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危険な脳梗塞の前兆「一過性脳虚血発作」(1)
一過性脳虚血発作(TIA)とは、脳梗塞と同様の症状が現れるものの、24時間以内(多くは数分~数十分以内)に症状が完全に消失するもののことをいいます。代表的な症状は、片麻痺(片側の手足が動かなくな...
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危険な脳梗塞の前兆「一過性脳虚血発作」(1)

公開日 2015 年 07 月 14 日 | 更新日 2018 年 01 月 05 日

危険な脳梗塞の前兆「一過性脳虚血発作」(1)
内山 真一郎 先生

山王病院・山王メディカルセンター脳血管センター長 国際医療福祉大学臨床医学研究センター教授 東京女子医科大学名誉教授

内山 真一郎 先生

一過性脳虚血発作(TIA)とは、脳梗塞と同様の症状が現れるものの、24時間以内(多くは数分~数十分以内)に症状が完全に消失するもののことをいいます。
代表的な症状は、片麻痺(片側の手足が動かなくなる)と言語障害(急に言葉がしゃべれなくなる)ですが、一過性黒内障(片目が見えなくなる)や半盲(視野の半分が見えなくなる)といった目の症状が出現することもあります。これは、一時的に脳や網膜へ行く血液の流れが悪くなることにより起こります。

ここで危険なのは「症状が良くなってしまったから、もう病院には行かなくていいだろう」と思ってしまうことです。実はこのTIAは、脳梗塞(のうこうそく)の前兆としてとても重要なのです。TIAについて、山王病院の内山真一郎先生にお話をお伺いしました。

脳梗塞と一過性脳虚血発作(TIA)の違いは?

あまり聞きなれない「TIA」という言葉ですが、もっと一般的に知られている病気「脳梗塞」とは何が違うのでしょうか。まずは脳梗塞とTIAの違いについて見ていきましょう。

脳梗塞は、脳の血管が詰まることにより脳細胞が死んでしまい、麻痺(手足が動かなくなってしまう)などが出る病気のことをいいます(詳しい症状は「一過性脳虚血発作の3つの原因、その症状とは?」参照)。脳梗塞の代表的な特徴は、「不可逆的(一度なってしまうと元に戻らない)」であるということです。

一過性脳虚血発作は脳梗塞の前兆!

一過性脳虚血発作は脳梗塞の前兆!

一方、TIAの特徴は、症状が一度消える点にあります。TIAを発症すると、一旦は脳の血管が詰まってしまい、麻痺の症状などが出てしまいます。しかし、詰まった血管が元通りに開通することによって突然症状が消えてしまうのです。この場合には麻痺は残らず、いったいなんだったのだろうと思う患者さんも多いでしょう。
しかし、このTIAは脳梗塞と同じメカニズムで引き起こされており、脳梗塞の起こる前兆として、とても危険です(この危険性についてより詳しくは、「危険な脳梗塞の前兆「一過性脳虚血発作」(2)―急性脳血管症候群とは?」を参照)。

一過性脳虚血発作(TIA)の危険性―起こした直後が最も危険

TIAになると、5年以内に30%の方が脳梗塞になるといわれています。また、そのうち3ヶ月以内には15%の方・2週間以内には10%の方が脳梗塞を起こします。そして2週間以内に脳梗塞を起こした10%の方のうち、3割の方は24時間以内に発症しています。

つまり、5年以内よりも3ヶ月以内、3ヶ月以内よりも2週間以内、2週間以内よりも24時間以内…と、TIAは発作を起こした直後ほど危険な状態であると理解しましょう。特にTIAを起こして24~48時間以内は非常に危険だと言われており、早急に脳卒中専門医を受診する必要があります。

専門医を受診したら精査により原因を探し(「一過性脳虚血発作(TIA)の検査―原因を明らかにするために」参照)、直ちに脳梗塞を起こさないために治療(「一過性脳虚血発作(TIA)の治療―脳梗塞を予防するためには
」参照)を開始することが大切です。一度脳梗塞になってしまったら障害が残ることが多く、元の身体に戻ることは非常に厳しくなりますが、TIAの段階であればまだ麻痺は残らないため、障害を背負うことはありません。なによりも、この段階できちんと治療をすることが大切です。

一過性脳虚血発作(TIA)―脳梗塞になるリスクは?

それでは、TIAを発症した患者さんの中で、いったいどのような方が脳梗塞になりやすいのでしょうか。
脳梗塞になるリスクを考えるために有名な、ABCD2 スコアというものがあります。

ABCD2スコア

ABCD2スコア

このスコア(合計0~7点)が高いほど、TIAの後、早期に脳梗塞を引き起こす可能性が高いとされています。特に3~4点以上の方は注意が必要です。しかし、これに当てはまらないからと言ってTIAの症状が出ても受診をしなくてよいという訳ではありません。万が一TIAの症状(「危険な脳梗塞の前兆「一過性脳虚血発作」(2)―急性脳血管症候群とは?」参照)が出た場合には、速やかに病院を受診すべきです。

また、このABCD2スコアも合わせ、脳梗塞のリスク評価は以下7つのように考えられています。

  1. MRI検査の拡散強調画像でTIAにも関わらず、脳梗塞と同じ変化がある(「一過性脳虚血発作(TIA)の検査―原因を明らかにするために」参照)
  2. ABCD2スコアで3~4点以上(4点以上は即入院!)
  3. 頭蓋内・頸部の動脈に狭窄(狭くなっている部分)がある
  4. 心房細動(脳梗塞の原因となる不整脈)を伴っている(「一過性脳虚血発作の3つの原因、その症状とは?」参照)
  5. TIAの発作を繰り返している
  6. TIAの発作の持続時間が長くなっている
  7. 血液凝固異常を伴っている(「一過性脳虚血発作(TIA)の検査―原因を明らかにするために」参照)

一過性脳虚血発作(TIA)だと思ったら

基本的には脳卒中診療医を受診することです。診療科で言えば、救急科・脳神経外科・神経内科ですが、そのなかでも脳卒中を専門とする医師(できれば脳卒中専門医を取得している医師)を受診すると、診断から治療までの過程がよりスムーズに進みます。

 

東京女子医科大学教授を経て現在は山王病院・山王メディカルセンター脳血管センターのセンター長を務め、神経内科を専門診療科としている。特に、脳卒中や血栓症の分野においては世界的なトップリーダーであり、脳卒中や一過性脳虚血発作の予防や治療の啓発活動をライフワークとしている。国内外の多くの大規模臨床試験の研究代表者や共同研究者を務めてエビデンスの構築を推進しており、日本や世界の脳卒中のガイドラインの作成委員として予防や治療の標準化に努めている。

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