これはがんよりも悪性度の高い病気です。
心原性脳梗塞は、脳梗塞の中でも後遺症や麻痺などの合併症を起こす可能性が高いと考えられています。また、最初の一年間の再発率は10%以上ともいわれます。そのため、心房細動を持っている方は第一に脳梗塞にならないため、心房細動をコントロールする必要があります。
最も簡便に、かつ費用もかからずにできる治療法(予防法)です。規則正しい生活を送り、不摂生な食生活や睡眠不足を解消するだけでも、十分な効果が期待できます。
抗凝固薬は血栓が形成されるのを防ぐお薬です。代表的な薬には、ワルファリンがあります。しかしワルファリンは薬が効いてくる濃度に達するまでに時間がかかり、患者さんの体質ごとに投与量を考慮しなければいけない上に、ビタミンKを多く含む食事を食べられないなどの食事制限もあります。さらに、ワルファリンは即効性もないことから、外来治療の患者さんは何度も受診しなければいけないなど負担も大きく、生活に一定の支障が生じてしまう欠点がありました。
これに関して近年、新規抗凝固薬(NOAC:Novel Oral AntiCoagulants)が開発されてきています。これは内服を開始した時点で効果が出始め、食事制限も投与量の調節も定期的な採血も不要などの特徴を持っています。
新規抗凝固薬には、ダビガトラン、リバーロキサバン、アピキサバン、エドキサバンの4種類があります。ただしこれらの薬は新薬であり、薬価が高いことから、経済的に負担が大きくなることは否めません。
薬物療法の次の手順として、不整脈をなくすための治療、リズムコントロール(洞調律維持)とレートコントロール(心拍数調節)があります。
リズムコントロールとは、心房細動を停止させ、鼓動のリズムをコントロールする方法です。これには抗不整脈薬の投与や電気ショック療法などが適応されます。
レートコントロールとは、心房細動は起こしたまま心拍数をコントロールする方法です。速くなりすぎないように、β遮断薬、Ca拮抗薬などを使用しますが、この方法によって動悸の症状が軽減し、不快感が軽減されます。
症状に乏しい方は、レートコントロールだけでも随分と状態が良くなります。心房細動を止めるリズムコントロールは洞調律が安定しますが、成功率は70%程度であり、レートコントロールと比較しても効果は同じくらいだといわれています。
心房細動の症状が強く、リズムコントロールでもなかなか治まらない場合に行われる治療法です。カテーテルアブレーションは、心臓内にカテーテルを挿入し、高周波電流を流して心臓の一部を焼くことで治療します。
心房細動は多くの場合、4本ある肺静脈の内部で心房期外収縮が連発することによって起こることが知られています。肺静脈は左心房につながっているため、電気信号の異常興奮が左心房に伝わらないよう、カテーテルを用いて左心房の壁と肺静脈の壁の接合部を焼いてしまえば心房細動はなくなります。
右太ももの静脈から4本、右頸部にある内頸静脈から1本のシース(血管にカテーテルを出し入れするための器具)を挿入し、これを左心房へと導きます。ここで左心房や肺静脈の形状などを検査します。その後、シースから治療用カテーテルを上下肺静脈に留置し、患部を焼灼します。
カテーテルアブレーションの平均的な治療時間は3~4時間程度、入院日数は4~5日程度です。成功率は発作性心房細動で約80%ですが、数回カテーテルアブレーションを受けるとその確率が上昇します。なお、カテーテルアブレーションを受けるには、心房内に血栓がないことが条件です。
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東邦大学 医学部内科学講座循環器内科学分野 教授
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