インタビュー

慢性期頚動脈完全閉塞症(CTO)、画像で見る実際の治療

慢性期頚動脈完全閉塞症(CTO)、画像で見る実際の治療
寺田 友昭 先生

昭和大学藤が丘病院脳神経外科 教授

寺田 友昭 先生

この記事の最終更新は2016年04月21日です。

この記事では、慢性期頚動脈完全閉塞症(CTO)に対する血管内再建術『フローリバーサルメソッド』で紹介したフローリバーサルメソッドが実際に用いられたCTOの症例を昭和大学藤が丘病院脳神経外科教授の寺田友昭先生に解説していただきます。

X線画像
左:血管が完全に閉塞し、内頚動脈が見えなくなっている 中:外頚動脈と総頚動脈にバルーンを置き、本来の血流の流れを遮断して治療中に発生したプラークや血栓を静脈側に設置したフィルターで回収する 右:血管が通り内頸動脈が見えるようになった(写真:寺田先生ご提供)

脳梗塞で発症した72歳の患者です。フローリバーサルメソッドを用いて閉塞部の血管の壁にできたプラークが流れないようにしてから、閉塞した部分をガイドワイヤーで貫通させて血管形成術(血管を広げること)を行いました。最後に閉塞していた部分にステントを置き、血管を再開通(血流が通ること)させました。

適応は厳格にしており「内頚動脈が頚部で完全に閉塞しており、かつ症候性(脳梗塞を発症した人)で脳血流低下(stage II)のある患者」が適応です。再開通治療の対象となるのは、昭和大学藤が丘病院でも年間2、3例なのでそれほど多くはありません。

私が行った1200例の頚動脈ステント留置術のなかでも、CTOで治療したのは30例程度です。しかし、従来であればこの治療の適応となるような症例ではすべて全身麻酔下でバイパス手術が行われていました。そのため、経皮的な再開通療法は、局所麻酔で治療可能で外科的にバイパス手術をする「しか」なかった患者さんに対する新たな治療の選択肢であるといえるでしょう。

本法の問題点とは、1)15%程度に再開通できない症例が存在すること、もともと血流不全のある患者を対象にしているので、2)稀ではありますが過還流症候群により脳出血が生じる可能性があること、3)数%の可能性で閉塞部に留置したステントが閉塞することがあります。

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